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お茶会とお友達

夜会当日、カイル様とヒューバート様と馬車に乗り目的地へと行った。


カイル様達は、団長の集まりがあるようで昼は別行動になる。

私はミラ様のご友人の邸にお茶会に行くことになっていた。


「送って下さらなくても大丈夫ですよ。」

「時間はあるから大丈夫だ。」


カイル様は私を送り届けてから行くらしい。

カイル様と手を繋ぎ、お茶会を準備している邸の一室に案内されるまま一緒に歩いた。


部屋のドアを開けると、ミラ様とご友人のギリンガム伯爵婦人のパトリシア様がいた。

パトリシア様は大人っぽい妖艶な感じの方だった。


「ルーナ、お久しぶりね。会いたかったわ!」

「はい、お招きありがとうございます。」


ミラ様とパトリシア様は笑顔で迎えてくれた。


カイル様は、ミラ様とパトリシア様に、妻をよろしくお願いします。と挨拶をした。


「では行くからな。」

「はい、カイル様いってらっしゃいませ。」


そして、カイル様は私の頬に口付けをした。

ミラ様達の方を振り向くと、二人ともポカンとしていた。


「あれがファリアス公爵様?以前騎士団のパーティーで見た時と違うわ。」


パトリシア様は珍獣を見たような驚いた顔つきだった。


「だから言ったでしょ!カイルはルーナを溺愛してますのよ。執着心が凄いのですよ。」


ミラ様、それはフォローですよね。


「す、すみません。いつも行ってきますのキスをしてくるので、ついしちゃったんだと思います。」

「いつもカイルはするんですの!?私も毎日グレイとしたいですわ!」


ミラ様は久しぶりにお会いしても元気一杯だった。


「ミラ、少し落ち着いて。ルーナさんが引くわよ。」

「パティ、ルーナはお友達だから引きませんわ!」

「大体、そんなことを言っていると欲求不満と思われるわよ。」

「最近はとにかく眠くて、少しダルいからベッドも別々にされたのよ。」


どうやら、最近ミラ様は体調が少し悪い時があるらしい。

今夜の夜会も医師に反対されていたけど、気晴らしもかねて、ミラ様が強硬するようにグレイ様についてきたらしい。


「大丈夫なのですか?お休みされた方がいいのでは?」

「正直、城は息がつまるのよ。グレイも忙しいし、少し寂しいわ。」

「ミラ、あなた月のものはきているの?」


パトリシア様がいきなりミラ様にズバリ聞いてきた。


「医師も疑っていたけど、食事もいつものように食べられるし、つわりのようにムカムカはないのよ。」

「妊娠しているのですか?」

「あら、意外と驚くのね。結婚しているのだから、妊娠の可能性はあるわよ。」


それはそうだ。

夫婦の営みがあれば妊娠だってする。


「まさか、まだファリアス公爵はお召しになってないの?」


パトリシア様、ズバリ聞きすぎです。


「カイル様は、その、せ、積極的で、」


ミラ様とパトリシア様は二人でニヤニヤしてきて恥ずかしくなった。


「ルーナはカイルに愛されてますからね。」

「ええ、そう見えますわ。」

「す、すみません。私あまりこういうことがわからなくて。」

「貴族なのに、閨の教育を受けてないの?」


パトリシア様が不思議そうに聞いてきた。


「すみません。私貴族らしくなくって。」

「大丈夫よ。安心して下さいね。私が閨の本をプレゼントしますわ。」

「は、はい。」


今さらですけどね。とパトリシア様は楽しそうだった。


「ルーナ、浮気したくなったら、パティに相談なさい。絶対バレないようにしてくれるわよ。」

「浮気はしません。」

「ふふ、冗談よ。浮気なんてしたら、カイルはきっと相手を斬り倒すわね。」

「ミラ様、怖いです。」

「ミラ、冗談もそれくらいよ。ルーナが驚くわよ。」


貴族の会話は恐ろしいと思ってしまった。


その後も三人で話しが弾み、パトリシア様も感じのいい方だった。


お茶も楽しんでいると、ミラ様は生クリームのケーキを口にしていると急に、吐きそう、といい出した。

顔色も少し悪い。


パトリシア様がすぐに連れて行くと、ミラ様は嘔吐していた。


「医師も来ているのでしょ。すぐに連れて来て下さいな!」


パトリシア様はミラ様の侍女に医師を呼ぶように言った。

すぐに、ベッドに連れて行くと、ミラ様は顔色が悪く不安そうだった。


「すぐに、医師とグレイ様を呼ぶから大丈夫よ。」

「ごめんなさいね。」


そう言うとパトリシア様はグレイ様を呼びに行こうとした。

騎士団長の集まりに、使用人ではすぐに会えないと思ったらしい。


「パトリシア様、私が呼んで来ます。ミラ様の側にいてあげて下さい。」

「でも、外は雨も降っているし、ルーナに何かあってもいけないわ。」

「大丈夫です。それに私ならカイル様にきっとすぐに繋いでくれます。そしたらすぐにグレイ様を呼んで頂けます。」

「本当にいいの?」

「はい。」

「公爵夫人にさせて申し訳ないけど、お願いしますね。」

「はい、すぐに行きますね。」


パトリシア様は私に一礼をした。


「ルーナ、私のことはパティと呼んでね。」

「はい、パティさんと呼びます。」


私はそう言うと、急いでカイル様の元へ向かった。





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