表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘却の都市  作者: HANA
支配者たちの影
70/152

『忘却の都市』 崩れる輪郭

——まだ夜の気配がわずかに残る時間。

俺は、緊急招集を告げる端末の通知で目を覚ました。

行き先は、JAC本部。

言葉少なに制服を整え、足早に建物の奥へと向かう。


通された部屋に入ると、すでに都市警備隊の面々が揃っていた。

見知った顔の中に、見覚えのない2名。

だが、着ている制服からも、彼らが同じ“隊員”であることは明らかだった。

霧崎は軽く一礼し、無言で空いた席に腰を下ろす。


直後、部屋の正面から低く響く声。

——城戸隊長だった。

「朝早くから、すまない。昨日、負傷した者たちにとっても、回復の時間を奪う形になってしまったことを詫びる。」

穏やかさの中に、空気を切り裂くような緊張が宿っていた。

「……昨日、本部建物にて事件が発生した。各自すでに聞き及んでいるだろう。本部正面の入り口が爆破され、侵入行為が行われた。多数の負傷者が出ている。」


言葉の途中で一度、視線を巡らせる。

全員の目が、隊長に集まっていた。

彼が今から“良くない何か”を口にすることを——全員が直感していた。

「……事件の首謀者は、昨日のうちに拘束された。」

重く、静かに。

「事情聴取のため、本日未明、職員が彼の様子を確認しに行ったところ——」

一呼吸、間が空く。


「……自害していた。」


その瞬間、空気が凍りつく音が聞こえた気がした。

……誰も、すぐには言葉を出せなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ