表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘却の都市  作者: HANA
日常という仮面
21/152

『忘却の都市』 霧崎の疑念

夏希の質問の意図が、正直よく分からない。

それでもしばらく考え、こう答えた。


「……この都市は、きれいで秩序が保たれている。素晴らしい場所だと思う。」

そう口にした瞬間、夏希は何も言わず、ただ霧崎を見つめていた。

沈黙。


「でも——」

俺は続ける。

「整いすぎていて、逆に違和感がある所もある。そう、まるでみんなが“見えないルール”に縛られて生きているような……」

その言葉を口にした瞬間——夏希の目が、一瞬だけ鋭くなった。

しばらくの間、静かに見つめていたかと思うと——夏希はふいに口を開く。


「第一項。都市警備隊は都市の秩序と平和の維持を最優先にすべし。」


急な彼女の変化に霧崎は息を飲む。

その声は淡々としており、まるで機械のように、感情のない声で読み上げられる。


「第二項。都市の運営に関し、不平不満、疑問を持つ住民の行動、言動を確認した際は報告すべし。」


夏希は読み上げながら、霧崎をなおもじっと見つめる。

そして少し間をおいて……最後の言葉が続く。


「第三項。尚、都市警備隊間において上記を確認した場合は、即座に捕縛、連行すべし。」


夏希は静かにその条項を読み上げ——ゆっくりと微笑んだ。

その笑みは薄く、どこか鋭いものを含んでいる。

肉食獣が獲物を観察するかのように、夏希から危険な気配が放たれる——。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ