27、試練は続く
「カース、ごめんなさい……」
「ん? どうしたの?」
「私、態度が悪かったわよね……ごめんなさい……」
「いやいや、いいんだよ。こんな環境なんだからおかしくもなるよね。態度の悪いアレクだってかわいいからいいんだよ。」
「やっぱり悪かったのね……ごめんなさい……」
しまった。正直に言ってしまった。
「かわいいは正義って言葉を知らない? アレクはかわいいからいつも正義なんだよ。」
「知らないわよ……でも、ありがとう。それより交替よ。今度は私が揉むんだから。」
「そう? ではありがたくお願いするね。」
ちなみに私の上半身は裸である。なぜなら上には聖衣一枚しか着てないのに、それを下に敷けば当然そうなる。とりあえず、そのままうつ伏せに横になる。
アレクは私がしたように腕から揉み始め、二の腕、肩へと移っていった。
「あ〜気持ちいい〜……アレクは上手だね。」
「カースがしてくれたようにしてるだけよ。でも、それならよかったわ。」
「うぅ〜〜きもちい〜〜」
「大げさなんだから。」
いや、自然と声が出てしまうんだ。疲れた体に染みるとでも言えばいいのか、とにかく気持ちいい。はぁあぁ……
背中、腰、そして脚までアレクは入念に揉んでくれた。
「いやーありがとう。気持ちよかったよ。これでまた頑張れるね。」
「まだよ。今度は仰向けになって……」
アレクはいつの間にか聖衣を全て脱ぎ捨てている……
〜〜削除しました〜〜
ふぅ。
私達は神域で何をやっているんだ……
「ありがとうカース。おかげで元気が出たわ。」
「僕の方こそ良かったよ。やっぱりアレクは最高だね。それよりアレク、膝が痛くない?」
「何てことないわ。それよりも、いいことを思いついたわ。」
「おっ、何々?」
「うふふ、内緒。次の枝に着いたら教えてあげる。」
「気になるね。でも楽しみが待ってるのはいいことだね。よーし、行こうか。」
「ええ。私も楽しみよ?」
ところでコーちゃんとカムイの姿が見えない。もしかして先に登ったのかな?
「コーちゃーん! カムイー!」
呼ぶだけ呼んでみた。
「ガウガーウ」
ん? あっちは枝の先ではないか。イグドラシルの枝ときたら上下が見えないだけでなく、前後左右もよく見えないんだよな。つまり枝の長さすら分からない。どうなってんだ?
「ガウガウ」
「ピュイピュイ」
退屈だから枝の先を目指してみたって? でもいつまで行っても変わらないって? だめだ、意味が分からん。カムイのスピードで走ればかなりの距離を進んだはずだ。それなのにどこにも到着できなかったと言うのか。神域恐るべしだな。やはり素直に上だけを目指すべきってことだな。カムイ、実験をありがとよ。
「ガウガウ」
それよりブラッシングしろって? 無理だよ。ブラシだって取り出せないんだからさ。だからわしゃわしゃしてやる。うりうり。
さあ、気を取り直して登ろう。それにしても時間の感覚も日付の感覚もなくなるってのは怖いな。マジで浦島太郎にならなければいいのだが。
それから枝を二十本分は登った。時間の経過は分からない。ちなみにアレクの考えとは、新たな枝に到着する度に私と……することだった。素晴らしいアイデアだ。これは燃えるしやる気が出る。ばあちゃんの言う『飽きずに登る』をクリアしているのではないか? ふふふ。
それからさらに三十本分は登った。
全く変化がない。枝の太さや景色など全く変化がない。せめて何か基準が欲しいので枝の数だけは数えている。さっきので五十四本だ。時間にしてどれぐらい経ったのかさっぱり分からない。拙いクライミング技術しかない私達だが登り続ける……
登り続ける……
1100話まで来てしまいました。
その割に話は進んでおりませんが、そんなものだとお目溢ししてやってくださいな。
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たぶんこの先もダラダラと続く予定ですが、ご愛読いただけると幸いです!




