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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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134、カシオ・ヨシノの本音

ちなみにデザートはりんごとぶどうだった。甘くて美味しい。


「少し話せぬか?」


さっきのオッさんだ。女騎士も目が覚めたようだな。


「少しだけな。まあ座れよ。」


私達のテーブルは四人がけの円卓だ。カムイは座ってないし、コーちゃんは私の首に巻きついてきた。空いた席に二人が腰を下ろした。


「で? 何か用か?」


「そなたはヒイズルの事情をどれだけ知っておる?」


「八年ぐらい前に天王陛下が代がわりしたぐらいか。ろくに知らないぞ? まあ交流が盛んなわけじゃないからお互い様だよな。」


「天王家と御三家のことは知っておるか?」


「いやいや知らないって。今の御三家にアンタの所が入ってないってのは分かった。」


「きっさまぁ! 父上を侮辱するのか!」


この女騎士は黙っておけば美人だろうに。


「ただ状況を確認しただけだ。そもそも知らないことが多すぎるんだからどうにもならんだろ。で、本題は?」


「今のヒイズルは腐っておる! 滅びてしまうやも知れんのだ!」


おーおー、熱くなっちゃって。こんなレストランで話す内容じゃないだろ。謀反を疑われても知らんぞ?


「どこら辺が腐ってんだ? オワダの騎士も充分腐ってるようだったがな。」


「それだ! 上が腐ると下まで腐ってしまうのが世の常だ! どいつもこいつも賄賂ばかり! 賄賂なしには門すら開かぬ有り様よ! 官位! 役職! 何でも金で買う始末! 農民市民には重税が課せられ! 商人とて例外ではない!」


「ふーん。あるあるなのかねえ。で、その腐ってる上ってのは?」


「決まっておる! 現天王のジュダ・フルカワ陛下だ! メリケインからの渡航者だったがあれよあれと言う間にテンリ殿下の婿の座に収まりおった! それがいつしか天王にまで! まだお元気であらせられる王太后様も寒村に追いやられ……」


「へー。ジュダってそんな奴なんだ。それなのにアンタは陛下と呼ぶのか?」


まあ私もさっきは陛下と呼んでやったが。他国とは言え王族には敬意を表さないとな。


「腐っても天王陛下だ……儂とてヒイズルの中央貴族だった身……」


「ふーん、まあいいけど。その割にヒイズルはローランド王国にちょっかい出してるよな? ありゃあ何故だ?」


「それも含めて腐っておるのだ! まるでジュダ陛下はローランド王国を征服したがっているとしか思えん! 重税を課しムラサキメタリックを量産し、メリケインからは白い金属まで仕入れて……平和な我が国がおかしくなってしまっておるのだ……」


なんとまあ……ローランド王国を征服だ? 無理だろ。国王がドラゴンに乗って攻めてきたらどうする気だ? 一発で首都が消し炭になるってのに……


「ムラサキメタリックの鎧には王都の近衛騎士でも手こずったからな。あれは厄介な鎧だよな。で、結局どうしたいんだ? ジュダを殺すのか?」


「バ、バカ者! どこで誰が聞いておるのか分からんのだ! 発言には注意せよ! そのような気はない! だが、どうにか中央に戻り……今一度諫言をせずにはおれぬ……」


このオッさんえらいまともな事言ってんな。さっきまで難癖つけて大暴れしていた様が嘘のようだな。


「そうか。がんばれ。」


「そこでそなたに頼みがあるのだ。ジュダ陛下に……手紙を届けて欲しいのだ! そなたならば比較的簡単に陛下に面会もできるだろう! ローランド王国に陛下の企みが知られていると思えば少しは考えを改めるやも知れぬ……」


「ふーむ報酬は?」


「望みのままに……と言いたいところだが我が家に残された資産は少ない……だからこれを……」


「なっ! 父上! それは母上の形見の!」


ふーん形見。どれどれ? 二本足のかんざしか? ほほぅ、鼈甲なのか?


「いい品だな。アレクによく似合いそうだ。配達の報酬としては悪くないだろう。だが相手がこの国の王ってんなら話は別だ。オッさんよ、約束だ。手紙はそのうち届けてやるから正直に話せよ? ここまでの話に嘘はないな?」


「ああ……っぐぇうっおぉ……い、今のは一体なにを……」


「ああ、契約魔法をかけた。特に不利益はないさ。さて、正直に話してもらおうか。なぜここまでして国王に諫言する?」


さすがに真意を知らずに引き受ける気なんかないしね。


「決まっておるわぁ! 中央に返り咲くためだ! もはやジュダ陛下の御世での栄達は望めん! ならば次代の天王陛下に賭ける他あるまいが!」


ん? 全く分からん……


「手紙を渡したぐらいで? どこからそう話が繋がるんだ?」


「決まっておる! 命を賭してジュダ陛下に諫言をしたという実績が必要なのだ! どうせ長くはないのだ! こうやって立場を表明しつつ時を待つのが上策なのだ!」


「ふ、ふーん……」


全く理解できない……まあいいや。


「事情は分かった。そのうち届けてやるよ。そのうちな。あんまり期待すんなよ? さあアレク行こうか。待たせたね。」


「ええ、どこに行くのかしら?」


「ピュイピュイ」


コーちゃんは酒を飲みに行きたいと言っている。私も飲みたいんだよね。例のバーが気になるんだよね。さあ、どこにあるんだ?

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