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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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166、第四殺 アレクサンドリーネ

「アレク……無理しないでね……なんなら開始と同時に線の外に出ても……」


「そうね。それもいいわね。とりあえず行ってくるわ。」


マジかよアレク……頼むから無事に帰ってきてくれよな……


「お待ちなさい。今なら開始前に負けを認めることを許してもいいですよ?」


それがいい! そして代表戦に私が出て決着だ。ついでに流れ弾で場外にいる奴らも皆殺しにしよう。


「エチゴヤのくせにいい提案じゃないか。乗っ「出るわよ?」た……」


アレク!?


「出ると言ったのよ。ごめんねカース。でも私だってクタナツの女なのよ? いくら勝ち目が少なくとも、無いわけじゃないわ。でも、どんなに傷だらけになろうが、死ぬぐらいなら逃げてみせるわ。」


「アレク……分かった。しっかり見てるからね。」

「ピュイピュイ」

「ガウガウ」


「ふっ、その綺麗な肌を傷つけるのはもったいないと思ったのですがね。まあいいでしょう。せいぜい足掻いてみせることですね。」


つーかこの番頭野郎。アレクが勝ったらお前らの負けが決定するんだぞ? アレクに勝ったとしても代表戦に私が出ることぐらい分かってるだろうに。それでよく余裕かましてられるな……


「第四殺を始める! 双方名乗れい!」


「アレクサンドリーネ・ド・アレクサンドルよ。」


「ふん、きれぇな顔してさぁ……気に入らないねぇ。アガノさんにぁ悪いけどぉその顔スダレにしてやるさぁ……この深紫(ディパープル)『惨殺』セアリナがさぁ!」


顔をスダレにするって何だ? しかもあいつあんな喋り方してるけど……あの野太い声は男だよな? どいつもこいつも顔が見えないから全然分からないんだよな……


「双方構え!」





「始めぇ!」


「悪いが容赦ぁしないよぉ! ザクザクと切り刻んでからぁ! やぁさしく場外に蹴り飛ばしてやるさぁ!」


セリフに似合わず刀を丁寧に振っている。基本に忠実で隙が少ない戦い方だな。アレクは……サウザンドミヅチの短剣で防御しつつ、見事な体捌きで攻撃を躱している。身体強化の魔法を使っているな……それもかなり強めに……


「へぇえ? いい短剣使ってるねぇ! ヒイズルでは珍しい魔物素材だねぇ! 欲しいねぇ!」


まだ相手はそこまで本気ではなさそうだが、アレクの体は徐々に傷付いていく……胴体はドラゴンのウエストコートを着ているからまだ安全だが、すらりと伸びた白い足は剥き出しなのだ。あぁもぉ……相手がこんな奴じゃなければお色気作戦が使えたかも知れないのに!


「ちょこまかと逃げてさぁ? やる気あるのかいぃ? まあいいさぁ。逃げる相手にぁこぉんなこともできるんだよぉ?」


火刑(かけい)


むっ、左手の籠手……いやあれはガントレット……を瞬時に外して魔法を使いやがった。狭い範囲が火で満たされる。なるほどね……それでもムラサキメタリックの鎧を纏っている自分は無傷ってわけか。


くくく……


バカが!


「きゃあっ!」


キモい声とともに火の勢いが半分ほどに減る。


『降り注ぐ氷塊』


なっ!? アレクそれは!


「おい会長! 助けてやる! 貸し一つだからな!」


『水壁』


訓練場の周囲全てを水壁で覆う。訓練場自体に天井はないが、その周囲は壁や建物で囲われているからな。


たが、私の心配は杞憂だったようだ。なんと、アレクが落とした氷塊は寸分の狂いもなくアレクの目の前を掠めて……足元深くへ着弾した。きっと落ちた紫の奴へと直撃したんだろう。見えないけどね。そしてアレクは着弾の余波で吹き飛ばされた……が、壁に叩きつけられる前に、浮身が間に合い空へと身を躱した。


『水球』


ぬおお? アレクの攻撃がまだ終わらない! もうどこが線かなんてさっぱり分からないが地中で横たわっているであろう相手だ。トドメを刺すには水の魔法が最適! 池を作ってしまえばいい。あの鎧を着たまま泳げるとは思えないし。それにあの程度の奴が水中で鎧を脱ぐための『換装』を使えるとも思えない。


詰め将棋のようなアレクの戦略が勝ったのだ。あそこであいつが火の魔法なんか使うから、一気に視界が悪くなったんだよな。だからアレクの使った魔法『落穴』に気付けなかったんだ。バカが。

それにしても恐るべきはアレクの落し穴……いつもは直径一メイルぐらいなのに、今回は線の中をきっちり半分も深い穴に変えてしまった。すごいぜ!


『火球』


げえええーーー!

アレク! まだやるの!? 池をめちゃくちゃに沸騰させて!?

絶対殺すってわけ!?


『土壁』


ぬおおおおーーー!? そこに蓋をしたぁぁーー!?

えげつない! えげつなさすぎる!




うーん、さすがのアレクも肩で息をしている。それなのに浮身を解除せず空に浮いたまま。そりゃそうだ。まだ勝利宣告されてないんだから。会長はいつまで待つ気だ?




五分経過……


「おい! まだやんのかよ! アレクの勝ちでいいだろうが!」


「勝利条件を満たしてないうちは無理だな。」


ほぉ……そんなこと言うのかよ……

アレクの呼吸は整った。反面、魔力は刻々と消耗している。浮いてるからな。それに空中で使う魔法は普段より消費が酷い。水球、火球、土壁の三連発は水中で使うほどではないにせよアレクの魔力総量に負担をかけたもんな。


くそ……時間稼ぎをしてエチゴヤに有利になるわけではないが、こちらに、いやアレクには不利だ。まだ一時間が経過するには早いが時は止まらない……いずれ一時間が経過し、毒が牙を剥く……そして共倒れ……


ただそんなことはアレクも承知だ……

どうするアレク……

オディロンが主役の外伝を書いております。

『異世界金融外伝 〜深山の蝶は彼岸に舞う〜』


https://book1.adouzi.eu.org/n3733gp/


本編の内容とは差異がありますので、ぜひ見つけてみていただければと思います!

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― 新着の感想 ―
[良い点] エチゴヤサイドも参加者全員死んでいても、勝てそうな気配があって面白い。 [気になる点] 判定出さずに負けを認めるまで待たせる訳か。 解毒剤が欲しければ負けを認めろと。 ということはやっぱり…
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