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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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345、買われたローランド人

ふう……十一人終了。

結構疲れるな……やっぱり私に頭を使うことは向いてない。さて、最後の一人。


「待たせたな。」


「いえ、良きものを見せていただきましたえ。改めまして『満男夢(マンダム)』のジーナ・セセラゴと申します。うちからはこの四人ですえ」


「どれどれ……」


男が四人。買い取り時の価格がまとめて二千三百万ナラーか。結構高いな……ああ、これって一人だけ二千万近い奴がいるのか。似顔絵を見るとかなりの美少年だね。ウリエン兄上を幼くして細くしたらこんな感じかも知れないな。


「この内容に嘘や間違いはないな? そして他に帰りたがってる者もいないな?」


「ええ。ありませんし、いませんえ。お代は四人合わせて三千万ナラーで結構ですえ。うちだけ欲をかく訳にはいきませんから」


「いいだろう。ほれ。」


「確かに頂戴しましたえ。これにてうちらの店には手出し無用で頼みますえ? お客として来ていただけるなら大歓迎しますけどねえ」


「そっちは間に合ってる。うちのアレクサンドリーネより美しく、叡智と気品と魔力に溢れた床上手がいるとでも言うのか?」


「さてねえ? 床上手ならいるかも知れませんえ? 例えばうちとか。今夜どうですかえ? 悦楽の限りを尽くしてみせますえ?」


そんな太い体で言われてもな。肌艶は良さそうだが。


「はは……悪いな。それはそうと、全員に確認しておくが……今後ローランド人を買った場合は話が別だからな? 次は値段に色を付けて買い取るなんて真似はしない。いきなり店が更地になると思え。身元確認はしっかりやれよ?」


意味もなく魔力を撒き散らす。ダダ漏れだ。ほぉら、寒気がするだろう?


「え、ええ……重々承知しており……ますえ……」


へえ。この女は体だけじゃなく肝まで太いんだな。他の奴らは一言も喋れなくなってるのに。


こうやって買う店が減れば拐われる人間も減るか……

うーん、たぶん違う街や違う店に売られるんだろうなぁ……




よし!

気分を切り替えて昼飯だ! 楼主達は帰ったが買い取った奴らには食わせてやらないとな。


「これだけ全員入れる?」


近くに控えていた客室係に相談。


「ええ、大丈夫です。どうぞこちらへ」


四十人以上いるが問題ないか。さすがは高級宿。食堂も広いね。


「メニューは任せる。適当に人数分を頼むな。俺達の分も同じでいい。」


「かしこまりました」


「よし、じゃあお前ら。昼飯にするからさっさと座れ。軽く今後のことを説明してやるから。」


きびきびと動く奴もいれば、のそのそと動く奴もいる。私はさっさと座れって言ったんだがな。




「あー、お前らが座るまで三分かかった。次からきびきび動け。じゃあ今後のことだが……」


「何をさせるつもり!?」

「今度はどこに連れていくの!?」

「男も女も見境なく買い集めるなんて……どんな変態よ……」


「それを説明するから黙って聞け。質問は後、手を挙げた者から一人ずつ答えてやる。」


よし。黙ったな。少し魔力を放出してやったからな。どこも何もローランドに帰りたい者ってことで集めたんだけどな。


「お前らの行き先だがオワダだ。そこですでに集まってるローランド人と一緒にローランド、おそらくバンダルゴウへ渡ることになる。そこから後は好きにしろ。帰ってからの身の振り方に不安がある者は後で相談だ。ここまでで質問は?」


ぷるぷると震える手が挙がる。


「よし、そこのお前。」


「バンダルゴウで好きにしろってどういうこと……ですか?」


「そのまんまだ。お前達は自由だから好きにすればいいだけの話だ。ローランドに帰りたいんだろ?」


帰りたい者だけを買い集めたんだから。


「まさか……本当に? そんなことしてあんたに、何の『風弾』ときゃっ!?」


「あんたじゃないわ。魔王様と呼びなさい。でないと次はその腹に穴を空けるわよ?」


おお、アレクは厳しいね。


「ご、ごめな、さ……魔王様に何の得が……あるんですか?」


「得なんかないぞ。むしろ大損だ。今からどんだけ金が出て行くかも分かったもんじゃないしな。」


ちなみに現金は三億ナラーを切った。エチゴヤから巻き上げた金も残り少なくなってきたなぁ。


「じゃ、じゃあなぜ! 損をしてまで助けるんですか!? 体が目当てですか!? こんな汚れた体で良ければいくらでも差し出しますよ!」


いらーん。


「お前は仲間が困ってたら助けたいとは思わんのか?」


「思うに決まってる! 決まってるけど……ここじゃあ情けをかけた方が負け……稼げる女が勝ちだから……」


稼げる男もいるんだろうなぁ……


「助けたいけど助けられないって言いたいのか?」


「そ、そうです……」


「なら、俺が助けたいから助けて何か文句があるのか? 同じローランド王国の仲間だろ? 俺達はクタナツ出身だが、お前はどこだ?」


「ホユミチカの南……ホレ村……」


「なんだ。同じフランティア領じゃないか。ならますます助けたっておかしくないだろ?」


もちろんそんな名前の村なんか知らないけどね。


「クタナツの……私、もう十年以上前だけど……クタナツ騎士団のマーティン様に助けられたことがあって……その時は魔物が相手だったけど……でも……盗賊に拐われた時は助けてくれなくて……ううっ……うううっ……村に、ホレ村に帰りたいよぉーーーーー!」


へー。父上やるなぁ。大抵北の方ばかり行ってるイメージだったけど、南にも行くんだね。


「だから帰してやるって。今度は盗賊なんかに捕まるなよ。今あっちじゃ盗賊はかなり減ってるけどな。」


総数は減っただろうけど、合併して大きな集団になってそうだけどね。


「聞け! この魔王ことカース・マーティンは! 好色騎士アラン卿と! 聖なる魔女イザベル様の三男! お二人の名にかけて! お前達をローランドの地まで送り届けるだろう! それが信用ならぬ者はこの場から去れ! すでに払った金を返せなどとは言わぬ! 魔王の気高き心根が分からぬ者に! 慈悲を受ける資格などない!」


おおぉ……アレクすごい……拡声を使ってないのにずばっと響いたよ。めっちゃかっこいい。


「好色騎士……?」

「無尽流の……?」

「確か剣鬼と……」

「魔女様って……」

「王都の……」

「皆殺しの……」


こいつらにローランドの魔王って言っても通じないよなぁ。大昔に拐われてきたんだから。それでも父上や母上のネームバリューなら通用したようだ。


しかし困ったな。アレクめ……ローランドまでって言っちゃったね……

もー! オワダに送って終わりにしようと思ったのに!


まあいいや。食事の用意ができたようだ。とりあえず一旦中止。食べてからにしよう。

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― 新着の感想 ―
[一言] つーことはローランドに帰るのかあ。 また、こっちに戻るかは知らんけど。
[良い点] これは……カース達も一旦帰国する流れ? 久々のローランド、楽しみです♪
[一言] >「あー、お前らが座るまで三分かかった。次からきびきび動け。じゃあ今後のことだが……」 全校集会の時の校長先生みたいなこと言ってるww 流石元教師!w
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