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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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15、アレクサンドリーネの兄

パレードを再開し、王都へと戻る一行。国王は新しい礼服へと着替えを済ませている。めちゃくちゃ疲れてるだろうに大変だな。

ちなみにドラゴンは王都の上空をひとっ飛びしてから消えてしまった。あいつ普段はどこに住んでるんだろうな。


王都内に戻ると再び群衆に囲まれる。いや、むしろ先ほどよりも熱狂しているようだ。新しい国王があれほどのドラゴンを従えたことを知ったからだろうな。こりゃあ三百年続くのも納得だわな。つーか、国王になったらあのドラゴンと戦わないといけないってのはキツいな。十代目は余計なことをしてくれちゃって。ブランチウッド王太子、がんばれ。




そして舞台は王宮へと移りパーティーが始まった。すでに夕刻だ。


「皆の者! 本日は大儀であった! これよりは宴だ! 存分に飲み食いするが良い! 乾杯!」


『乾杯!』


国王の一声でみんなが一斉に飲み始める。

私もアレクと乾杯。そして素早く隅へと移動する。フランツの周りにはきっと大勢集まってくるだろうからな。


しかし回り込まれた!?


「魔王さん魔王さん! 私トランザム伯爵家の……」

「是非とも我がロキソニア侯爵家へ一度……」

「それよりもアクセル伯爵家には妙齢の娘が……」


「ああ、あなたは氷の女神、凍てついた私の心を溶かす春の訪れ……」

「あなたの胸元を飾る赤き輝きも、あなたの美貌に比べれば蝋燭の灯火……」

「中天の太陽の如き煌びやかな御髪……ぜひ一曲踊っていただきたく……」


私もアレクもたちまち猛禽の群れに囲まれてしまった。何てこったい。

私の周りには同年代か歳上の女の子、またはいかにも貴族って感じのオッさん達。アレクの周りには歳上の男性陣。だめだなこれは。のんびり飲み食いしてる場合ではない。


私はアレクの手を取り会場の中心辺りへ。さあダンスを始めよう。もっとゆっくり飲み食いしたかったのに。まだ音楽は演奏されてないが知ったことではない。踊りたいから踊るんだ。

おっ、演奏が始まった。いやぁ催促したみたいで悪いねぇ。陽気でノリのいい曲だ。あ、隣でフランツとキアラも踊り始めた。キアラのやつ楽しそうな顔しちゃって……複雑な気分だ……まぁキアラが楽しそうだからいいか。


それから私はキアラとも踊った。それはとてもダンスと呼べるものではなく、はしゃぎ回るキアラの手を離さないように後を追う若いパパのようだった。キアラらしくていいもんだ。あー楽しい。

そのせいでアレクとフランツが踊ったのだが……まぁーこの二人ときたら絵になる! イケメン王子と国で一番の美少女アレクだもんな。しかもステップが本格的で息もピッタリ。先生のお手本を見ているかのような気分だった。ちょっと悔しい。おのれフランツめ。




「最高だったよ。踊る女神って感じだったね。」


「ありがとう。カースこそ楽しそうで何よりだったわよ。」


「私の動きに付いてこれるとは、さすがはアレックスだ。しかしキアラのはしゃぎっぷり、少々妬ましいものがあったぞ?」


「カー兄と踊るの初めてー! 面白かったよねー!」


私達が四人で仲睦まじくお喋りをしていると、誰も寄って来ない。初めからこうしてればよかったな。そうかと思えば……


「フランツウッド王子、この度は父君の御即位、兄君の王太子御就任おめでとうございます。」


「おおアルフォンスか。久しいな。」


「兄上!」


何? アレクの兄だと!? アルフォンスと言ったな。


「やあアレックス。ちょっと見ない間にこんなに綺麗になるなんて。活躍は聞いてるよ。色々とね。」


「兄上、紹介するわ。こちらカース、私の最愛カース・マーティンよ。すでに父上からも母上からも認めてもらってるわ。」


「初めまして。カース・マーティンと申します。お目にかかれて光栄です。」


この兄ちゃんはアレクパパに似てないな。いや、顔は似ているが体つきが似てないのか。アレクパパは偉丈夫って感じなのに。


「やあ、アルフォンス・ド・アレクサンドルだ。この春から王都で財務系の官僚見習いをやることになっている。アレックスをよろしく頼むよ。」


「はい! お任せください!」


この兄ちゃんから見た私は私から見たフランツのようなものだ。かわいい妹に手を出した虫。なのに爽やかに対応してくれるではないか。本心はどうか知らないがね。


「よかったな、アルフォンスよ。カースほどの男は王国に二人とおらん。それほどの男が義弟になるとはな。もっとも、私もいずれカースを義兄と呼ぶ立場になろう。つまりそなたも私の義兄になるな。」


「王子、恐れ多いことでございます。今後ともご指導ご鞭撻いただけると幸いでございます。」


見たところ兄ちゃんは私の五、六歳は上だろう。その歳で官僚見習いとは、優秀ってことか。さすがアレクの兄。そして当然のように王族とも顔見知り。やっぱ分家でも名門貴族は違うねえ。


「ところでアレックス、兄上がかなり心配していたぞ。カース君のことは知っているだろうが、せっかく王都に来たなら一度挨拶に行っておいた方がいいかも知れん。」


兄上? てことはこの兄ちゃんは次兄か。長男がいるんだな。今までどこに居たんだろうね。それにしても親戚関係がもうわけ分かんないよな。知ーらね。

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