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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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11、第二王子フランツウッド

即位式までの数日、私達は王都でのバカンスを楽しんだ。昼は海辺を散歩したり、魔法学院では魔法が反射する回路で遊んだり。夜はデビルズホールに行ったり、ゼマティス家でのささやかなパーティーを楽しんだり。




そしてついに即位式の当日となった。


「カー兄はフランツ君の所に来ておいて欲しいんだってー。」


「分かった。一緒に行こうか。」


まさか王族と同じ席に並ぶことになるのか?

まあいいや。それにしてもキアラのドレス姿とは珍しい。うーん、かわいいぞ。頭なでなで。


「えへへー!」


「キアラちゃんのドレスよく似合ってるわね。新作かしら?」


「ありがとー! フランツ君がプレゼントしてくれたのー!」


なん……だと……


あの野郎……キアラにドレスをプレゼントだと……まさか、あれか? 服をプレゼントするってことは、脱がしたいって考えてるってことか!?


「に……似合ってるぞ……」


でもかわいいキアラを褒めずにはいられない。


「えへへー! アー姉のドレスもきれいだよねー! アー姉って胸がおっきくていいなー!」


おお、もうキアラはそんなことを気にする歳になっていたのか……


「そ、そうかな……キアラちゃんだってお義母様があんなだからきっと、ねぇカース?」


おおぅ、私に飛び火してきたよ。確かに母上の胸は大きい方だと思う。アレクといい勝負かな。


「そ、そうだね。母上や姉上があれだしキアラもきっと……ね?」


姉上はアレクほど大きくはないよな。


「えへへー! そっかー! そしたらフランツ君も喜んでくれるかなー!」


なん……だと……!?


「あらあら、キアラちゃんはフランツウッド王子が好きなの?」


「うん好きー! かっこいいし美味しい料理を食べさせてくれるからー!」


なんてこった……キアラが骨抜きにされている……クソ王子め……女の落とし方まで王族か……


「そっかー。じゃあカースと王子はどっちが好き?」


アレク……嫌な質問をするじゃないか……


「うーん、どっちも好きだよー! カー兄も大好きー!」


おおおーー! キアラ! お前はかわいい妹だ! フランツの野郎が浮気したらすぐ言うんだぞ……王宮を更地にしてやるからな! 頭なでなでなでなで。


「えへへー!」




こんな話をしていたら王城に到着。門番の騎士も慣れたものだろう、キアラにも笑顔で挨拶をしてくれるではないか。馬車はそのまま進み、王宮への入り口で止まった。いつものことだが、ここからの歩きが長いんだよな……と、思ったらフランツ自らお出迎えかよ。キアラは愛されてるねぇ。


「キアラ! 待っていたぞ! よく来てくれた!」


「昨日も遊んだのにー。大袈裟だよー。」


「カースにアレックスもよくぞ来てくれた。今日は父上が国王に即位したことを王都中に広く知らしめる日だ。ここで式を終えたらパレードだ。少々長くなるが付き合ってくれ。」


パレードだと? それは初耳だ。まあいいや。


「悪いな。魔法学院に行かなくてさ。やっぱり旅って抗いがたい魅力があるね。長旅から帰ったら魔法学院に入りたいって言うかも知れないから、その時は頼むよ。」

「お招きいただき光栄に存じます。」


私とアレクの温度差がすごいな。


「ああ、キアラから聞いている。残念だが仕方あるまい。その時はむしろ魔法学院の教師を頼みたいところだな。それよりアレックスよ。そなたもカースのように気安く話して欲しいものよ。すぐにとは言わぬ。気に留めておいてくれると嬉しい。」


「御意にございます。」


分かってないじゃないか。そりゃいきなりは難しいよな。


「さあ、即位式の開始は一時間後、王の間にてだ。それまで私の部屋で寛いでおいてくれ。」


フランツに続いて廊下を歩く。キアラは隣に並んでいる。手こそ繋いでないものの二人の距離はほぼゼロ。おのれ……


それはそうと今日のアレクは地味でシックなドレスだ。存在が派手だから地味なドレスですら目立つよな。胸元にはアルテミスの首飾りも輝いているし。あぁきれいだなぁ。



さてと、フランツの部屋か。どんな部屋だったっけな。


あれ? こんなに物が多い部屋だったっけ? もっとシンプルと言うか殺風景な部屋だった気がするが。


「フランツ君あれやろー!」


あ、アレだと!? な、何をヤルんだ!?


「うむ、キアラは強いからな。だが、まだまだ負けんぞ。」


あ、なんだチェスか。私はやったことないんだよな。駒の動かし方ぐらいは知ってるが。


「アレクは分かる?」


「うーん、駒の動かし方ぐらいかしら。」


同じレベルか。


「じゃあ時間もありそうだし、ひと勝負やってみる?」


「初めてね。手加減しないわよ?」


「負けたら罰ゲームね。勝った方の言うことを聞くってことで。」


「いいわよ。面白そうね。私が勝ったら……うふふ。」


アレクの目が怪しく光る。そんな欲望丸出しの目をしなくても。かわいいんだから。

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