210、蛮族バンデッド
『ブタブタ金融有限公司 ~絶対もうかる投資法!?~』を書かれております『黒鯛の刺身♪』さんより27件目のレビューをいただきました!
ありがとうございます!
ここのボスは身の丈五メイル程度のコボルト。身長が私の三倍とするならば体重は二十七倍となる計算だ。魔法なしの素手なら勝ち目などあるはずがない。カムイはあっさり仕留めてたってのに。
痛ってぇー!
ちくしょうめ!
でかい奴はそれだけで強い!
私は腹なら殴られても全く無傷だ。ドラゴンウエストコートがあるから。
しかし!
殴られると吹っ飛んでしまう。その時に頭を打ったりして痛いんだよな。ぐらぐら揺れるし……ちくしょう。アレクが心配そうな顔して見てるじゃないか。アレクの前で無様な真似をさせやがって! このデカコボルトめ! オラぁ!
「ギャゴビッャァァーー!」
殴ってきた拳に不動を合わせてやったぜ! 私の方も棍を握ってる手首に結構なダメージがあったんだけどね。でも今がチャンス! オラぁ足元がお留守じゃあ! 膝もらいぃ!
「ゴョッゴバァァーー!」
よし! 膝をぶち砕いてやったら頭がいい高さに降りてきた! 死ねや!
「ゲュッゴォビュ……」
よぉし……終わった……
めっちゃ疲れた……よく勝てたな私……汗びっしょりだよ……『浄化』
あー疲れた……
「お待たせ……」
「格好良かったわよ。じゃあ次の階は私が頑張るわね。見てて。」
「オッケー。任せるね。」
あー疲れた……体は痛いし、やっぱ私に肉弾戦は向いてないよなぁ。
そして地下二階か。全然変化なし。まあ歩きやすいってのはいいな。本当の洞窟だと足元なんかゴツゴツだもんね。
あっ、ゴブリンだ。
『風斬』
さすがアレク。わずか一発の風斬で五匹のゴブリンの首をかき切った。やっぱり死体は消えるのね。小さな魔石が五つ。これ一個で百ナラーか、それとも五十ナラーかな。
それに引き換え私はだめだ。もう歩くのやめよう。カムイ、乗せてくれよ。
「ガウガウ」
昔の大きなカムイと違って今のカムイは座りにくいな。毛のサラサラ度は上がってるけど。うーん、サラサラすべすべで座りにくいな。乗馬で鍛える体幹トレーニングみたい。
特筆することもなく歩き続ける私達。アレクは魔法を使ったり短剣を使ったりしてゴブリンを退治している。
そして地下二階のボス部屋へと到着した。カムイがいると全然迷わなくていいなぁ。どこからそんな匂いがするのか私にはさっぱり分からないが。
あれ? 扉が開かない。外から押すタイプの扉のはずだが、押しても引いても開かない。試しに横に引いてみたが、やはり開かなかった。
『徹甲弾』
やっぱだめか。傷一つついていない。もしかして先客がいるからロックされてるとか?
『金操』
『風操』
不動に勢いをつけて扉を突いてやった。よし、穴が空いたな。これで中の様子を見ることぐらいできる。
ほうほう。
ボスは一階と同じく身の丈五メイル程度のゴブリンか。別に上級ゴブリンってわけではなく、ただ大きいだけだな。あ、終わった。さすがに赤兜どもはデカいだけの相手に苦戦することはないのか。
ん? 終わったのにまだ開かないぞ? まさか再びゴブリンが現れるまで一時間待たせる気か? 嫌なこった。
『おおーい、そっちからこの扉を開けてくれよー!』
穴から拡声で声をかけてやった。おっ、気付いたな。訝しがりながら寄ってきた。
『すまんな。開けてくれるか?』
あっちからも穴越しに覗いている。なのに動きがないな。内側からなら開けられそうなもんだけどなぁ。
「アレク、ここに立ってくれる?」
「ええ、どうしたの?」
「手で髪の毛をかき上げて扇情的なポーズ、そうそう。よし、そのままね。」
『風操』
ゆっくりと捲れていくアレクのミニスカート。
「ちょ、ちょっとカース!?」
「まあまあ、いいからいいから。」
だが、ギリギリで下着は見せない。あいつらなんかにアレクの聖布を見せるわけないだろう?
よし。勢いよく、なのに音も立てずに扉が開いた。すかさず『解呪』何っ!?
「おおーっと? 舐めた真似すんじゃねぇかこんガキぃ?」
「おめぇ殺してからその女で遊んでやんぜぇ」
「あ、あれ?」
「お、おお、ここは……」
「うっ、頭が……」
「お前は、誰だっけ……」
ちっ、六人中二人がムラサキメタリックの鎧に換装してやがったか。解呪が効いてない。
『徹甲弾』
『徹甲弾』
『榴弾』
ならば普通に先制攻撃。話なんかは後でもできる。
はい終わり。全員無傷だが気絶している。やっぱ鎧が凄くても中身は平凡だよなぁ。装備に頼ってちゃあいかんよね。自戒しよ。
面倒だが一人ずつ装備を剥いで現金と迷宮で手に入れた獲物を奪って契約魔法をかけてと。ムラサキメタリックは実験も兼ねて放置しておく。どうせムラサキメタリックは収納できないし、赤い鎧だけ貰っておいた。このまま帰らせると途中で死ぬかも知れないので、オワダのエチゴヤの拠点から没収した武器を渡してやる。どうせ雑魚ばっかりだから大丈夫だろう。用が済んだので扉の外に蹴り出して、扉を閉める。
呆然とする顔でも見てやろうかと思ったらもう扉の穴が塞がってやがる。なんだそれ?
おっ、ボスが現れた。やはりデカいゴブリンか。アレクの『氷弾』五連射で終わった。
「見事な連射だったね。あれは避けられないよね。」
「ありがとう。ところでそろそろお昼にしない?」
「そうだね。僕もお腹が空いてきた頃だし。ここならボス以外現れないからいいよね。」
よーし肉だ肉。今日は昼から肉をがっつり食べたい気分なんだよな。筋肉痛だからかな?
ブタブタ金融有限公司 ~絶対もうかる投資法!?~
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