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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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243、隊長サザール・ナミクサ

こいつらって全員が全員とも頭まで覆うフルプレートの鎧だから全然区別がつかないんだよな。隊長はどいつだろう?


『金操』


魔力の消費がきついが無理矢理頭部を外して確かめる。残念、こいつじゃない。『狙撃』


次は……


「て、てめぇ……一体どうやって……」


お、この声はさっきの奴かな?


『金操』


正解。さっき見た顔だ。隊長でないなら用はない。『狙撃』


「ま、待てっが……」


待たん。お前らなんか助けるわけないだろう。




さて三人目。


『金操』


当たり。三人目の正直ってか。こいつが隊長だ。まだ意識を取り戻してないな。よし、ならばもう他の奴に用はない。


『氷壁』

『火球』


一人ずつ氷壁で覆い、内部に火を灯す。いくら魔法が効かない鎧でも中身は普通の人間だもんな。意識を失ったまま死ぬといい。


「て、てめぇどこから……入り込んだぁ……」


おっ、一人意識を取り戻したか。やるねぇ氷壁を壊しやがった。だが少し遅い。


『螺旋貫通峰』


「ぐばぉっ……バカな……この鎧が……」


『火球』


棍の先から魔法を使う。普通はこんな使い方をすると肉体は爆発四散するんだが、ムラサキメタリックの鎧はさすがだね。微動だにしない。鎧の僅かな隙間から肉のミンチが噴出するだけか。後一人。


『金操』


やはり頭部を外してから『狙撃』

よしここまで。隊長が目を覚ますまでの間にムラサキメタリックの装備を回収しておこう。全部私のものだ。もうかなり集まったよな。五十人分ぐらいあるんじゃないか? いい土産になりそうだ。




休憩を挟みつつ、どうにか全ての鎧を魔力庫に収納し終わった頃。隊長が目を覚ました。


「う、うう……き、貴様!?」


「よう隊長、おはよう。気分はどうだい?」


「さ、先ほどは一体どうやって……」


「別に、ただ扉に穴を開けただけさ。約束通り待ったけど、あまりに遅かったもんでな。」


「な、なぜ部下を殺した……」


当たり前だろ……


「あの中の一人が俺に向かって殺すって言ったよな。その言葉を口に出したからには勘弁できんな。あんただけはまともな人格のようだから勘弁してやったけどな。」


「くっ……急にウェアタイガーが強くなったからおかしいとは思ったが……」


「済んだことはもういいだろう。それより装備を赤い方に換装してくれよ。いいことしてやるからさ。」


「い、いいこと……だと?」


別に裸になれって言ってるわけじゃないんだからさ。そんな訝るような目で見るなよ。


しぶしぶと装備を換えた隊長。意外に素直じゃないか。では『解呪』


「うっ、ぬぬぅ……」


「ジュダに会ったことあるんだよな? しっかり洗脳魔法をかけられてたみたいだぜ?」


やはり洗脳魔法を解呪すると魔力の消費が酷いな。どんだけ魔力を込めてやがるってんだ……


「そうか……そうだったのか……」


「で、えらく妙な六人組だったな。一体どういうパーティーなんだ?」


まるで小学生を率いる教師のようだったぞ。


「あいつらは天都の有力貴族の子弟だ。ここで修行を積み、いずれはシューホー大魔洞の踏破を成し遂げるべく俺に預けられた……」


てことはこの隊長は名のある騎士なのか。


「あれでねぇ……まともに戦う分には強かったのか?」


「ああ……才能はあったと思う。魔力もかなり高かったしな……」


「ん? せっかく魔力が高いのになぜあんな接近戦ばかりやってんだ? 連携だってあんまり上手くなかったように見えたが。」


「今後の成長のこともあるが……この先、四十五階を突破するためだ……」


おっ? 気になる話が出たぞ?


「もう少し詳しく聞かせてくれよ。」


「あ、ああ……だが時間はいいのか? いつまでもここに居ては……」


「ああ。大丈夫大丈夫。気にしなくていいから。」


ボスが再び現れたらカムイが喜んで戦うからね。


「ガウガウ」


「あ、ああ……四十五階は全体的に魔法が使いにくいんだ……どうやらそういう仕組みらしく火球などの魔法を使っても威力が一割以下に落ちたりもする……場所にもよるんだが……」


「へー。それは驚きだな。だから魔法なしでも勝てるよう今から剣メインで戦ってるってわけか。」


意外にまともに先の事を考えてるんだね。


「そうだ……だが今となっては水の泡だがな……」


「残念だったな。つーかなぜあんなに急いでたんだ? 順番を待てば揉めることもなかったろうによ。」


「あいつらが『待つ』なんてこと、できると思うか? もっとも、二時間かけてもウェアタイガーに勝てないとは思ってもみなかったがな……」


「あー悪い。体感だからな。待ち遠しくてつい早く入ってしまったかもな。」


もちろん嘘だけど。アレクが二時間って言ったら二時間なんだよ。間違いない。


「そうか……だがもういい。あんな奴らと縁も切れたことだ。とても気分が清々しいしな……」


「そいつは良かった。ならもう外に出るのか? ちょうどここは四十一階だし。」


「それもいいが……貴様達に興味がある。邪魔でなければ同行させてくれないか? 戦力的は役に立てなくても、情報面でなら役に立つこともあるだろう……」


うーん、どうしようかな……

確かに邪魔ではないんだよな……アレクに目で相談してみる。


「カースの好きなようにしていいわよ。どちらでも大して変わらないと思うし。」


それもそうか。ならばこれも縁ってことで。


「よし、ならしばらく同道するか。ただし、契約魔法はかけさせてもらうぞ?」


「ほう、そのような魔法まで使えるのか……内容は?」


「簡単だ。俺達に嘘をつかない、危害を加えない、邪魔をしない、だ。約束だぜ?」


こんなもんだろうな。落とした素材の分配もあるが倒した者が総取りすればいいし。


「ああ、分かっだがぁっがっお……」


「効いたようだな。では改めて自己紹介といこう。カース・マーティン。ローランド王国の六等星冒険者だ。」


「アレクサンドリーネ・ド・アレクサンドルよ。」


「ピュイピュイ」

「ガウガウ」


「赤兜騎士団、いや……元赤兜騎士団、第三分隊隊長のサザール・ナミクサだ……」


旅は道連れ世は情け。こんなのも旅の醍醐味だよな。では、いざ四十二階へ。

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[一言] ここで同行者が。 さて、どうなる?
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