157、腐った騎士達
「あー、ローランドちゃーん。やってくれたねー」
「あーあ。うちの第三隊が皆殺しじゃーん?」
「参ったねー。騎士長が泣くぜー?」
「てか騎士長まで死んでたりしてな?」
「どうすんだ? 俺を捕まえてみるか? ちなみにこいつは渡さんけどな。」
大事な証人だからね。『金操』「ごゃおぉぉぉー!」
「一つ提案があるんだけどさー?」
「俺たち全員が幸せになるいーい提案だぜー?」
「ローランドの古い言葉でウィンウィーンって言うんだろ?」
「騙されたと思って聞くだけ聞いてみ?」
「聞くだけな。」『金操』「ぎゃだばやっめっ……」
「一億ナラー大判を持ってるよな? それ、くんない?」
「そーそー。そしたら揉み消しに協力すっし? 穏便にオワダから出れるよう助けるぜ?」
「ついでにここでやったこともなかったことにするぜー? 揉み消し揉み消しぃ!」
「なっ? いーべいーべ? 俺たちっていい仕事するぜー?」
マジで信じられないぐらい腐ってるな……
同僚が何十人と死んだのに、こいつら正気か?
「一億ナラーぐらいくれてやってもいい。宿の支払いがあるから全額は無理だがな。」『金操』「ひぃぎゃおぉぉ!」
「よーっし、それでいこうぜ! 宿の払いはこっちで持つ! だから大判を丸ごとくれよ?」
「ひゅー? 気前良すぎじゃね? 一億ナラーぐらいって!」
「あざーっす! 毎度ー!」
「よーしよし、そんじゃあまずは白金大判を見せてくれー! これでしがない騎士なんか辞められるぜ!」
「まあいいだろう。ただし渡すのは俺達がオワダを出る日だ。もう二、三日後ってとこだな。それからこの船は丸ごと俺が貰う。引き上げたんだから当然だな。」『金操』「いぎゃあぁぁぁーー! や、やめっ、はな……」
ようやくこいつの口も軽くなってきたかな? もう魔力がやばい……
「うーん、それは困るなー。俺らぁさ? 今すぐそれが欲しいんだよな?」
「そーそー。目の前にそんなお宝見せられっとさ? どーにもねー、我慢がねー?」
「な? いーべいーべ? あんたなら俺らを言いなりにさせることぐらいできんべ?」
「でも逆に俺らはさ? あんたに言う事きかすなんでできねーからよ?」
「約束してくれるんならいいぜ? 俺たちがオワダを出る時まで絶対服従してくれるんなら、今すぐこの白金大判くれてやるぞ?」
「するするっうごっげ……」
「マジで! 喜んでぅどっ……」
「俺もおれっもぉ……」
「やったぜっがばっお……」
マジかよこいつら……こんなにあっさりと……
「そんじゃあとりあえず、こいつはやるよ。宿代は任せる。」
『金操』「びぎゃびゃあぁぁぁーー話す! 話すからぁがぁぁーー!」
「うっひょおーーー! やったぜー!」
「ついに手に入れたなぁー!」
「これで俺らぁ遊んで暮らせるぜぇー!」
「いよっ! 旦那っ!」
「じゃあここの後始末は任せる。船の中には入るなよ。さてと、待たせたな。正直に話せば命は助かるぞ? 約束だぜ?」
「おあっ、ああぁぁ……っがっ!」
かかった! よし! こいつは大事な大事な情報源だからな。慎重に尋問しないとな。拷問のショックとかで死なれなくてよかった。両手首に両膝、両肘全部逆に曲がってるもんな。あーキモい。とりあえずポーションを飲ませよう。手足が曲がったままくっつこうが知ったことか。おっと、私も魔力ポーションを飲んでおこう。とっくに残り一割を切ってしまったからな。あークソまずい……
「お前の名前は?」
「イーフル……」
「お前の上役はどこにいる? そいつの名前は?」
「居場所は分からない……名前はペインと呼ばれている……」
「ヒイズル内での拠点はどこだ? お前ら間違いなくエチゴヤだよな?」
「そうだ……南の山手地区……そこら一帯がエチゴヤの拠点だ……」
そう言われてもさっぱり分からんな。後で案内させよう。他に聞いておくべきことは……
「お前らのボスはどこにいる? 名前は?」
「わ、分からない……」
だろうな。
「名簿はお前らにとってそんなにヤバいのか?」
「わ、分からない……何としてでも闇に葬れと、言われた……」
「お前の知る限り、オワダでのエチゴヤのお得意さんはいるか?」
「ク、クウコ商会を始め……たいていの商会にはエチゴヤの息が、かかっている……例外はシーカンバーや……オワダ商会などの……古臭いやつら……」
ふーん。
「オワダの領主とエチゴヤの関係は?」
「よ、よくは知らないが……どうせズブズブだ……」
ムラサキメタリックの鎧まで持ってるくせに情報はしょぼい。きっちり縦割りされてんのかねえ……使えん奴だなぁ……
「シーカンバーの奴の妻子を人質にとってんだよな? そいつらはどこにいる?」
「わ、分からない……たぶんまだオワダにいる……」
「聞いてたな? 後でこいつらの拠点に殴り込みに行くからな。お前も来るといい。」
ナマラの護衛をしてた奴に一声かけてやる。
「すまない魔王さん……ありがとう……」
そうなると、早く行かないとバンダルゴウの時のように取り逃してしまうな。急ぎたいがまだまだやることがある……どうしよう……困ったな。




