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『忘却の都市』 本題
「早速だが、まずは座ってくれ。」
城戸の低く落ち着いた声が室内に響く。
俺と夏希は軽く頷いて、静かに腰を下ろした。
城戸は手元の端末を軽く操作しながら、俺達に視線を向ける。
「進藤君から聞いたが……昨日君たちが立ち寄ったカフェで、5人組の男女集団が連日現れていると報告を受けた。間違いはないかな?」
その言葉を受け、俺は即答する。
「はい、間違いありません。ただ、あくまでも働いている友人から聞いた話です。」
城戸はその言葉を聞き、少しだけ考え込むように目を細めた。
「なるほど……。」
短くそう呟く。
俺は一瞬、夏希に目をやると、沈黙の空気が伝わってきた。
だが、思わず口を開く。
「……何か、その集団に問題があるんですか?」
その瞬間——。
「私から説明するよ。」
彼女が俺の方へと視線を向けて口を開いた。
その表情は、いつもよりわずかに——けれど確かに、真剣だった。




