25話 アルカの王様
更新が遅れてすいません!
昨日もブックマーク、評価いただきありがとうございました。
皆さんへのお礼、そしてこの作品投稿一ヶ月目の節目なのでなんとか更新しようと頑張らせていただきました。
今までのあらすじ
周囲の過大評価に本人はびっくりです
我が反乱軍のジョーカー、アルカ。
彼女が本気を出せば反乱はもっと早く確実に終わっていただろう。
それほどまでに彼女は強い。
ただ純粋に強いのだ。
俺は彼女のそのパワーを隠し、治癒魔法使いに専念してもらってる。
薬では治せないような傷を癒して感謝される姿をよく見る。
その度に思うのだ。
これが村長の望んだ光景なのだろうと。
「今夜はあったかいお鍋ですよー」
夕飯は毎日アルカがつくってくれる。
村にいた時も反乱中も変わらずずっと。
アルカとカルサに俺
そしてミサゴとハイロ
五人仲良く食卓を囲み、鍋をつつくのも乙なものだ。
「カルサ、お野菜も食べないと大きくなれないわよ」
「…ミサゴも食べてないけど大きいよ?」
「妾は十分育ったのでもはや野菜は不要であるのだ!
うむ!肉がうまいぞ!」
「姉上、野菜は私が確保してございます
どうぞお食べください」
「ハイロ、今宵も妾に試練を!?」
「ほらカルサもちゃんと食べなさい
お鍋だから食べやすいでしょ」
「はーい…
兄様、半分こしましょ?」
「それは妙案!リク、妾もそなたに半分授けよう」
「もう!カルサ!ミサゴさんもいけませんよ!」
賑やかな食卓。
俺のお椀が野菜で山盛りになってるのすら微笑ましい。
「ごちそうさまでした
おねえちゃん今日もありがとう」
「はい、お粗末様でした」
「アルカよ、今宵も大儀であった!
妾はたいへん満足しておるぞ!」
「ミサゴさんもちゃんとお野菜食べて偉かったですよ」
「そなたの料理の腕前のおかげよ
大したものだ!褒めてつかわそう!」
「私からもお礼を言わせてください
アルカ殿のおかげで姉上が野菜を克服されそうです」
「私なんて全然ですよ
ミサゴさんが頑張ったからですよね?
すごいすごい」
アルカがニコニコしながらミサゴの頭を撫でている。
ミサゴも嬉しそうにされるがままだ。
この二人、意外と仲がいい気がする。
楽しい食事の時間が終わり、あとは寝るだけ。
決戦の日は近く、少し興奮して寝付けない俺は夜の散歩に出た。
月明かりがあるため俺でもそこそこ前が見える。
そんな俺の目に光り輝く黄金が映った。
なぜ黄金?とよく確かめるとその正体は月明かりで輝く金髪。
アルカである。
「リクさんも寝付けないんですか?」
「も、ってことはアルカもそうなの?」
アルカははにかむような笑顔で答えた。
「そうなんです
もうすぐ都って思うとなんだか寝付けなくて」
アルカも俺と同じらしい。
やっぱ緊張するよね。
「私、リクさんはそんな緊張とは無縁だと思ってました」
え?なんで?
「だっていつも堂々としてるじゃないか
こんな大軍にバンバン命令も下して
すごいですよ」
「自分に関係ないと思ってるからのほほんとしてられるんだよ」
「そんなことありませんよ
リクさんは自分で思ってるよりずっとすごい方です」
アルカは微笑みながらとんでもないことを言う。
「私、リクさんが王様の国に住めるのがとっても楽しみなんです」
俺が王様になる。
みんながそれを期待してることは正直気づいていた。
しかし決して受け入れられないと逃げてきた。
だって王様だよ?
そんな器じゃないこと、俺が一番知っている。
「いやいやいやいや、俺は王様になんてならないよ」
即座に否定する俺。
キョトンとするアルカ。
「そうなんですか?
私はとってもお似合いだと思ってますし、みんなもきっとそう思ってますよ」
そう、みんな外堀を埋めようとしている。
恐ろしい。
アルカが月を見上げながら語り出す。
「私って田舎者だから国のことなんてよくわかりません
でもね、この反乱を通じてなんとなく気づいたんです
私が求めてる王様っていうものが」
それがなぜ俺になるんだろう?
「偽王って私たちからたくさんのものを奪いましたよね
私たちからはおばあちゃんを
同じように多くの人々の家族の命
明日食べるためのごはん
おうちを奪われた人もいます
身ぐるみ剥がされたって話も聞きました」
本当にひどい話だ。
こんなのが王を名乗るなんてありえない。
「だからあいつは偽の王、偽王なんです
じゃあ本当の王様ってどんな方なんだろう?
どういう方が王様にふさわしいんだろう?
私、ずっと考えてました」
月から俺に目を移し、笑いかけてくる。
「それでようやく気づけたんです
私が求めてた王様ってリクさんみたいな人だって
人から奪うのではなく、与える人なんだって」
…俺、なんか人にあげたっけ?
むしろもらってばっかな気がする。
「あげた記憶ないなーって顔ですね
そこがリクさんのすごいとこですよ
意識せずにやっちゃうところ」
アルカは思い出し笑いをし始めた。
「たしかにリクさんは何も持ってませんよね
出会ったときは記憶喪失で無一文
自分で狩りはできないし、畑仕事も無理
カルサは怒るしたいへんでしたね」
おーっと、褒められてると思ったら下げられてました。
これこそ俺だね。
「でも、実は違いました」
思い出し笑いとは違う、優しい笑顔になった。
「リクさんは村のみんなに計算を教え、読み書きを教えてくれました
知識を分け与えてくれたんです
カルサには自信を、さらに他人を信用する心も与えてくれました
ジェンガやミサゴさん、ハイロさんには進むべき道を示してくれました
そして今、この国の全てに人々に与えています」
大きな月を背にして俺に笑いかける。
「未来への希望
明日はきっと今日より幸せになれる
そんな素晴らしいものを、みんなに与えてくれてるんです」
輝く髪と月が合わさって、後光が射してるように見える。
天女と言われたら信じただろう。
話と全然関係ない、そんなことを俺は思った。
「リクさん、自覚されてませんよね?
でも、そこがリクさんのいいとこでもあります
何の気なしに、見返りなしに人を手助けしてあげる
そんな優しいところがリクさんの素敵なところです」
素敵と言われ、なんだか急にドキドキしてきてしまった。
顔が赤くなってきてる。
照れ隠しに俺は口を動かす。
「俺なんて全然だよ
それにほら、アルカには何もしてあげられてないしゃん
むしろ助けられてばっかりだよ
いつもありがとね!」
すごい早口になってしまった。
でもアルカはちゃんと聞き取って返事をしてくれる。
「私もリクさんにはいっぱい感謝してるんですよ」
いったい何のことだろう。
命を助けられてご飯食べさせてもらってる覚えしかないが。
「リクさんが目覚めたとき、初めて私たちが出会ったとき、リクさん私になんて言ったか覚えてます?」
「えーっと、たしかお礼を言ったはず」
「そうです。お礼を言ってくれました
私何人も旅人さんをら助けてきましたけど、お礼言われたのって初めてだったんですよ」
「え?お礼言わないやつなんているの?」
アルカはさらに深く微笑んでくれた。
「ほら、やっぱりいい人です」
しかしその表情は寂しげなものに変わる。
「リクさん以外の人はみんな目が覚めると必ず私のことを"化け物"って呼んだんです
”近寄るな化け物!俺も殺す気か!”って」
目覚めた時の心配げな表情が思い出される。
あんな優しい子にそんなことを言うやつがいるなんて、俺には理解できない。
「その度に私は傷ついて泣いちゃって、カルサに「助けなきゃいいのよ」って怒られて…
そしておばあちゃんが魔法でその旅人の記憶を消し、家から追い出してました」
「そんな目にあい続けてたのに俺を助けてくれて、本当にありがとう」
そんなひどいやつらのこと忘れてほしい、そんな気持ちをこめて今度はゆっくりとお礼を言った。
アルカはいつものようにニコニコ笑ってくれる。
「リクさんに出会えて、全て報われましたよ
私の方こそありがとうございます」
「俺のほうがお礼言われて変な気分になるよ」
「私がそれだけ感謝してるってことですよ
そして、この反乱もありがとうございます
おばあちゃんの仇討ちはもちろんですが、私の力のこと、秘密にしてくれて本当に嬉しいです」
「いや、それが村長の望みだったからだよ
俺は村長の考えどおりにして、ただそれだけ」
「でも私の力を使えば、きっともっと簡単に反乱は終わってましたよ
ギーマン砦でも、リクさんはあんな困ることなかったんです」
アルカが笑う。
今度はいたずらっぽくニンマリと。
「リクさん、私気づいてましたよ
ボードさんに迫られてた時、けっこう焦ってましたよね?
ミサゴさんが助け舟出してくれなかったら危なかったんじゃなかったんですか?」
バレていた。
まあ、アルカとカルサとは四六時中一緒にいるし情けない姿たくさん見られてるからな。
見破られてても当然か。
別に焦りもしない。
「まあね。まあ、それでもきっとなんとかなったと思うよ」
「私の力は使わなかったんですか?」
「使わないね。きっと使わなくてもなんとかなったさ
だって俺の周りは、すごいやつばっかだからな」
「そうですね。リクさんの周りはすごい人ばかりです
リクさんを中心に、すごい人が集まるんです
だから、やっぱりリクさんはすごい人です」
そして話はまたここに戻る。
「だからそんなリクさんが王様にふさわしい、って私は思うんです」
アルカの表情は真剣だ。
「そんなリクさんに、私は王様になって欲しいんです」
しばしの沈黙の後、アルカは「そろそろ寝ましょうか」と話を打ち切った。
表情はいつもの笑顔かと思ったが、まだ真剣な顔をしている。
「偽王と決着をつけるときは、私も連れて行ってくださいね
力を使うかとかは関係なく、おばあちゃんの仇討ちです
私も現場に行かせてください」
俺が「わかった」と返事すると、ようやくアルカの表情に笑顔が戻った。
「私の話に付き合ってくれてありがとうございました
おやすみなさいリクさん」
寝室に戻るアルカの背中を見送り、俺は一人になった。
考えはまとまらないし、全然眠くならない。
「王になって欲しい」というアルカの言葉が頭の中で何度も繰り返される。
「俺は、どこに向かってるんだろうなあ」
誰か教えてくれ。
今回はアルカの話になりました。
今までアルカはなかなか話をしてくれなかったのですが、ようやくたくさんしゃべってくれるようになりました。
まもなく偽王との決着です。
よろしくお願いいたします。
明日は間違いなく更新できないため、次回更新は9/22AMを予定しております。




