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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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62、友との再会

触手太郎さんから19件目のレビューをいただきました!

ありがとうございます!

王宮に呼ばれた次の日。私はコーちゃんと二人で王立魔法研究所を訪れた。預かっている容器に毒を汲むためだ。


階段を降り、ジャンのいる部屋へ。


こいつをどれだけ殺しても意味がないことは分かっている。しかし、世の中に絶対と言えるものはさほど多くないことも知っている。


『無痛狂心』


やはりこれなら効くのか。呻き声をあげなくはなったが、意思の疎通は無理だろうな。


『吹雪ける氷嵐』


こんな密室で使う魔法じゃないけどね。たちまち部屋中が凍りつく。毒も、ジャンも。


『氷弾』


ほんの軽く撃っただけでジャンはバラバラに崩れ落ちる。極低温の部屋、凍った毒を切り出して容器に入れる。ここまで凍っているなら、そのまま魔力庫に入れても大丈夫そうだが……やめておこう。私の魔力庫内で解けることは有り得ないが、万が一解けてしまったらどうなるか想像もつかない。やはり安全第一で進めなければ。


そのまましばらく待ってみたが、毒の池が凍っている間は復活してこなかった。これはこれで発見だな。毒は水より融点が低いことも分かった。


理論的には酸素量を少なめ、かつ超高温で燃やせば有毒なガスは発生しにくいはずだ。その上で燃やす過程で発生するガスを逐一私が浄化すれば、クリーンに毒を処理できないだろうか。これは昨日のミーティングですでに提案済みだ。酸素やら有毒なガスやらについては省いたが。ヘルデザ砂漠に着いたらこれも実験してみる予定だ。


さて、出ようかコーちゃん。つい無駄な魔力を使ってしまったよ。凍らせる意味なんかないのに……


預かった容器は一つ一リットル程度。それが三つある。この毒が一リットルあれば一体何人殺せるのやら。怖いな。




ゼマティス家に戻ったら、もう何もしない。魔力が全回復するまで、大人しくしておこうか。いや、用事を思い出した。スティード君に手紙を届けに行こう。セルジュ君やサンドラちゃんだっているはずだ。アレクと一緒に。コーちゃん、カムイも行くよな?


「ピュイピュイ」

「ガウガウ」


今は三人とも春休みのはずだ。そして家のだいたいの場所も聞いている。一人ぐらい居そうなものだが……




ゼマティス家の馬車に揺られて第二城壁内の北東エリアへ。それぞれの学校から少し遠いな。でも意外と新しい家が多いな。復興がバッチリ進んでるってことだね。


ここからは狭くなるし馬車を降りて歩こう。そして馬車はもう帰す。お疲れ様ー。


「たぶんあの家かしら?」


「そうみたいだね。聞いていた外観と一致するね。」


玄関に呼び鈴の魔道具も設置してあるな。連打してやる。


およそ二分後、のそりと出てきたのはセルジュ君だった。むっ、また少し太ったな?


「カース君! アレックスちゃん! うわーよく来てくれたね! 入って入って!」


「元気そうだね。みんな居る?」

「久しぶりね。立派なお腹ね。」

「ピュイピュイ」

「ガウガウ」


「サンドラちゃんもスティード君も学校だよ。サンドラちゃんは図書室で勉強、スティード君は同級生と稽古をするんだって。」


「春休みなのにみんな頑張ってるね。セルジュ君は何してたの?」


「僕は普通に勉強してただけだよ。昼からは友達と遊ぶ約束があるぐらいかな。」


「それはいいね。やっぱり学生の本分は遊びだよね! じゃあこれ、スティード君に渡しておいてもらえる? あとセルジュ君も手紙を書くならクタナツに届けるよ。」


「いつも悪いね。今年はシビルが卒業の年だから色々と気にはなってたんだよね。」


「シビルちゃんは普通にクタナツの中等学校に行くみたいだね。キアラは王都の魔法学校だってさ。はは……」


「うわぁ、さすがキアラちゃんだね。ソルダーヌ様と王太子殿下のご婚約にもびっくりしたけど、キアラちゃんとフランツウッド王子の仲のせいで貴族学院では悲喜交々だよ。」


「はは……きっかけは先王様の勅命だったそうだけど、キアラと話してたら本気で好きになってしまったんだってさ。あの野郎……」


「さすがカース君。フランツウッド王子とも友人なんだね。それよりこの一年の話を聞かせてよ?」


「色々あったよ。まずね……」


それからは三人でのお喋りとなった。イグドラシルの話をする時にはコーちゃんもカムイも時々参加してくれた。楽しいなぁ。




「そうなんだ……カース君、大変なんだね。エルフにダークエルフ、そして禁術か……想像もつかないよ……」


「あんなに苦しんでる婆ちゃんを見るとね。とても放っておけなくてさ……」


「それにマウントイーターって……魔境って怖すぎだよね……」


「だよね。あんなヤバい魔物がまだまだいるんだろうね。怖いところだよ。」


「アレックスちゃんも凄いよ。いつもカース君と一緒でさ。」


「大したことないわよ。全部カースのおかげよ。幸せすぎてたまらないわ。」


ふふふ。そう言われると嬉しいな。

あー楽しい。やはり友との会話はいい。私の中では一年経っていないのだが、セルジュ君、いや世間は間違いなく一年経過している。これもある種の浦島太郎か?

まあスティード君もサンドラちゃんも元気ならそれでいい。もう数日王都に滞在することだし、たぶん近いうちに会えるだろう。楽しみだ。

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