表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/127

日常に戻りました

ミラ様達の一泊2日のお忍びの滞在も終わり、カイル様も休暇があけ、やっといつも通りの日常に戻った。


ゆっくりカイル様といられることができ、嬉しかった。


「では、行ってくるぞ。昼は気をつけてくるんだぞ。」

「はい、いってらっしゃいませ。」


カイル様は最近は特に人目もはばからす、頬にキスをしてくるようになった。

朝の見送りと夕のお出迎えの時は必ずして下さる。


今日は休憩時間がゆっくり取れそうだからといって、お昼に伺うことにした。


今日はいつもお邪魔して悪いので、騎士団の方々にもレモネードを作って持って行くことにした。

大きなバスケットに入れ、騎士団へ行くと今日はまだカイル様は入り口に来てなかった。


少し早いかしらと思ったけど、無言で待つわけにはいかない。

大きなバスケットを両手で持ち、門番さんに声をかけた。


「あの、私、カイル・ファリアス様の婚約者のルーナ・ドワイスです。カイル様に会いに来ました。」


門番さんは、笑顔で返答してくれた。


「はい、存じています。この度はご婚約おめでとうございます。」

「ありがとうございます。」

「団長のところにご案内致します。」

「お願いします。」


門番の方は、大きなバスケットをヒョイと持って下さり、建物の中に連れて行ってくれた。

騎士様達には、私はカイル様の婚約者の方だと注目の的だった。

そして騎士の方の一人が門番さんに、今はカイル様は鍛練所にいると教えてくれた。


鍛練所につくと、カイル様は模擬剣で若い騎士と鍛練をしていた。

門番さんが声をかけようとしたが、邪魔したくなく、終わるのをまつことにした。

ベンチに座り、カイル様を見ていると生き生きしているように見えた。

汗を流すカイル様が格好良くて見とれていると周りが私に気付き、ざわつき始めカイル様が私に気付いてしまった。


「ルーナ、来ていたのか?もうそんな時間か。」

「はい、終わるのを待ちますから、私のことは気になさらないで下さいませ。」

「いや、もう終わるから構わない。」


カイル様は汗をシャツで拭きながらやってきた。


「汗大丈夫ですか?」

「端に置いてあるタオルを取ってくれ。」


カイル様が言われたタオルをとり、お顔を拭こうと背を伸ばした。


「拭いてくれるのか。」

「お嫌ですか?」

「いや、頼むよ。」

「カイル様は鍛練がお好きなんですか?」


カイル様が生き生きとしていたからカイル様の好きなことかと思った。


「まあ、好きかもしれんな。今度、騎士達のイベントで公式試合があるから、今は鍛練に励んでいるんだ。」


公式試合!

では、カイル様の勇姿が見られるわ。


「カイル様が出るときっと素敵ですね。」

「俺は出場しないぞ、団長は出れないんだ。」

「そうなんですか。カイル様が見られると思ったのですが。」

「挨拶や審判をするから、試合には行くが、ルーナも見に来るか?」

「私が行ってもいいですか?」

「一番前の席を取っておく。」

「絶対に行きます。」


顔の汗を拭き終わると、カイル様は汗臭いからシャワーを浴びてくると、言った。

流石に、シャワーまでは一緒にいけないのでその間に、騎士様達に持って来たレモネードを差し入れした。


「皆様、少しですが差し入れを持って来ました。どうぞお飲み下さい。」


騎士様達は皆様喜んでくれたのか、あっという間にレモネードはなくなった。


「今度、公式試合があると聞きました。皆様頑張って下さい。」

「はい、観客も多いですし、皆張り切ってますよ。」

「沢山の方が見に来られるのですか?」

「何人かの団長も来ますし、ルーベンス団長やカイル団長は特に若くて人気ですからね。」


カイル様が人気、私が行くと注目を浴びるかもしれないわ。

一人でひっそりと見ようかしら。


「ルーナ、騎士達と何を話しているんだ?」


シャワーを終えたカイル様が、足早にやってきた。


「お早いですね。」

「シャワーだけだ。時間はかからん。」


カイル様は、肩を抱き寄せさっさと執務室に私を連れて行った。


「カイル様の好きなものは、騎士様なんですか?」

「まあ、騎士は好きだか、どうした?」

「前に、ヒューバート様にカイル様の好きなことを聞いたのですがよくわからなくて。」

「ヒューバートは何と言ったんだ?」


ヒューバート様が、言ったことを言っていいのかしら。


「…そう言えば、ヒューバート様がいらっしゃいませんね。」

「ヒューバートは、グレイに貸してる。」

「王室がらみですか?」

「まあ、そうだな。直に落ち着くから、心配するな。」


王室のことはミラ様達の王位のことよね。

うーん、と考えていると、カイル様が肩に手を回し近付いてきた。


「話が逸れたぞ。ヒューバートは何と言ったんだ?」

「…カイル様の好きなものは、わ、私だと。」


自分で言うのは恥ずかしいです。

思わず、顔を逸らしてしまった。


「こちらを向きなさい。」


カイル様にグイッと顔を向けられ、軽くキスをしてきた。


「お昼ご飯を食べないんですか?」

「腹は減るがルーナとの時間は大事だ。」


ここは執務室です!

また人が来たらどうするんですか!?


カイル様の腕の中で、心の叫びは必死だった。


「お昼を食べて下さい!お腹が空きます!」

「心の準備はまだか?」

「も、もう少しだけ待って下さい。」

「しょうがないな。もう少しだけだぞ。」

「は、はいっ。」


カイル様はやっと離してくれて、お昼を食べ始めた。

何事もなかったように食べるカイル様を横目に、私はまた、動悸が収まらなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ