朝は二人の世界
「ルーナ、朝だぞ。」
カイル様の声で目を覚ますと、目の前にカイル様の顔がドアップだった。
…今、私、上を向いてますよね。
どうしてカイル様が上にいるのでしょう!
カイル様は私が潰れないように、肘をつき私の上にいたが、私が目を開けると、そのまま覆い被さってきた。
カイル様!
朝から刺激的です!
「…っ…」
カイル様は私の口を塞いだ後はゆっくり首筋にもキスをしてきた。
なんてことでしょう。
目が覚めるなりこんなことになるとは。
夕べ寝かせてくれないからと寝坊してしまったせいですか。
「…カイル様、」
「なんだ。」
「大変です。心臓が爆発しそうです。」
「そんな可愛い顔で煽るのだから止めないぞ。」
「…っ!し、仕事ですよ!仕事に行かれるのだから、キスだけにしましょう!」
「なんだ、期待してたのか。なら期待には答えるぞ。」
やぶ蛇でしたか!
私ったらなんてことを!
しかも何故朝からご機嫌ですか!?
「カイル様、もしかして機嫌が良いですか?」
「夕べは可愛いかったからな。」
その格好いい顔で見つめないで下さい!
抵抗虚しくキスをされていると、ドアのノックの音がした。
「…邪魔が入ったな。」
カイル様は、軽くキスをすると、ガウンを腰に巻き、ドアに向かった。
どうやら、ハンナさんが朝食を持って来たらしい。
「中には入らなくていい。ルーナがまだ寝てるからな。」
いや、起きてます。
刺激的に起こされましたから!
でも、言えないです!
私は寝たふりをします!
すみません!ハンナさん!
ドアの閉まる音がして、カラカラと朝食を乗せたワゴンの音が聞こえる。
音が止まり、どのタイミングでベッドから出ようか、グルグル考えていると、カイル様が頭元だけシーツを剥いだ。
「いつまで隠れるんだ?ハンナはもういないぞ。」
「…カイル様、朝は反則です…」
シーツにくるまったままカイル様に抱き上げられると、また顔が近くにあった。
「では、また明日もするか?」
「明日は絶対私が先に起きます。」
その攻め顔で朝起こされたら、明日こそは心臓が本当に爆発しそうです。
支度の後は一緒に朝食を食べ、いつも通りお見送りをする。
玄関ホールに行くとすでにヴィンス様もシャロン様も待っていた。
「ルーナ様、昨夜は失礼しました。ハート型の器はお詫び致します。」
いくらお詫びとはいえ、カイル様に差し上げるハート型はシャロン様に買って欲しくない。
「お詫びはいいです。型は自分で準備したいので。」
「…そうですか。わかりました。」
何だか元気がないです。
悪いと思っていたのでしょうか。
この姿を見ると悪役令嬢には見えません。
ヒューバート様はどこまで本気だったのでしょうか。
それに、シャロン様はよくわからない方です。
カイル様は全く気にならないのか、いつも通り、いってきますのキスをしようとしてきた。
シャロン様の方が向けなくなり思わず、顔を反対に向けてしまった。
「なんだ、今日はこっちにして欲しいのか。」
「違います。」
優しく頬にキスをしてくれると、夕食は騎士団で待ち合わせの為、気をつけて来なさい。と言ってくれた。




