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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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24、カムイ VS カカザン

あれからさらに二十分。一向に決着が着く気配がない。いつの間にか周囲には無数の猿が集まっているが、丘陵エリアには立ち入ろうとしない。ボス猿を信頼しているのか、それとも一般猿にとっては立入禁止区域なのか。


「ピュイピュイ」


ぬっ、コーちゃんがこちらに戻ってきた。何事かな?


「ピュイピュイ」


少しでもカムイの邪魔をしないため? じゃあさっきまでは何だったのって話ではあるが。


それにしてもあのボス猿。猿にしては大きいが、魔物にしてはかなり小さいよな。身の丈二メイルぐらいしかない。立ち上がったカムイより小さいじゃないか。




むっ? カムイが動きを止めた……

ボス猿の正面から二十メイルほど離れた所で。何をする気なんだ?

なっ!? 正面から突っ込みやがった!? 特攻かよ! ハエを叩くように両手でカムイを挟み込むボス猿……うおぉっ! カムイのやつ、その両腕を自分の前脚で受け止めて、そのまま首筋に噛み付きやがった! 決着か!?


いや? ボス猿のやつ、両腕でカムイを抱き締めてやがる!? 背骨を折る気か! しかし自分の首からも少なくない出血をしているのに! むしろカムイに噛まれてよく首が繋がってるよな?




『落雷』


カムイには悪いがここまでだな。カムイごと落雷で痺れてもらった。普通あのレベルの魔物には落雷なんて効かないのだが、今ならカムイの牙が突き立ってるからな。


『浮身』


カムイも回収して、ボス猿にはポーションを一本サービスしておいてやろう。横槍の詫び兼、敢闘賞ってことで。


「ガウ……」


まあそう文句を言うな。あのままだと良くて引き分け、つーか相討ちだったもんな。あいつは命を賭けてまで倒す敵じゃないだろ?


「ガウガウ」


次は勝つって? その意気だ。イグドラシルから降りたらまた挑戦しようぜ。



「すごい猿だったわね。カムイにあれだけ攻撃されてほぼ無傷だったなんて。すごい毛皮を持ってるのね。」


「だよね。あれじゃあ魔法もほとんど効かないよね。」


フェルナンド先生ならどうやって斬るのかな。たぶん普通に斬りそうだけど。


さて、それよりもお楽しみの時間だ。


「一人一個ずつ食べようよ。形は悪いけど香りからしてすでに甘いよね。」


「ええ。今まで嗅いだことのない匂いだわ。例えるなら王国一の美女の体臭かしら?」


「それだとアレクの香りだね。確かにいい勝負だと思うよ!」


「もう、カースったら……//」


さあ、いよいよ食べるぞ。軽く水洗いして、皮ごといってしまおう。




「うっま……なにこれ……」


「信じられない……キラービーハニーより強烈な甘さなのに……少しもしつこくない……それどころか口の中に果汁が溢れんばかりに瑞々しいわ……」


「ピュイピュイ!」


「ガウガウ!」


コーちゃんにカムイもそう思う? 信じられないぐらい旨いよね。これは次からペイチの実を食べても喜べなくなりそうだ。参ったな。


たちまち食い尽くしてしまった……旨すぎる……これは甘露マジ甘露。


残り六個……惜しいけどフェアウェル村のみんなにプレゼントだな。でも、イグドラシルから降りたら絶対また捥ぎに来るからな。


「カース、この種はどうするの?」


「どこかに撒きたいよね。育ったら嬉しいし。そのうち楽園に撒いてみようよ。」


「面白そうね。あそこまで大きくなるのに何年かかるのか分からないけど。楽しみだわ。」


よし。戻って村長に相談だな。あ、コーちゃんもカムイも種ごと食べてる。こんなに堅いのに。





「と、いうわけでこの種って撒いたら芽が出ますかね?」


「あっさりと獲ってくるものだな……さすが坊ちゃんよ。その種だが、撒くのはやめた方がよいのお。魔物を寄せ付けたくば話は別だがの。」


なんと! 魔物ホイホイなのか? 言われてみればこれほど旨い実なんだ。そりゃあ魔物だって食べたいわな。


「なるほど。勉強になりました。となると、さっきのあそこではボス猿がいるから魔物が寄り付かないってことですか?」


「その通りよ。あの魔猿、エンコウ猿の族長カカザンとは儂とて戦いたくはない。何せ魔法がほとんど効かぬ上に動きも早く、力も並ではない。あれほどの魔物の縄張りとなっているからこそ、蟠桃はあそこまで大きく育ったのよ。坊ちゃんがその役目をするのなら育てるのも良いかものお。」


さすがにそれは嫌すぎる。確かにこれほどの味なら一個大金貨一枚でも売れるだろうが、退屈すぎる。むしろ魔物が来まくるから忙しくなるのかも知れないが。やはり中々うまい話ってのはないものだな。


ちなみに残った蟠桃六個を村長に渡したら、ことのほか喜ばれてしまい、いきなり宴会が始まった。明日の景気付けにはちょうどいいかな。特にコーちゃんが喜んでるし。




「ふっ、人間ごときがイグドラシルに挑戦か。死ぬなよ?」


「おお、アーさん。久しぶり。元気?」


この人って多分ツンデレだよな。人間ごときって言ってるくせに心配してくれちゃって。確か本名は……アーダルプレヒトシリルール……だよな?


「兄貴! お久しぶりです! よく来てくださいました!」

「会いたかったですぜ兄貴! ささ、飲んで飲んで!」

「奥さんもどうぞどうぞ!」


「おー、お前らか。」


名前は忘れたけど若者エルフ三人組だな。それにしても奥さんと呼ばれたアレクがえらくご機嫌になっているぞ。かわいいなぁ。あーお酒が美味しい。

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