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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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71、総代教主の目覚め

フェアウェル村に一泊して王都に戻った。正確には途中でクタナツに寄り、母上とマリーを下ろしはしたが。ここからは私達だけ、アレク、コーちゃん、カムイ。そしてクロミで取り組むつもりなのだ。あんな強力なメンバーをいつまでも拘束できないしね。

伯父さんだって仕事があるし、お姉ちゃんだって王立魔法研究所の新人としての役割があるらしい。幸い施設は好きに使えることになってるし、方々の図書室も私なら出入りは自由だ。せいぜい勉強させてもらうとしよう。考えただけで頭が痛くなるが婆ちゃんのためならやってみせよう。




それから一週間。私は勉強しまくった。まあ本を読んでるだけなのだが。王宮内の書庫や高等学院の図書室でサンドラちゃんと一緒に勉強したりもしたのだが、結局はゼマティス家にある本が一番だった。毒は毒屋ってか。


分かったことはいくつかある。例えば毒の種類を大きく分けると……

・植物毒

・動物毒

・鉱物毒

・魔物毒

・魔法毒

の五種類だ。

魔物毒と動物毒の境目は曖昧だが、体内に魔石を持たないのは魔物でなく動物なので、そんな生物が保有するのが動物毒らしい。例えば河豚(フグゥ)なんかの毒は動物毒だとか。中でも数が多く厄介なのが魔物毒だった。例えばコカトリスやバジリスクの石化毒とか。

とにかく魔物ごとに微妙に違ったり、大違いだったりするのだ。

私がたまにしか使わない微毒(びどく)中毒(ちゅうどく)毒焔(どくほむら)なんかは魔法毒だ。


だが、そこを意識して解毒を使うことで魔力でゴリ押しせずとも効率よく毒を消すことができるようになった気がする。元々あの毒以外なら解毒できるのだから当然と言えば当然なのだが。

母上はこれ系の知識が豊富なのだろう。いつの間にか偽死汚危神なら解毒できるようになっていたのだから。すごいよなぁ。あの時、エリザベス姉上を自分の手で救えなかったことを悔やんでたりするのかな。私が魔力を失ったりもしたしね。




そして今日。私は自動防御も風壁も張らずに総代教主ジャンのいる地下へと歩いている。うーん吐き気がする臭いだ。きっと下水の比ではない。極力魔力の消費を抑えつつ、解毒だけを使い続けている。私なら何も使わなくても死ぬことはないだろうが、さっきから吐き気がすごいんだよな……


着いた……

ここに来た最大の目的はジャンだ。ジャン自身に解毒を使うことだ。

果たしてこいつ自身にどこまで解毒が効くのだろうか。勉強の成果を見せてやる……


『浮身』


ジャンを沼から浮かせる。ふーむ、だめか。下半身がどうしても出てこない。何やら呪縛めいたものを感じるな。

それなら……


『風斬』


上下にぶった切った。

そして上半身に向けて……


『解毒』


うおっ!?

身体が崩れていくじゃないか! まるで砂のように……

両腕ともなくなった……

それから上半身、胸から下が崩れ落ちた……


解毒が効くのは分かったけど……


おっ、崩壊が止まった。


ん?


「ぐっ……あぉう……」


マジか!?

こいつ意識が戻ってやがる!


『伯父さん! すぐ来て! ジャンの意識が戻ってる!』


情報ゲットのチャンスだ! もうこいつしか情報源がないんだから! 伝言を使った。早く来てくれー!


「おいジャン! しっかりしろ! 大丈夫か!?」


大丈夫なわけないけどさ……


「ごぉぼぇ……」


くそ……歯も唇も、そして舌もないせいで発音できてない。伯父さん早く! とりあえずポーションぶっかけてやる。


『今行く!』


やっと返事が来た! 早く来てくれー!


「おいジャン! お前はジャンなんだろう!? 聖白絶神教団の総代教主ジャン・ジャックモンドなんだよな!?」


「げぉいば……」


だめだ……目が死んでる……つーかとっくに腐ってるし。

無理もないか。何年も地獄の苦しみを味わい続けたんだもんな……


「カース君!」


来たか!


「伯父さん! ジャンが意識を!」


「任せろ!」


『臓腑修癒』

『全快癒』


おっ、顔周辺が少し治ったような……


「ジャン! 起きろ!」


「あぅぐ……」


まだだめか。こいつから情報を取るチャンスはきっとこれが最後だ。何とか、少しでも……


『無痛狂心』


ほら! これでもう痛くないだろ! 意識を取り戻せや!




「………………」


おお、目に光がほんの少しだけ戻ってきたか?


「ジャン! しっかりしろ!」


だめか……まるで聞こえてないようだ。耳だって奥まで腐ってしまってんだろうな……


あ! 耳がだめなら……


『ジャン、我が子ジャンよ。我の声が聴こえるか?』


「あみ……わがあみ……」


よし! いける! 通じてる! 神の声真似で『伝言』だ!

伯父さんも治癒魔法を続けてくれている。


『ジャンよ。我が分かるな? 何を遊んでおるか。務めを果たせ……』


「かみよ……わたしのかみ……」


唇が治ってる! さすが伯父さん!


『ジャンよ。そなたがかような所で遊んでおるうちに……教団の権威は地に落ちた……どのように立て直すつもりか……」


「かみよ……おゆるしを……いかなるばつも……」


『十賢者の中から後継者を指名せよ……さすればそなたの罪を許す……」


何が十賢者だよ……バカ十人組だよな。たしか一人だけ生き残ってんだよな。どんな奴だ?


「じゅっ……けんじゃ……フラン……せいじょフランが……」


フラン!?

どんな奴なんだ!

聖女とか言ってなかったか? この作戦は大当たりのようだ。続行だな。

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