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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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249、ボス部屋前での一幕

現れた魔物はもちろんウェアパンサー。身の丈五メイルってとこか。ボスにしては小さいが人間から見れば巨大だよな。隊長のやつ、こんなのと接近戦する気かよ。さっそくムラサキメタリックの鎧を纏ってるし。


『ギョゴオオオォォォーーーー!』


おっ、魔声だ。でもムラサキメタリックには全然効かないよな。


あっ、吹っ飛ばされた。ごっつい蹴りが命中したもんな。避けようとしてなかったよな?


「ギャピピピィ!」


あら? ボスも何やら痛がってる。おお、右足の親指が切断されてる。蹴られながらもやったのか。やるねぇ隊長。


「ぐっ……」


おおー、立ち上がった。いくら無傷だろうとあれだけの勢いで吹っ飛ばされたら脳みそぐらぐらだろうな。


「ゴォボォォォォーー!」


猛然と襲いかかるウェアパンサーのボス。上から叩き潰すように爪が迫っている。迎え討つ隊長。あーまた吹っ飛ばされた。やっぱ体格差は無情だなぁ。


「ギャビィ!」


おお、今度は右手の人差し指を切り落としたのか。やるもんだな。でもあれって人差し指って言っていいのか? 猫の手を大きくごっつくしたような形状だよな。二足歩行だからつい手って言ってしまうよな。


「ぐっ……」


立ち上がるねえ。それにしても一対一でこの戦い方は無謀だろ。ムラサキメタリックの鎧と剣がなければとっくに殺されてるぞ。


「ゴオオォォオオォーー!」


切り落とされた自分の指先を拾って……投げた?


「ちっ……」


さすがに隊長だって避けるよな。ふらつきながらも……

あら、ボスのやつこっちに来やがった! もー、あっちに行けよなー。


『榴弾』

『徹甲弾』

『白弾』


榴弾で一瞬動きを止めて腹に徹甲弾をブチ当てる。注意を逸らしてトドメは喉元に白弾で終わりだ。


「おーい隊長、大丈夫か?」


「あぁ……だが、やはり一人では無理だったか。すまん、助かった……」


「歩けるか?」


「あぁ……どうにかな……」


ちなみにボスが落とした素材はやはり毛皮だった。豹柄? うーん使い道がなぁ……まいっか。ゲットだぜ。


よし、いよいよ地下四十四階か。どうしようかな。アレクは疲れてるしな。よし、一気に行こう。


「アレク、こっちに乗ってよ。隊長も乗りな。」


ここはミスリルボードの出番だな。全員を乗せて一気に行こう。


「こ、これは……」


「空飛ぶ不思議な金属さ。いいから乗りな。」


「なんと……てっきりミスリルかと思ったが、ローランド王国にはそのようなものがあるのか……」


この隊長、実は天然なのか? さて、全員を乗せて飛ばすぜ。轢き逃げ御免でゴーゴゴー。




一時間もしないうちにボス部屋に到着。罠も魔物も全部ぶっ飛ばしてやった。魔力でごりごり力技だ。ふふふ。


「カースお疲れ様。じゃあボスは私がやるわね。」


「ガウガウ」


「あーごめんアレク。カムイがやりたいって。」


「あら、そう? カムイも退屈してたのかしら? いいわよ。任せるわ。」


「ガウガウ」


では、いざ参ろうかね。扉を開けて……開かない……


「これって中に先客が入ってるってことかな。仕方ない、のんびりしようか。アレクの紅茶が飲みたいな。」


「ええ、いいわよ。待っててね。」


「ピュイピュイ」


コーちゃんは酒? もー。昼間っから悪い子だなあ。一杯だけだよ。


「おそらく一番隊だろうな。あいつらならばきっと勝てるだろう……」


ふーん。ここでようやく最後の赤兜か。一応待つ間に魔物が来ないよう周囲を氷壁で密閉しておこう。


「ガウガウ」


待ちきれないから開けろって? もー、せっかくアレクが紅茶をいれてくれるんだから待てって。今夜は水人形じゃないくて私が手洗いしてやるからさ。


「ガウガウ」


分かればいいんだよ。まったく。大人になったんじゃなかったのかよ。あ、体だけだったっけ?




「お待たせ。はいカース。」


「おお、ありがとね。」


「隊長もどうぞ。」


「かたじけない。いただこう。」


はぁ……美味しいなぁ。アレクって何でもできるよなぁ。料理は上手いし魔力は高いし、夜は激しいし。そのうちハイパー床上手になりそうだしね。あぁ幸せ。暖かいなぁ。


「旨い……見事に茶葉の息吹を見切っている。時間、温度ともに最適……ローランドの高位貴族とはこれ程なのか……感服つかまつった……」


意味が分からん。何を言ってんだ?


「へぇ……あなたって酒だけじゃないのね。ヒイズルにもまともな舌を持つ者がいるとはね。驚いたわ。」


なんと! そうなのか! 隊長の言うことは正しいのか! 悔しい! 私には全然分からないのに!


「いつも美味しいよ。アレク大好き。」


「も、もう……カースったら……バカ……//」


ふふふ。悔しいからアレクを喜ばせる選手権を勝手に開催した。私の勝ちだ。これ以上アレクを喜ばせることなどできまい。


「よければ茶飲みがてら二人の馴れ初めを聞かせてはくれぬか? 非常に興味が湧いたのでな……」


「もう、仕方ないわね。そんなに聞きたいのなら話してあげるわよ。あれはそうね……クタナツ初等学校一年の四月だから、もう十一年前ね。春の風が吹く麗かなあの日、私とカースは出会ったの……」













「……というわけでヒイズルまで来たわけ。で、オワダからカツラハ村を経由してカゲキョーまでやって来たの。分かった?」


「あぁ……よく分かった……」


アレクは話しも話したり、およそ二時間。私は聞いてて面白かったからよかったが、こいつは地獄だったんじゃないか?


「ガウガウ」


そろそろ開いてるんじゃないかって? どれどれ……おっ、開く開く。よーし、そんじゃあ行こうか。四十四階のボス戦だ。戦うのはカムイだけど。

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― 新着の感想 ―
[一言] こんな所に軽い地雷があったとはw
[良い点] もう十一年前か……、懐かしい。
[一言] あー、コーちゃんと昼酒が飲みたい。
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