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『忘却の都市』 霧崎の夢
どこか遠くの景色——静かで穏やかな時間が流れている。
柔らかな笑い声が響く。
目の前に広がる、ささやかな団らんの景色。
誰かが話している。
だけど、顔は見えない。
声の輪郭もぼやけていて、誰のものかも分からない。
ただ——心地よい温もりがそこにあった。
テーブルを囲んで、何かを話しているが、何を話しているのかは分からない。
それでも、そこにある光景は不思議と懐かしく感じる。
この懐かしさは、一体どこからくるのだろうか?
ぼんやりとした意識の中、光が目の奥に差し込んできた——




