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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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371、場末酒場の乱闘

「ぜはぁ、はぁーはぁ! あ、あの、魔王様……シムを……金も……」


ヒョージの奴は運動不足だな。シムは少し息が荒い程度だってのに。


「ご苦労。シム! お前は店の隅に行ってろ! そこらのテーブルのもん食べていいぞ。」


「お、押忍……」


「ヒョージ、金出せ。」


「へ、へぇ……い……ぐっ、ぐううっぐぐっ……」


よほど払いたくないんだろうね。なんて強欲な奴だ。さて、いくらかな。


「二百三十五万と七百ナラーか。ほれ、ピルピル兄さん。三十万だ、とっとけ。」


「ルクルピだってんだろうが! それよりてめぇヒョージ! やっぱ金ぇ隠してやがったなぁ! 舐めやがって! ぶっ殺しゃらぁ!」


残りの金は私が回収っと。使った金が増えて戻ってきた。これは私が金を惜しむことなく使った結果と言えよう。逆にヒョージはあこぎな事を企んだばかりに全財産を失ったあげく命まで風前の灯と。やっぱ人間まじめに生きるのが一番だよなぁ。


では約束通りヒョージにかけた契約魔法を『解除』っと。もうあいつに用はないしね。アレクとの勝負も私の勝ちだ。




「てめぇら動くんじゃねえ!」


ん? また新たな乱入者か? 私はもう帰るんだから後にしろよな。


「おらぁ! 動くなっつってんべがぁ!」

「殺すぞおらぁ!」

「このカス野郎がぁ! 死ねやあ!」


乱入者たちは手当たり次第店のチンピラどもに襲いかかっている。動くなと言っておいてそれはないだろうに……


「シム、俺の後ろに来い。」


「お、押忍……」


「シムだぁ? いたぜ! あのガキだぁ! あのガキ以外ぁ全員ぶっ殺せぇ!」


なんと。シムが目的なの? 一体なぜ……


『風球』


近寄る奴は全員ぶっ飛ばす。たぶん死んでないだろう。せいぜい内臓破裂程度かな。


「てめぇ! 蔓喰に逆らおうってのかぁ! タダじゃあ済まさんでやぁ!」

「そのガキぃ渡しゃあ半殺しで勘弁しちゃるってのによぉ!」

「おらぁ! さっさとせぇや! どっかの魔王みてぇな服装しやがってよぉ!」


あれ? こいつら蔓喰なの? しかも私のことを知ってるのか? 私は見覚えがない。あの時ゴッゾと一緒にいた奴らではないんだろうな。

でもとりあえず『風球』

喋る奴は一人でいい。全員寝てろ。




よし終わり。


「て、てめぇまさか本物かよ……」


「おおピルピル兄さん。無事だったか。本物と言っても、勇者ムラサキに負けてない方の魔王だからな。それにしてもお前はついてるな。蔓喰が乱入してこなけりゃお前らがああなってたんだからさ。」


「ルクルピだってんだ……」


蔓喰にやられた奴らもそれなりの怪我をしているが、内臓破裂よりはマシなんじゃないだろうか。


「さて、そこのお前。お前には喋ってもらうぜ? シムに何の用だ? ゴッゾにはこいつを保護してくれって頼んでたけどよ。どう見てもさっきのは保護じゃないよな? 言え。誰の命令で動いてんだ?」


『水壁』


さあ、いつもの拷問を始めよう。




顔中ぼこぼこにして水温六十度超えで水圧十倍とかにしてるのに、吐かない。マジかこいつ……ゴッゾの名前だって出してんのに。つまり、ゴッゾ系列でない他の幹部の指示ってことか。


仕方ないなぁ。


「お前の根性には感服した。だから褒美にこれを飲ませてやるよ。ローランド王国特製の高級ポーションだ。これを飲めばたちまち元気になるぞ。」


水温も水圧も元に戻し、ポーションを顔にかけて、残りを飲ませた。


「てめぇ……何のつもりだぁ……こんなことで俺が口ぃ割るとでも思うんじゃねぇぞ……蔓喰舐めんなぁ!」


「お、おい魔王……」


「ん? 何のつもりって、もちろん拷問の続きだが? 俺は拷問の技術なんかないからな。うっかり死なせたら困るだろ? だから何回でも飲ませてやるぞ。心配するな。ポーションはたくさんあるから。よかったなお前。これすっごく高いんだぞ?」


おっ、明らかに顔色が変わったな。せっかく耐えたと思ったのに、また始めからやり直しだもんな。


「だいたいお前さ、蔓喰って言ってしまってんだから黙ってても意味ないぞ? お前んとこの会長は可愛らしいそうだな。お前がこのまま黙ってるんなら会長に責任とって死んでもらうことになるが?」


「なっ!? や、やれるもんならやってみろや! 俺らぁ黙ってねぇからよ!」


「バカだなぁ。どうせ死ぬお前が心配することじゃないだろ? だってお前吐く気ないんだろ? だったら死ぬしかないな。とりあえず後三回ぐらい同じことするから、それまでに吐きたきゃ吐いてくれよ。吐いてくれたらポーション飲んでそのまま元気に帰れるんだけどなぁ?」


おっ、ますます顔色が悪くなってきた。そんなに会長が大事か。


「わ、分かった……言う、言うから会長には……」


よし、これでいい。正直面倒になってきたところだったんだよな。こんなダルいことを後三回もやってられるかってんだ。


それじゃあ契約魔法をかけて、と。

事情聴取!




ほうほう。

妙なことになってるな……

シムを狙ったのは蔓喰幹部のビレイドか。確かあの時の誓約野郎だよな。アレクがそいつと約束をしたと……

シムを引き渡したら間近で裸踊りを見せるだと……バカな……

アレクがそんな約束をするはずがない。百歩譲って扇情的に服を脱いでみせるとか……ならともかく、踊るなんて屈辱的な真似をするわけがない。

ははぁん、分かった。アレクめ、どうせ私に解呪してもらえばいいって考えてるな? 悪い子だ。ふふ、ビレイドめ。アレクをハメたつもりだろうが、甘かったな。まさか自分の契約魔法が破られるなんて思ってもないんだろう。

おまけにアレクったらあいつらの目の前で闇雲ストリップをしちゃったのか。えげつないなぁ……興奮度マックスじゃないか。なんて悪い子だ。お仕置きだな。アレクはお仕置きが好きだもんなぁ。ホント悪い子!


「よし、お前はこのまま帰っていいぞ。そしてビレイドに伝えとけ。シムは魔王が保護したからお前はもう用無しだとな。」


「あ、お、おお……」


「おっと、俺の宿は沈まぬ夕日亭だからな。困ったことがあったら言ってこい。助けてやらんこともないぞ? エチゴヤは嫌いだが蔓喰は嫌いじゃないからよ。分かったな?」


「お、おお……」


なんせ蔓喰にはその先も協力してもらわないといけないもんな。まだまだテンモカにはローランド人がいるんだもんなぁ。こりゃあ大変だわ。

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― 新着の感想 ―
[一言] なるほど。アレクのおかげで逆にシムの価値が上がっちゃったんですね。まあ無理もないけど。
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