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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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347、楼主乱心

どすどすと足音を立ててやって来たのは丸ぽちゃの若い男。この街はけっこう経営者に若者がいるんだよな。


「ぶふぅ、貴様うちの店に何か文句でもあるのか!」


「お前が楼主か。俺はこういうモンだ。」


身分証を見せる。


「はぁ? ローランド……き、貴様が魔王か! 妖禁楼を潰しておいてよくものうのうと! おい! さっさと蔓喰のゴッゾさんを呼べ!」


「は、はいぃ!」


楼主の後ろに控えていた男が走り出した。おやおや、ゴッゾが来るのか。昨日あれからどうなったか気になるし、ちょうどいいな。


「で、俺に向かってボケだのチビだの言ったあげくぶん殴ってくれた落とし前はどうするんだ?」


「ぶふん! 拾うがいい!」


小判が一枚。十万ナラーか。絡んできただけのチンピラに払う額としてなら高いんだけどな。


「何だそれ?」


「見ての通りだ! それを拾ってさっさと帰れ! さもないと蔓喰の幹部『剛拳ゴッゾ』さんが来るぞ! 貴様なんぞたちまち殴り殺されるわ! ぶふぅ!」


「ふぅーん。そんな態度か。女を一人渡したら許してやろうと思ったのによ。この店も更地決定だ。よかったな。昨日の店がどうやって更地になったか勉強させてやるよ。」


「ぶふっ!? ふざけるな! いや、やれるものならやってみろ! すぐにゴッゾさんは来てくれる! そしたら貴様など一捻りだからな!」


ほおぅ……


「では、お言葉に甘えて……アレク、外に出ようか。」


「ええ。シムも出るわよ。」


「押忍!」


こいつアレクにはいい返事をするんだよなぁ。


「ぶはははぁ! どうした! 金を拾っていかないのか? そうだよなぁ! ゴッゾさんが来る前に逃げた方が賢明だからなぁ!」


「昨日よりもっと面白いもんを見せてやるさ。おい、そこの客。お前らも出た方がいいぞ。」


この楼主もよく客の前でこんな会話できるよなぁ。お客様は神様じゃないのか?


「やれやれ……せっかくの楽しみが……」

「いい店だったんだがなぁ……」

「他にどっかある?」


えらく物わかりのいい客だな。




「お楽しみを邪魔して悪かったな。これで遊んでくれ。」


小判を一人一枚ずつ。楽しみを奪ってしまったからな。


「気風がいいねぇ……」

「ほどほどにね……」

「次どこ行く?」


三人とも大人しく金を受け取って移動していった。


さて、ではやってみようか。


『風壁』


店の周囲を覆って……


『浮身』


解体せずにいきなり浮かせる。店を丸ごとだ。いけるか……


建物がぶるぶると震えて……ゆっくり浮かび……上がった。よし。このまま行くぜ!


「アレク、ちょっと待っててね。」


「ええ、いいわよ。」


入口から慌てて数人が飛び出してきて、勢いのままに足を踏み外して落ちていく。すでに地上から数メイルほど浮いてるからね。


あらら、アレクったら。野郎が落ちてきても無視してるけど、女の子が落ちて来たら浮身を使ってあげてるよ。慈悲深いね。さすがアレク。あ、野次馬が集まって来た。当たり前か。めっちゃ街の中心部に近いもんな。でも気にしない。


『風操』


浮かせた建物をシェイク。ほーれほれほれ。さっさと逃げないと危ないぜぇ?


「ぶふぁっ! きっ、貴様ぁ! 何をやっておるかぁ!」


あ、ようやく楼主が出てきた。いや、落ちてきた。


「お前のお言葉に甘えてな。好きなようにやらせてもらってるぜ。ところでゴッゾのやつはまだか?」


「きっ! 貴様ぁ! ゴッゾさんを呼び捨てにしたなぁ! 死ぬ! 貴様もう死んだぞ! ゴッゾさんは怖い方だからなぁ!」


「それよりもう全員外に出たか?」


従業員が何人いるかなんて私は知らないんだからな。


「ぶふっ? そのようなこと貴様には関係ないわぁ! お前達! ゴッゾさんを待つまでもない! やってしまえ!」


野郎の従業員が私を囲むが……


「今、俺が魔法を解いたら……建物が落ちてぶっ壊れるだろうな。それでもいいのか?」


ほぉれ。もっと高く上がるぜ?


「ぶふっ? ひ、卑怯な! 男なら正々堂々と勝負するという気概はないのか!」


「お? 何だお前。正々堂々と勝負がしたいのか? その太い体でか? いいぜ。やろうぜ。お前が勝ったら建物も降ろすしそれなりの金も払ってやるよ。」


「ぶはははぁ! 言ったなあ! だが金だけじゃ足りんなあ! そこの女も賭けてもらおうかあ! ローランドの金髪女は大人気だからなあ! ぶひひひひひ!」


「いいわよ? ただし、あなたの全財産を賭けてもらうわ。いいわよね、カース?」


私より先にアレクが返事をしてしまった……アレクったらもう。


「まあ、いいけどさ……」


かわいいアレクを賭けた勝負だなんて! この豚野郎は殺そう。


「ぶぃーひっひっひっ! 聞いたぞ! 確かに聞いたからなあ! もう撤回はできん! さあお前達! やってしまえ! あれだけの女が手に入れば建物の一つや二つどうにでもなる! あいつの手が塞がっている間にやってしまえぇー!」


ちっ、まだ契約魔法かけてないってのに。慌てる何とかは貰いが少ないって言葉を知らんのかよ。だが……


『氷散弾』


アレクによってあっさり一掃された。アレクって平気で私にも流れ弾を当てるんだよなぁ。そこもかわいいんだけど。


「頭悪いんじゃない? 私が返事をしたのよ? だから相手は私。それがなぜカースに集まってるの? 隙だらけだったから気にせずやらせてもらったわ。後はあなただけね。覚悟はいい?」


「ぶっ、ひいぃ! ま、待て、待てば分かる……!」


何言ってんだこいつ?


「今死ぬか、全財産を差し出すか。どっちにするの?」


「あっ! ゴッゾさん! 助けてください! こいつらです! やっちゃってくださいよぉ!」


背後を振り向くアレク。その隙に……「ぶひゃははぁ! 死ねぇ!」何かをアレクに投げつけやがった。あれは……!?

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― 新着の感想 ―
[一言] おっと例の毒かな?
[一言] そんな見え見えのに乗るアレクさんでは無いから、何を投げられても避けてしまう気がしますね。
[一言] 楼主、色んな意味でしょうもないですな。 死ななきゃ分からないレベルにいってそうだけど、カースは助けるのかな?
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