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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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64、実験の行方

私はと言うと、アレク、カムイと砂漠に降り立ち工作開始だ。作るものは、ミスリル製焼却炉。

私の炎でそのまま燃やしてもいいのだが、少しでも有毒ガスを発生させないためには焼却炉を使った方がいいと考えたのだ。幸いミスリルはたくさんあるからな。

アレクとカムイには周囲の警戒を頼んでいる。なんせどこから魔物が現れるか分かったもんじゃないからね。いきなり足元からワームが現れたりするし。


さてと……焼却炉の仕組みなんて知らないが、空気の抜けが良ければいいんだよな? その上で焼却炉そのものが溶けないように厚めにする必要もあるかな。私が本気で加熱したらミスリルだって溶けてしまうから。


高温で金属を溶かすなら溶鉱炉とか反射炉とかがいいのだろうが、構造など分かるはずもない。反射炉は意外と単純だとは聞いた気もするが、まあ無理だな。できる範囲でやろう。




ふう。出来た!

五右衛門風呂の焚き口をイメージして作ってみたぞ。高さ一メイル、横幅五十センチ、奥行き一メイル。横から見るとL字型、よく見るとこれってガワのないロケットストーブじゃん……


よし、早速実験をしてみよう。まずはガンガンに加熱する。うーん、ミスリルが真っ赤になってるね。一体何度あるんだろうか。もし鉄ならとっくに溶けてるね。

そして焚き口、焼却炉の足にあたる部分に……


『水操』


……毒を入れる……上、煙突部分から有毒ガスは……見た感じは出てないな。何も見えないし臭わない。

カムイ、ちょっと熱いけど上から出る気体の匂いをしっかりチェックしてくれるか?


「ガウガウ」


よし、もう一度『水操』

毒を数滴、焚き口に投入する。


「ガウガウ」


何も匂わない? よし、あの猛毒ですら超高温で燃やせば問題ないってことだな。あー暑い……

魔力の向きを制御して、温度調節機能抜群のドラゴンの装備を着てるのに熱い。でもがんばろう。


もう少し実験を続ける。今度は量を増やしていくから、異臭を感じたらすぐに知らせてくれよ?


「ガウガウ」


ペースを上げて燃やしていかないと、いつまで経っても終わらないからな。果たして一度にどれぐらいまでなら燃やしても有害物質が出ないのか探る必要がある。あー暑い……


周囲ではアレクだけでなく、シャルロットお姉ちゃん、そしてマリーまでもが魔物退治をしてくれている。これだけ魔力使ってんだもんな。そりゃあわらわら来るわな。




「ガウガウ」


むっ! 『解毒』


ふう、危なかった。どうやら一分に百五十ミリルを超えるぐらいだと燃え残りが出るのか。だいぶ分かってきたな。ちょっと休憩しよう。

そもそも論だけど、わざわざ燃やさなくても全部私が『解毒』できれば解決なんだよな。でもそれはあくまで今回の『偽死汚危神(にせだいおきしん)』の場合なんだよな。婆ちゃんが囚われている本物には解毒が効かない。だからこのように燃やすなりして、少しずつでも減らすしかないはずだ。




さて、上はどうなってるかな? 行ってみよう。


「母上、スライムはどう?」


「それなりに面白いわよ? まあ見てご覧なさい。」


母上は宙に浮かせたスライムに毒を一滴垂らす。すると、スライムはたちまち溶けてしまった。


「さすがのスライムもこの毒には勝てないんだね。」


「ところがね? 次、いくわよ。」


今度は二回りぐらい大きいスライムだ。そこに先ほど同様に毒を一滴。おっ、変色した……うわぁキモいな。毒々しい、公害のドブ川色とでも言えばいいのか? 紫ピンクエメラルド?


「このサイズだと毒を取り込んでしまえるみたいね。シャルロットの召喚獣アトレクスちゃんのようにね。」


そう言って母上は毒スライムを凍らせて収納ボックスへと入れた。


「それ、必要ないなら後で焼いておくね。こっちは毒を無害で焼却できる目処が立ったから。」


ふと思ったがローランド王国にゴミ問題は発生してない。そもそも包装というものがあまりないし、生ゴミは各自が焼くか畑に撒くかだ。またはスライム式浄化槽がある家ならトイレに捨てるのも有効だ。大きな焼却炉を作っておけばゴミを処分するビジネスができるか……できないだろうなぁ……

そもそも誰も公害とか気にもしないだろうし。


「それはいいわね。ちなみにざっと見たところ、王都にある毒を全て持って来たとしてもここのスライムには効きそうにないわね。全部取り込んで猛毒の巨大スライムに進化してしまうだけね。」


「うわぁ……それはそれですごい話だね。偽とは言え神殺しの猛毒を食らってしまうなんてね。」


「おい、スライムが動き出したぞ?」


伯父さんが警告を発した。湖そのものと言っていい巨大スライムが丸ごと動き出したのだ。そりゃあ側であれこれ魔力使ってりゃあ気付くわな。私の焼却炉が置いてある方向に動いている。正確には体を伸ばしているって言えばいいのか? イービルジラソーレを押し潰しながらダムから溢れ出た水のように押し寄せている。ちなみにさっき伯父さんによって染色されたはずだが、もう消えている。すっかり透明に戻ってしまったな。染色の魔法を吸収してしまったんだろうな。


「とりあえず今日のところはこの辺にしておく? 戦う意味はなさそうだし。」


「そうね。帰りましょうか? ここからだと近いのは……ソルサリエかしら?」


「うん。そうだと思うよ。いや……ソルサリエまで戻るぐらいならクタナツでも大差ないよ。たぶん十五分も変わらないかな。」


「それもそうね。クタナツでいいわね。じゃあカース頼むわね。」


「オッケー!」


では、全員を乗せて焼却炉と魔物も回収。焼却炉はめっちゃアツアツだ。収納したくないけど我慢して触ろう。あっつ!

楽園や前国王が開拓中の北の街に行ってもいいが、やはりここは無難にクタナツだな。


一日で王都からヘルデザ砂漠まで行ってクタナツに帰る。言葉にすると大したことないが、内容はめちゃくちゃだな。

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