私はプライドが高いの【舞視点】
妖だとか、幽霊だとか、そんなのは作り話だと思っていた。
だってそうじゃない。見えないんだもの。見えないものをいるんだと言ったところで証拠がない。
そもそも怪談話は創作の一つだと……不思議な体験する前はそう思っていたのよ。
それがまさか、私が怪談を実話として語る時がくるなんて思わなかった。
神社での体験の後、私は前までは視えなかったものが視えるようになったのだ。それは黒で塗りつぶされた人型だったり、小さい者だったり、視てはいけない者だったりと様々だったけど。
私は、そのことは内緒にしてはいるが、たまに生きている人間と区別がつかない時があるから困る。
だって、なんて説明すればいい? 私、霊感あるんだって言っても、相手は視えないのに信じてくれるはずはないし、頭のおかしい子だと思われておしまいだ。
そんな悩みを抱えていたら、父が多額な借金を抱えていることがわかった。友人が企業に失敗して逃亡したかららしい。なんでも、その友人にお願いされて保証人になっていたとかで。
母は、取り立て屋による嫌がらせでうつ病になり、父は酒に溺れるようになった。
私は、相変わらず不良グループにいいように使われていた。
中学卒業後には、父と母は自殺した。『ごめんなさい』と遺書が置かれていた。
私に遺されたのは親が遺した多額の借金のみ。親戚たちは皆私を厄介者扱いして引き取ることを拒否した。
元々高校には行かずに働くつもりだったので、死にものぐるいで働いていた。
住み込みも視野に入れていたが、いつ借金取りが押し寄せるか分からないのでバイトを転々としていた。
私には、両親の死を悲しむ暇なんてなかった。自分でも理解しているの、私はプライドが高いの。
だから、親みたいにはなりたくないと。人を簡単に信じて、保証人になって多額の借金まで背負って……そして最後には自殺? 冗談じゃないわよ。
私は、そんな最後まで迎えたくなんかない。幸せになってやるんだから。
ふと思い出したんだ。
こんなにも辛くなったのは、神社に行ってからだと。
元々辛かったけど、更に酷くなったのは神社に行ってからだ。
気になったから、神社の事を調べた。そしたら、神社に行った時のあの嫌な空気は神様に歓迎されていないとされているらしい。
神様が別の日に来なさいというメッセージなのだとか。
神主に聞いてみたら、妖狐が人間をかくりよに連れていくんだとか。私も経験がなかったら信じなかった。
でもそれがもし、本当ならば……。
その日から色々と調べた。妖の事を。
どれもふんわりとした説明ばかりでしっくりこなかったが、私ひとりでは限界があった。
だから、協力者がほしかったんだ。そこで閃いたのが怪談話を語ること。
もしかしたら、私と同じ体験している人がいるかもしれないと思ったから。
毎年夏頃になると廃墟化して使われなくなった体育館でイベントを行うようになった。勿論、管理者には許可を得ている。
一回目の時は、物珍しさからお客さんがかなり来た。それこそ、体育館に収まらない程の。
でも、二回目、三回目……と、開催する度に、お客さんが減ってしまっていた。
今回が最後にしようと思っていたら、透和に出会った。
小学生だとバカにしたのでカチンときたけども。
私だって……好きで身長が低い訳じゃないんだから、失礼なやつよね。そもそも私は成人してるんだから!!
透和は私と同じような経験をしたではなく、似たような経験をしていた。
座敷わらしと一緒に生活しているんだとか。体調がなかなか治らないから、何か分からないかと怪談話に参加したんだとか。
かなり切羽詰まってる様子で、放っておけなかった。何せ、その顔が両親と重なったから。
次の日には命を絶ってしまうんじゃないかと……そんな不安が頭を過ぎったのだ。
話を聞くに親しい間柄のようでついつい言葉を選ばずに「恋人?」って聞いてしまった。
逆ギレされるかと思ったら困った顔で訂正されてしまった。
透和は優しい人なのだろう。でもそれは、長所にも短所にもなることを私はよく知っている。
だから、そんな人を巻き込んでいいのか不安に感じたが、本人は座敷わらしの女の子の事になると周りが見えなくなるタイプに思えたから、何も言わないようにした。
夜に神社に行くと、前と同じく鈴の音が聞こえ、無我夢中で走ったのだ。
後ろから透和の声が聞こえたが、私は聞こえないフリをして前に進む。
雰囲気がいつの間にか変わっているような気がしたと思ったら、木に囲まれていた。
かくりよに来たのだとすぐにわかった。
大きな地震の後、二匹の獅子が現れた。私は、獅子の殺気に当てられて、身動きが取れなくなり頭が真っ白になった。
透和と二匹の獅子が何かを話していたが、話している内容はよく分からない……というよりも内容が頭に入ってこれない程に真っ白になっているのだ。
急に透和が私に話をふってきた。こんな時にふるのはやめてほしいと思いながらも、必死に透和の話を聞いた。
私の不運の原因は妖狐から貰った石だと言うではないか。
でも、妖狐の呪いは、また違うらしい。
不運が全て呪いのせいだと思っていたけど、神様……いや違う。多分、二匹の獅子……神様の眷属による怒りと妖狐の呪いが合わさって不運を呼び起こしていたのかもしれない。
二匹の獅子は神様を主っていっていたし、眷属だろうから。
石を渡しながらも思ったの。
妖狐のイタズラで私は両親を亡くさないといけないの?
ただ、今後の縁を良くしようと参拝しただけなのに、なんでこんなにも不運にならないといけないの?
なんでなんでなんでなんでなんでなんで!!!
そう考えたら、怒りがふつふつと湧き上がった。
一発ぶん殴るだけじゃ足りない。私の奴隷にしてやるわ!!
絶対に許さないんだから。
拳を握りしめながら、私は、強く決意した。
舞はかなりの方向オンチで、毎回イベント会場には迷子になりつつ行っています(笑)
お金が無いのでかなり古いアパートに住んでます。しかも訳あり物件




