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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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50、マウントイーターの謎

ダークエルフを三十人ほど連れてフェアウェル村に到着。朝出たばかりなのに、まだ昼にもなってないよ。ちなみにこの中にはクライフトさんもいる。


事情を知って、さすがのエルフ達も騒ついているな。マウントイーターのことは以前話しておいたが、まさか復活するとは思うまいよ。実は株分け的なことでもしてたとか?




「事情は分かった。我らはダークエルフ族を歓迎する。当然ソンブレア村の復興にも協力は惜しまぬ。」


「ありがとうございます。村長ギーゼルベルトヒルデブラントに代わりましてお礼申し上げます」


この村におけるダークエルフの代表はクライフトさんのようだ。こっちの村長に挨拶が済むとアーさんに連れられて外に出ていった。


「さて、カース殿よ。ヨランダ殿は大した(おなご)だの……」


「ええ。間違いなく。」


「彼女を助ける、もしくは殺してやりたいのだな?」


「そうです。」


私が、婆ちゃんを……殺す……


「彼女の苦痛を思うと胸も張り裂けんばかりだ。聞くところに寄ると、毒沼に囚われた者は燃やそうが首を刎ねようが死ぬことはないそうだ。どんな攻撃もいたずらに苦痛を与えるだけになってしまうと。」


「マリーからもそう聞いています。」


「残念ながら儂にも対処法など分からぬ。あれはそういうものだからな。だが、一つ考えが浮かんだ。」


くそ……ハイエルフの村長でもやっぱ知らないのかよ……


「それは?」


「禁術を使った愚かな人間がいたそうだな? 人間の国の都で。」


「あぁ……いましたね。そいつも今頃苦しんでるんでしょうね。」


「そやつを利用できぬか? 例えば実験台としての。」


「なるほど……」


王都の教団跡、その地下に今も埋もれている総代教主か……

あれは本物の禁術の毒、死汚危神(だいおきしん)に比べれば弱く、私の解毒も効く。その時の効き具合や魔力の流れなどによって何か掴めることがあるかも知れない。

それに王宮だってあれを研究したいはずだ。あれだけの毒なんだから欲しくないはずがない。宮廷魔導士も巻き込めば研究だってしやすくなるかも知れない。

それならば何より最優先で相談すべきはマリー、そして母上だ。なんだか上手くいきそうな気がしてきた。


「村長、ありがとうございます。何とかしてみたいと思います。」


「くれぐれも気をつけてくれ。あれは神すら殺す猛毒だからの。」


「ええ、気をつけます。」




さてと、やることが見えてきたな。まずは北に戻ってダークエルフ達を方々に送り届けてやるか。クタナツに帰るのはそれからだ。楽園も気になるが、今回はスルーだな。


「カース、大変なことになったわね。」


「うん……せっかくの旅なのにごめんね……」


本当ならソンブレア村ではアレクに内緒で指輪を発注するつもりだったんだよな。オリハルコン製の婚約指輪を。いくらクライフトさんが生きてるからって、こんな時に頼むわけにはいかない。とうぶん保留にしておこう。どこか旅先でアレクに似合いそうな指輪が見つかるまで。


「そんなことはいいのよ。私が行きたいのはカースが行きたい所なんだから。」


「うん、ありがとね……マリーが言ってたんだ、毒沼の魔法を使ってしまうと……毒が消えるまで死ぬこともできず苦しみ続けるって……だから、どうしても婆ちゃんを……」


「ええ、分かってるわ。総代教主が役に立つといいわね。」


「ちょっとニンちゃん! ウチのことを忘れないでよー! ウチだって協力するんだから!」


こいつにしては到着時からよくじっと黙っていたものだ。偉いね。ただまあ私が呼んでおいて何だが、もう役に立ちそうにないんだよな。なんせフェアウェル村の村長ですら何も分からないってんだから。どうしたものかねえ。


「まあ頼むわ。婆ちゃんが心配なのはクロミも同じだもんな。絶対何とかしような。」


「うん! 金ちゃんもよろしくねー!」


ん? 金ちゃん?


「もしかして……私?」


「そうだよー? 金髪だから金ちゃんでいいよね? ニンちゃんだとややこしいしー。」


「ま、まあいいわよ……」


アレクがいいんならいいか……




それから全てのダークエルフ達を山岳地帯に点在する村へと送ってきた。時間がないので遠目にイグドラシルが見えた時点で後は自力で飛ばせた。魔法が達者なダークエルフならば何ほどのこともないだろう。


そして最後に現村長を乗せてフェアウェル村へと向かっている。すでに日は暮れてしまった。クタナツに帰るのは明日だな。今夜もフェアウェル村に泊まらせてもらうとするか。




「カース殿。此度のこと、お礼の言いようもない。本当にかたじけない。」


「婆ちゃんに頼まれたからね。こっちは明日、人間の国に戻るから。そっちはそっちで上手くやるといい。」


「ああ、任せてくれ。それにしても……一体なぜ、マウントイーターが……」


それは私も不思議なんだよな。可能性があるとしたら……


「あの時の肉片ってどうした? かなり散らばってたと思うけど。」


「ああ、きっちり集めて焼いたそうだ。食べてみようかといった話も出たが、さすがに気味が悪くてな。結局誰も食べずに全て焼いたと聞いている。」


さすがに肉片から復活した説は無理か。もう一つ気になってたのは魔石なんだよな。


「あの時、あいつの魔石は半分しか見つからなかった。あれからもう半分が見つかったって話はない?」


「いや、聞いてないな。あれから現場は毎日のように見回りをしたからな。魔力探査も併用して入念にな。」


ダークエルフの魔力探査はかなり優秀だ。受精卵が発するほどのかすかな魔力ですら探知できるのだから。そうなると株分け説もなしか。うーん……


あっ! もしかしたら……

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