『忘却の都市』 仕事の開始
渡された制服に一度着替え、指示を受けるため再度部屋へ向かった。
黒を基調とした警備隊員の服は、都市の住民たちが着ている服装よりもずっと武骨な印象を与える。
袖には都市警備隊の紋章が刻まれており、腰のベルトには端末を装着するスペースがある。
この制服を着ることで、俺は都市の秩序を維持する立場になったのだと、改めて実感させられた。
制服に身を包んだ俺を、先ほどの男がじっと見ていた。
「外に指導員がいる。端末の操作方法や詳しい仕事内容はそちらに聞け。」
ぶっきらぼうに言い放つ。
俺はその言葉を聞きながら、この男の態度がやけに高圧的なことに、少し違和感を覚えた。
都市の住民たちはどこか機械的で、無駄のない会話を交わしていた。
しかし、この男の話し方は、まるで俺を見下しているかのような冷ややかさがある。
「……わかりました。」
そう答えると、彼は腕を組みながら冷たく言い捨てる。
「都市警備隊は秩序を守る存在だ。繰り返すが、その意味を忘れるな。」
俺は静かにその言葉を受け止める。
確かに都市の警備を預かる以上、厳しい態度になるのは当然かもしれない。
そう考えながら、外にいる指導員のもとへ向かうことにした。




