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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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114、試験後あるある

残った十数人に対して船長達船員は一斉に銛を投げた。何の前触れもなく。

うわぁ……あれって刺さったら抜けないやつだよな。返しがついてるんだから。

もちろんアレクには通じてない。氷壁できっちり防いでいる。


見たところ怪我をしたのが五人ほどか。


「いきなり何しやがんだぁ!?」

「これのどこが選抜だ!?」

「痛ぇじゃねえべかぁ!」


文句を言う奴もいれば、そんな元気もない奴もいるようだ。油断してちゃあダメだよな。


「あー、今怪我ぁした奴ぁ失格だ。パーティー単位で参加不参加があるだろうからなぁ、不参加なら最低でも三日前には言ってくれや。」


なんとまあ大雑把な選抜もあったもんだな。私としては何の問題もないけどね。


「ふざけんなやあ! そんなひょろいガキが合格でなんでワシが不合格なんだよ!」

「そうだそうだ! 俺だってこの道十年のベテランだぞ!? そんなガキに負けるかあ!」


おお、怪我をしても元気な奴は元気なんだな。それにしてもひょろいガキとは私のことか? 確かに他の面子に比べれば細い方だが私の体型は標準的だ。細くもなければ太くもない。それをひょろいだと!? てめぇぼっこぼこにブチのめしてやろうか? などとは思わない。私は寛大だからな。無視だ。


あ、船長も無視してる。そりゃそうか。


「さて、今回の仕事を受けてくれた冒険者よ。今回の依頼はヒイズルのオワダ港までの片道の護衛だ。知ってるとは思うが帰り道の保証はない。問題はないな?」


「ちょっと待てやあ! ワシらが不合格でそこのガキやこんな姉ちゃんが合格たぁどういうことなぁ!?」

「俺らぁドナハマナ伯爵領じゃあちったぁ知れてんアイスブランディアだぞぉ!」


知らねーよ。あ、ドナハマナ伯爵は元気にしてるかな。


「うるせぇなぁー。あの程度の攻撃で怪我ぁする奴が護衛なんぞできるわけないだろうが。」


そう言って船長がまた銛を投げた。つーかここの船員達は漁師でもないだろうになぜ銛なんか持ってんだ? 航海中に海の魔物を獲るのだろうか。

さすがにぎゃーきゃーうるさい奴らも今度は避けた。それじゃあダメだよな。分かってないなぁ。


「お前らなぁ……その様で護衛する気か? 避けてどうすんだよ……使えねぇ奴らだな。さっさと帰れ。」


さすがに二回目のチャンスも失敗してしまったためか、すごすごと帰っていった。


それからは軽く面談。各人、各パーティーごとに何ができるのかを確認された。私は控えめに言っておいた。ヒュドラを倒せると言っても信じてもらえないだろうしな。証拠の素材なんかもう残ってないしね。




「ではお前達、来週から頼んだぞ。」


打ち合わせも終わり、ここからまた一週間ほど暇ができた。いいね、のんびり過ごそう。


「アレク、昼時だし何か食べに行かない?」


「いいわね。どこかにカースのお勧めなんてないかしら?」


「ピュイピュイ」

「ガウガウ」


あー、あの店がいいのね。確か店名は『トレイテル』だったかな。


「コーちゃん達が行きたい店があるって。そこにしようよ。美味しかったし。」


「いいわね。楽しみだわ。」


ギルドを出てトレイテルへと向かう。確かギルドからもっと街の中心方面だったと思うが……


「待てやぁガキぃ!」

「そっちの姉ちゃんもだぁ!」

「よそモンがバンダルゴウで調子に乗ってんじゃねぇぞ!?」


ん? さっき不合格になった奴らか。私達に絡んでも意味ないのに。


「何か用か?」


この手の奴の用ってのはいつも同じだけどな。


「てめぇみてぇなガキが六等星だぁ? ふざけんじゃねぇぞ?」

「どうせギルドのお偉いさんにケツでも貸したんだろぉが!」

「それよりどうしてくれんだ、あ!? てめぇらみてぇなガキどもが護衛依頼だと!? できるわけねぇだろぉが!」


何の用だと聞いているのに。面倒だなぁ。


「金が欲しいんだろ? 貸してやるから言え。」


「舐めんじゃねぇ! 金だけで足りっかよぉ!」

「おおよ! 今度の依頼にぁ俺らの昇格がかかってたんだぜぇ! どうしてくれんだ!?」

「金だけで済むと思ってんじゃねぇだろぉな!?」


ん? 意味が分からん。何等星か知らんが昇格がかかった依頼? そんな都合のいい依頼なんてあるかよ。依頼一発で昇格なんてさ。あ、私はそれで昇格したんだった。でも護衛依頼程度でねぇ?


「どうしろってんだよ? せっかく優しく金を貸してやるって言ってんのによ。」


「とりあえず有り金全部出せやぁ! そんだら命だきゃあ勘弁してやらぁ!」

「そんでそっちの姉ちゃんには一晩付き合ってもらうぜ? 一晩で済むかぁ知らんがなぁ!」

「おらぁさっさと出せやぁ!」


やっぱり金じゃねーか! しかもまあアレクに対して舐めたことを……


『氷散弾』


「いぎっ!」

「おぐぅ!」

「てめっ!」


おお、これは珍しい。アレクがいきなり魔法を撃つとは。


「あんまりふざけたこと言ってんじゃないわよ? 一晩付き合う? 白金貨を山と積まれてもお断りよ! しかもあなた達ってバンダルゴウの人間のくせに魔王カースも知らないなんて……死んで償いなさい!」


まあバンダルゴウの者なら知らなくても仕方ないよな。ヒイズルの奴でも知ってたりするのに。


「てめぇ、やりやがったなぁ! くっそ、痛え……」

「魔王カースだぁ!? 魔王とおんなじカッコして強くなった気かぁこら!?」

「そんなハッタリが通用すごぼっ」


おおー、容赦ないアレクの攻撃。口に氷の塊が詰まってるな。でも死んで償えって言う割には優しいんだから。さあて、どうしてくれようか。

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