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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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109、氷と炎

「こんにちは。毎度お世話になっております。シーブリーズ商会のタムロ・マツモでございます。ムラカ様はいらっしゃいますか?」


おお、タムロが初対面の時の営業モードだ。


「あぁん? おやおや元シー何とかのタムさんじゃねーですかぁ?」

「げひゃひゃ、マジでタムロじゃーん? 昨日の今日でよく顔ぉ出せたなぁ?」

「ウエストコートのガキにあっさり潰されたんだろぉ? よく生きてられるよなぁ?」


おやおや、もうそこまで噂が広まってるのか。それにしてもウエストコートのガキ……そんなに目撃者なんていたか?


「ええ、シーブリーズは潰れてランディさんとこに吸収されました。今の私はシーブリーズ商会のタムロです。それで、ムラカ様は? あ、もしかしてこちらのお方が怖くてお逃げなされたとか?」


おー、煽るねぇ。


「あ? てめぇ何ムラさんにでけぇ口きいてんだ!?」

「なんじゃあ? チャラチャラしたガキぃ連れてよぉ!? ん? その服装……」

「ぎゃはは! もしかテメー! そんなガキにやられたんかぁ!? そんでぶっ潰れたってマジか!? ダサすぎんだろ!?」


「ぎゃっはぁ! それよりもそっちの女だぁ! 極上じゃねぇか! かなりの値がつくぜぇ!?」

「おおマジだ! こりゃ億行くんじゃねぇ!? 俺らにも分け前たんまりだぜ! よーし、タムちゃんよ。帰っていいぜ。今日の暴言は勘弁してやる。お、ランディさんも気をつけてお帰りくださーい」

「おっと、ウエストコートのガキは置いてけよ? お揃いのウエストコートなんか着ちゃってよぉ?」


おーおー。調子の乗り方がエゲツないな。


「おう、タムロにランディ。帰っていいよ。」


まったく、人が友好的に話そうとしているってのに。これだから闇ギルドってやつは。


「おい……いいのかよ魔王さん……」

「お先でーす。お疲れーっす」


タムロって一体どんなキャラなんだ……


「ぎゃっはぁ! さすがシーブリーズのタムロさん! 変わり身はぇー!」

「さっさと帰った帰った! 今ならなんと無傷! ツイてるね、ノってるね!」

「ほれほれ、ランディさんも帰った帰った。げははぁ! お疲れちゃーん!」


苦い顔をしたランディと清々しい顔をしたタムロは帰っていった。外が安全とは限らないけどね。まあカムイを護衛につける必要はないよな。


「さて、お前ら。上のモンを出しな。どうやら俺のことを知らないようだが、それならそれで構わんさ。ま、外国に来てあんま調子に乗るなよ?」


ちなみにローランド王国とヒイズルでは言葉にそこまで違いはない。これはセキヤとクワナで実証済み。ちょっと方言がキツいぐらいかな。


「ぶふっ、ぎゃはははははぁ! こいつ頭おかしいぜ! なに大物コイてやがんだよ!」

「誰がテメーのことなんか知るかよ! どこのお貴族様でちゅかー? 貴族にしちゃあ地味だけどよお? 平民にしちゃあチャラついてんなぁ?」

「上のモンだってよぉ! ムラさんは男ぁ趣味じゃねぇんだよ! ガキにぁいい職場を紹介してやるからよぉ! たっぷり可愛がってもらいなぁ!」


あらー、こいつらマジで私のことを知らないんだな。タムロはちゃんと知ってたってのに。大手のくせに情報収集が甘いな。でもまあ、こいつらが悪党ってのは間違いないみたいだし、遠慮はいらないよね。


『狙撃』

『狙撃』


とりあえず二人殺した。


「えっ? あ……ちょっ、おま、だ、誰かぁーー! エナとヒヨがやられたぁぁーー!」


『氷壁』


あ、アレクも? 首から下が凍ってる。


「私とカースをいいように言ってくれたわね。頭を冷やして反省しなさい。」


頭以外が冷えてるけどね。




おかしいな? 誰も出てこないぞ?


「おい、どうなってんだ? 早く呼べよ。」


「たす、たすけ、エナとヒヨがやられたんだって! 誰か出てこいよお!」


誰も来ないなら仕方ない。家探しは後でやるとして……


「とりあえず、吐け。」


「あぁ!? 舐めんなガキぃ!」


例によって殴る。ぼこぼこ。


「ほれ、さっさと吐け。」


「なめ、ぼ、がばぁ……」


「ガウガウ」


ん? カムイどうした? 焦げ臭い? 言われてみれば。


うわ、証拠隠滅かよ。丸ごと燃やすってか。


「お前も可哀想な奴だな。生きたまま焼けて死ねってよ。どうする? 助けてやろうか?」


「く、な、ふざ……」


「そうか。じゃあこのまま焼け死ぬといい。アレク、出ようか。」


「そうね。正確には焼け死ぬ前に毒気を吸って終わりかしら。良かったわね。苦しまなくて済むわよ。」


あー、一酸化炭素中毒ね。それって私にはどうなんだろう。毒は効かないけど一酸化炭素はなぁ……分からん。


「たす……たすけえぇ……」


やっとかよ。もうだいぶ火が回ってるってのに。


「じゃあ約束な。命は助けてやるから俺に絶対服従な。」


「あぁ……おうぐっ……」


よし、かかった。こんな下っ端の情報なんて大したことはないだろうけど。ないよりマシかな。さあ、出よう出よう。少しだけ顔が熱くなってきたんだよね。

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