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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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459、アラニシ攻略開始

その夜、私とアレクはアラナカで一番高級とされる宿に泊まった。ピラミッドシェルターで寝てもよかったのだが、そこはそれ。旅の醍醐味だからね。


オワダやヤチロ、そしてテンモカで最高級の宿に泊まった私達からすれば酷く普通の宿だった。たぶんゼリアテなんかは相当いい家に住んでるんだろうけどさ。さすがにあんな奴の家に泊まる気はしないからな。




アレクからお仕置きされる夜を越えて翌日。私が目を覚ました時、周囲が燃えていた。


「おはよ。火事?」


「おはよう。私も今起きたばかりなの。火事ね。」


「ふぁーあぁ……この宿も燃えてるね。」


まったく、眠いってのによ……


「ピュイピュイ」

「ガウガウ」


分かってるって。ちょっと消してくるよ。それから朝飯ね。


「アレク、コーちゃん達と一緒に居てね。消してくるよ。」


「分かったわ。外に出てるわね。」


アラナカって山の中にある街だけあって、木造の建物が多いんだよな。よく燃えるねぇ。


水滴(みなしずく)


消すだけなら『津波』の魔法が手っ取り早いんだが、ここは穏便に。燃えてるところ全域に満遍なくスプリンクラー的に水をかける。


おお、私以外にもあちこちで水をぶっかけてる光景が見える。当然だがみんな必死だな。おっ、ドロガーもバケツリレーに参加してるじゃないか。偉いな。


もう少し水量を増やそうかな……




よし、鎮火。次は怪我人の手当てか……

私にできることと言えば、運ぶだけだな。焼け落ちた建物を解体して、中の人間を救出っと。すでに死んでる者はどうしようもない。後で改めて弔ってやろう。


「魔王さん。助かりやしたぜ。」


「おお、おはよ。これはやっぱ放火か?」


「へえ。エチゴヤの残党がトチ狂ってやっちまったようで。ちなみにそいつぁもう殺してやす。」


「おお、仕事が早いな。それよりもうすぐ出るぞ。ビレイドも呼んでこいよ。」


アラニシを落としたら仕事終了なんだからさ。


「あー……ビレイドは勘弁してもらえやせんか? あいつ徹夜で書類やら追っかけたらしくて、さっき寝たんでさぁ。」


「別に構わんぞ。明日か明後日にでも改めて乗り込めばいいんじゃないか? アラニシのエチゴヤが今日壊滅することに変わりはないしな。」


「さっすが魔王さんでさぁ。頼りにしてやすぜ?」


「俺は後のことなんか考えてないからな。お前もそうみたいだけど。今後の支配体制のことなんか知らんぞ。せいぜい上手くやるんだな。」


「へいっ。その辺ぁあっしらにお任せくだせぇ!」


当たり前だろ。つーか、ビレイドに丸投げするんだろ。やっぱビレイドって蔓喰で一番金持ってるだけあるわな。頭を使う奴が一番稼げるんだろうなぁ。がんばれ。


「朝飯食ったら出るぞ。お前はどうするんだ? 来るのか?」


「もちろんでさぁ。アラニシでも斬りまくりやすぜ!」


人数的にはアラニシが一番多いはずなんだよな。過酷な肉体労働だろうしね。そうなると、それを仕切るエチゴヤも腕利きを多くアラニシに配置しているはずだ。ゴンズの情報だとアラニシを仕切ってるのは三人の中でも格下のリッキーって奴らしい。特に目立った特技もないくせに第四番頭からは重用されててムカついてるそうだ。

さて、どうなることか。




朝食を終え、ビレイド以外を乗せて一路アラニシへ。空の旅は一瞬、ドロガーがうるさいな。


空からアラニシを見ると、そこは一面のサトウキビ畑だった。いや、サトゥーキビって言うんだっけな。かなり広い。少なく見積もっても五キロル四方全てが農地となっている。そして他には大きな建物がいくつも連なっている。明らかに宿や事務所などではない。つまりあれが酒蔵なのだろうか。

いや、酒蔵だけではない。ここでは砂糖も生産しているはずだからな。


「さて、どうやって攻めようか。特にカドーデラさぁ、あんまり殺し過ぎるなよ? 使える人材まで殺してたら後で困るぞ?」


私は困らないけど。


「へぇ、分かってやさぁ。エチゴヤのモン以外は殺しやせんって。」


「そのエチゴヤのモンはどこにいんだよ。広過ぎてさっぱり分かんねぇぞ?」


ドロガーが言うことはもっともだ。私だって分からない。


「とりあえず建物が密集してる所で暴れたら出てくるんじゃないか?」


私のアイデアなんてこんなもんだ。だからこそこの島を取り戻したいのならカドーデラとビレイドが張り切るしかないっての。


「さすが魔王さんでさぁ。それでいきやしょう! あっしとドロガー(あに)ぃが暴れやすんで、魔王さんにゃあ例によって上から見張ってていただけやすか?」


いいのかよ!


「分かった。じゃあ降ろすぞ。」


『浮身』


相変わらず叫ぶドロガーには消音をかけてある。ついでにカムイも降ろしている。もし青紫烈隊が現れた時の備えだ。


さてさて、どうなることか……




上から見ていると、カドーデラとドロガーが最初は大人しく話そうとしていたようだ。だが、すぐに揉め事となり、たちまち大勢に囲まれてしまってる。そりゃそうなるわな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 大人しく話すなんて無理でしょう。
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