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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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236、赤兜との対話

うーん、解呪に要した魔力がえらく少なかったな……効くのは間違いなく効いたが。

でも、見た感じ変化はないな……


「ん? 今何か魔法を使ったな?」

「攻撃じゃないな。回復系か?」

「いきなり魔法を使うとは無礼だな」

「で、何をした?」


うーん、不思議な奴らだな。えらく冷静だし。


「今のは解呪だ。赤兜は天王に洗脳されてるらしいからな。お前達ほどの騎士を洗脳して無理矢理このような危険な場所で戦わせてることに憤りを感じてな。全員ではないが、出会った赤兜には解呪をかけているってわけだ。」


「貴様……今何と言った……」

「呼び捨てにしたなぁ!?」

「天王陛下と呼ばぬかぁ!」

「しかも天王陛下が我らを洗脳しているだと!?」

「いや、待て。こやつは他国の者。無礼な言動も一度は許すべきだろう」

「うむ、それもそうだな」


おかしい……洗脳魔法を解いたのに……どうなってるんだ?


「貴様ぁ……カース・マーティンと申したな。他国の者ゆえ主君でもない方を陛下と呼ぶわけにもいかぬ気持ちは分からんでもない。だが、ここはヒイズルの国なのだ。もう少し言動に気を遣ってもらえるか?」


すごくまともな事を言ってる。むしろ私が礼儀知らずの無法者だ……


「悪かった。お前の言う通りだ。お前達ほど筋の通った騎士を心酔させるとは、偉大な国王なのだな。ここの全員は御目見なんだろ?」


「いや、我らは現天王であらせられるジュダ・フルカワ陛下にお目にかかったことはない。だが、先代アラシ・フルカワ陛下の御恩を忘れたことなどない。」


ん? どういうことだ? 確かにこいつらには何かの魔法がかかっていた。もしかして洗脳魔法ではなく何か違う魔法だったんだろうか?


「なら先代天王陛下の恩に報いるために、こんな危険な任務でも喜んで従事してるってことか?」


「当然だ。我ら赤兜はヒイズル王家直属の騎士。国のために貴重な素材を手にし、神の恩寵は王家にありと知らしめるのは当然のことだ。」


うーん、ますます分からん。一体どうなってんだ?


「ならお前達に直接命令したのは誰なんだ? 確か迷宮に騎士以外の立ち入りが禁止されたのは今の天王陛下になってからだよな?」


「丞相のボガイト・アラカワ殿だ。もっともジュダ陛下の勅命書を読み上げられただけなのだがな。」


なぜ、こいつらには洗脳魔法をかけなかったのか……かけても意味がないから? こいつらの忠誠心はどうやら本物だ。ならば命令すれば何でもやる。それだけに魔力を使ってまで洗脳をする必要がなかったから……とか?


「もし、差し支えなければその命令書を見せてもらえないか? 一応これ、俺の身分証だ。」


「なっ、只者ではないと思ったが……まさかローランド王国の国王殿直属とは……しかも直属であるにもかかわらず物見遊山ができる身分とは……」

「ならばそちらの少女もそれなりの……」


アレクって少女と言うには出るとこ出てて大人っぽいんだよな。顔だって派手だし。


「アレクサンドリーネ・ド・アレクサンドルよ。昔で言う三大貴族と言えば通じるかしら。」


今はクワトロA、四大貴族だもんね。


「ほぅ……建国以来の名門だと聞いている……申し遅れたが我々はカゲキョー赤兜騎士団一番隊第四分隊、私は隊長のドローガ・シオノだ。命令書が見たいとは変わってるな。」


「よく言われる。おお、それが命令書か。ちょっと借りるぞ。アレクも見てね。」


「ええ。あれ? これってもしかして……」


さすがアレク。気付いたね。


「それがどうかしたのか?」


「いや、大した話じゃない。契約魔法が仕込んであるだけだ。それも所持しているだけで効果が現れるタイプだ。」


「バカな! 契約魔法だと? 我らはそのようなもの、身に覚えがないぞ!?」


「具体的にどんな効果があるかなんて知らんぞ。そこまで詳しいわけじゃないからな。アレク、分かる?」


「私も詳しいわけじゃないけど……これは多分、ある感情を少し、ほんの少しだけ大きくするみたいね。例えば忠誠心なんかを。」


それって契約魔法ってより、やっぱ洗脳魔法じゃん。つまり、ジュダの奴は直接使うこともできるし、こうやってじっくり契約書形式で洗脳もできるってことか。ひょっとしてこいつらは魔力が高いから抵抗(レジスト)されるとマズいってんでこんな迂遠な方法をとったのか?


いやいや、それで洗脳しても効果があるのは隊長のこいつだけだ。一体何がしたいんだ?


「うーん、お前達ってさ。ヒイズル王家に忠誠を誓ってるんだよな? じゃあジュダ陛下にはどうなんだ? 先代陛下と同じく忠誠を誓っているのか?」


「くっ……痛いところを突いてくるな……」


「他国人である俺達には言いにくいだろうけどな。」


まあ、同僚であっても言いにくいよな。


「バレているようだな。言いにくいことだが、我々はジュダ陛下を未だに信じきれていない。確かにメリケイン連合国からの流れ者とは聞いているが、そんなもの実力を示せばよいだけの話だ。だからこそ先代のアラシ陛下もジュダ様を次期天王にご指名なされたのだろう……」


それにしてもこいつよく喋ってくれるよな。そんなに話していいのか? これも契約魔法の効果だったりしてな。


あ、それならついでに聞いてみよう。


「クワナ・フクナガとセキヤ・ゴコウって知ってるか?」


自称勇者のセキヤと優勝して実力を示したクワナ。契約魔法で吐かせたから本名であることに間違いはない。さあ、知ってるのか?

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― 新着の感想 ―
[良い点] おおっ! セキヤとクワナ! この2人の話がいつ出てくるか、気になっていたんですよ。
[一言] 手の込んだ洗脳魔法の手法もある。 今後の対策のモデルケースになるかも。
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