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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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197、タツとエチゴヤ

そうやって歩き続けること五日。タツが連れてる女はついに十人を超えた。


「さぁて魔王さん、そろそろお別れだ。俺たちぁこのまま南に下る。魔王さんたちぁカゲキョー洞窟に行くんだったな。」


「ああ、それより気になることが二つある。一つは金だ。足りるのか?」


この先他の村にも寄るつもりなんだろう。まだまだ女を買うって言ってたもんな。


「痛い所を突いてくるじゃねーか。ないっつったら融通してくれんのか? 他国の女衒なんかによぅ?」


「貸してやるぞ? 普段はトイチの複利なんだがな。条件によっては安くしてやってもいい。」


「マジかぁ! 言え! 言ってくれ条件を!」


「なぁに簡単なことだ。こっちの頼みをきいて欲しいだけさ。もちろん契約魔法はかけるけどな。その場合一千万ナラーほど貸してやる。無利子無期限の催促なしだ。」


「ちょ、ちょっと待て……どんなやべぇこと頼む気だぁ! 俺ぁお縄になるような真似ぇする気はねぇぞ!」


そりゃそう思うよな。


「大したことじゃないさ。さっきの気になることの二つ目なんだが、お前さ……エチゴヤの関係者だろ?」


平然とするアレク。ビクッとする女達。そして動きが止まったタツ。




「なぜ……分かった……」


「分かるも何もお前、隠す気あったのか? オワダで当分商売できそうにないって言ってたよな。エチゴヤ以外のモンなら今が好機だろうに。それに女だ。今オワダにはエチゴヤから逃げ出した女が結構な数いるぜ? なのにお前は一人も連れてなかったな。それはなぜか? その女達にはお前の素性が知れてるんだろ。だから誰もお前に付いて来なかった……ってとこじゃないか?」


「あ、ああ。その通りだ……」


「ついでに言うなら俺が気付けば気付いたで構わなかったんだろ? 深紫どもを逃してやったぐらいだ。俺が甘いのは分かってたんだよな? むしろ完全に隠してしまうとバレた時にどんな目に遭うか分かったもんじゃないもんな。薄々気付くように匂わせておいたってとこか。」


「そんなところだ……正確には付き合いがあるだけで関係者と言えるかは微妙なところだ。この際だからきっちり縁を切っておきたいとは思ってるがな。誰が好き好んであんな外道どもと仲良くするもんかよ……」


あらら、関係者じゃなかったのね。私の洞察力なんてこんなもんだよな。


「だいたい分かった。では約束だ。お前はこれから先もたくさんの女と出会うだろう。その中に不当に売られたローランド王国出身の人間がいたら真っ先に買って欲しい。そしてオワダに集めておいてくれ。ただし本人が希望すればの話な。場所はオワダ商会、もしくはシーカンバーだ。いつになるかは分からんが、俺達はヒイズルを一周してまたオワダに戻る。その時お前が集めたオワダにいるローランドの人間に応じて金を払う。お前が買い集めるのに使った額の二倍をな。そしてその金額を正直に言うこと。まあ記録でもつけておけよ。そこまでが約束だ。お前はこの約束をするだけで一千万ナラーを手にする。どうよ、ボロい話だろ?」


「話が旨すぎるんだが……しかも、その約束をしちまったら俺ぁもう女衒なんて腐れ仕事する必要ねぇじゃねぇか……売られた女を救う、真っ当な仕事が……」


へえ。女衒が腐れ仕事だと思ってんのね。でも金のために嫌々やってるってか?


「一千万は支度金だと思えばいい。助けた人間をある程度は養う必要もあるしな。足りるかどうかは知らんが、どうせいくら使おうが倍になって返ってくるんだ。破産しない程度に借金してでも王国民を集める価値はあるよな?」


「分かった……やるっあおがっごば……ふぅー。これが契約魔法か……もう引き返せねぇな……分かった。やるぜ。不当に売り飛ばされたローランド王国民を片っ端から助けてやるぜ!」


「頼む。こういったことは得意じゃないんでな。ついでだ。これ、お前なら使いこなせるだろ。とっとけ。」


「ん? 皮……そして牙か? えれぇデケぇな。一体何の牙なんだ?」


ふふふ、聞いて驚け。


「皮はエビルパイソンロード、牙はクリムゾンドラゴンだ。もちろん俺が倒した。これで短剣なんか作ってみろ。とんでもない切れ味だぜ?」


「はあぁぁぁ!? ドラゴンだぁ!? し、正気か!? 何億ナラーすると思ってんだ! い、いや加工を頼む費用なんかねぇよ!」


「そこまで面倒見きれるかよ。牙のまんま使ったって相当強力だろ? 大抵の奴の防御は貫くだろうな。深紫(ディパープル)はともかく青紫烈隊(バイオレッタ)なら楽勝だろうよ。」


「ああ……きっとそうだ……」


こいつに死なれては困るからな。この程度の投資はしてもいいだろう。エビルパイソンロードはドラゴン製ウエストコートなんかと比べるとほぼ価値がないしね。


「売りたきゃ売っていいぞ。使い道は任せる。一人でも多く集めてくれたらそれでいい。頼んだぞ。」


「お、おう! 任せてくれ! ぜってぇ魔王さんの期待に応えてみせるからよ! ぜってぇだ!」


女達はポカーンとしているが、どうでもいい。これでこいつは本気で動くだろう。かなりのローランド王国民が奴隷として売られたらしいからな。倍値で買い取る噂が広がれば上手く集まりそうな気がする。助けてやりたいのは事実だが手間をかける気もない。タツのような奴を使うのが効果的だろう。うまくやって欲しいものだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 相変わらずの太っ腹!
[良い点] うわそうだったのか [一言] 普通に気付きませんでしたw ちゃんと読み解けば 気付ける匙加減になってるあたり上手いな〜 あと主人公アウトソーシング上手なとこ、いい感じね
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