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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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455、カドーデラの危機

ゼリアテの首は魔力庫に収納し、おばさんはそのままミスリルボードの上まで連れ帰った。


「ただいま。」


「おかえりなさい。その女は捕虜ってとこかしら?」


アレクの『おかえり』はささくれ立った私の心を癒やしてくれるなぁ……


「うん。アレクに起こしてもらおうと思ってさ。」


「いいわよ。」


『覚醒』


「うっ、こ、ここは!?」


「よう。やっと起きたか。」


「あ、アンタ!」


「覚えてるか? ゼリアテは死んだぞ? ついでに下も見てみな。蔓喰の人斬りカドーデラや五等星の傷裂ドロガーも暴れてる。もうアラナカはエチゴヤのものじゃなくなったんだよ。理解したか?」


「あ、ああ……そんな……」


「分かればいい。さて、わざわざこんなことをした理由だが、お前にはこの街にいるローランド人を集めてもらう。そうすれば命は助けてやるし、このままここで娼館を経営することも許してやろう。約束するぜ。さあどうする?」


「や、やりまっすおほぉぉぉぉっっ!」


よし、かかった。

そろそろカドーデラ達も片付いた頃だろうし降りてみようかな。危機感に欠ける奴らだったしあいつらも楽勝で片付けてるだろ。


「よしアレク。降りてみようか。思ったよりあっさり片付いたね。」


「そうね。あそこまで見事に奇襲されたら防ぎようがないものね。少数精鋭で攻撃したのは正解だわ。」


たったこれだけの人数だもんなぁ。事前に察知しろって無理な話だよな。こいつらだって蔓喰からこの島を乗っ取ったんだから、いつか蔓喰が逆襲してくることぐらい予想してただろうに。

……その割にどいつもこいつも危機感がなかったけど……

人間調子がいい時ってのはそんなもんなのかねぇ。あーやだやだ。反面教師にしないとね。元教師だけに? 私は何を考えてるんだか。


さて、アラナカ本部事務所の様子は……周囲は落ち着いてるようだが。


「ちいっ!」


びっくりしたなぁもう。ドロガーかよ。いきなり窓を破って現れるんじゃないよ。


「どうしたんだお前?」


「おお魔王か……ちぃとやべぇことんなってんぜ……」


「ほう、どうしたんだ?」


「ありゃあたぶん青紫烈隊(バイオレッタ)だぜ……このままじゃカドーデラがやられちまうぜ。ちょうどおめぇを探しに行こうと思ってよ……」


「分かった。じゃあお前はこのおばさんと一緒に動け。色香に迷うなよ?」


アレクと並んだら斜陽感はんぱないけど。


「ほぉー、いい女だぜ。お前の名は? 俺ぁ五等星冒険者、人呼んで傷裂ドロガーってんだ。当然知ってんよな?」


いきなり口説き始めやがった……仕事しろよな。


「アレクはやっぱ上で見張りをお願い。この男も確保しておかないといけないしね。」


こいつは後でカドーデラ達に尋問させるんだからな。コーちゃんもアレクと待っててね。いくら意識がないからってこんな男とアレクを二人っきりになんぞさせられるかってんだ。


「分かったわ。」

「ピュイピュイ」


これでよし。それでは窓から突入っと。


「カドーデラ! どこだ!」


さすがに広いな……


「カムイ! 聴こえるか!」


きた! カムイから反応あり! あっち、二階か! ドロガーは一階の窓から出てきたくせに。


少しだけ身体強化を使って二階へ駆け上がる。ちっ、やっぱ広いな……あっちか!

近付いてる! 剣戟の音だ!


「カドーデラ! カムイ!」


会議室のように広い部屋に飛び込むと、中にいたのは……二人の紫野郎だった。一方はカドーデラと、もう一方はカムイと相対しているではないか。


よし、カムイ。カドーデラを助けてやんな。お前ら二人がかりであいつをぶち殺せ。


「そこのお前、鎧の色からすると深紫(ディパープル)じゃないな。だからもう死ね。」


『金操』


兜ごと頭部を一回転半。即死だ。体は上、顔は下を向いたまま倒れる紫野郎。


「おーいカドーデラ。二対一なんだからさぁ。すぱっと決めろよ?」


「分かってまさぁ……」


結構傷だらけなんだよなぁ……カドーデラって防御はスカスカだもんなぁ。それに引き換えカムイは無傷だ。当たり前か。多少の疲れは見えるけどね。


その間に私はムラサキメタリックをいただくとしようかね。少々面倒だが鎧を脱がせて……


それにしても、もう片方の紫野郎……相棒が瞬殺されたのに動揺なしかよ……




よし、あーめんどかった。鎧に兜、おまけに剣まできっちり回収したぞ。おかげでだいぶ魔力を消費してしまったけどね。やっぱ品質が悪くてもムラサキメタリックを収納するとめちゃくちゃ魔力を食うんだよなぁ。おまけにムラサキメタリック相手に金操なんか使ったもんだから、残りはざっと六割ってとこだろうか。やれやれ。


「おーいカドーデラさぁ。まだ終わんねーのかよ?」


「む、無茶言わんでくだせぇ……こいつ正統派の剣術使いですぜ……」

「ガウガウ」


ふーん、隙がないのか。


『金操』


悪いな。死ね。頭を一回転半。


「悪いが時間切れだ。さてカドーデラ、そいつの鎧を剥ぎな。そこの剣はくれてやる。」


「へ、へぇ……ほんと魔王さんは容赦ねぇですぜ……」


相手がエチゴヤだからね。


さて、少々面倒だがそこら辺に転がってる死体は全て集めないとな。どこかで燃やしておかないとアンデッドになってしまうからね。私の魔力庫に収納してから後で海に捨てれば早いんだが、こんな奴らを収納する気ゼロなんだよね。だから全部燃やしてやる。

それにしてもこいつら……エチゴヤだけあって誰も魔力庫の中身をぶち撒けてないんだよな。きっちり証拠を消す設定にしてやがるとは。敵ながらあっぱれってとこか。少しだけだが……

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― 新着の感想 ―
[一言] カースって、元教師でしたね。 忘れるところでした。
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