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再会

 

 ――先手を取ったのはセイリオスだった。

 ジークが一歩を踏み出した瞬間にはセイリオスは距離を詰めて、ジークの胸を拳で突いていた。

 衝撃によって吹き飛ばされたジークは床の上を転がり、部屋の壁にぶつかると、激痛のために床の上をのたうち回る。


「まさか一撃で終わりじゃないだろうな?」


 それなりの力で放った突きだったのだが胸を貫通しなかったため、セイリオスはジークの実力についての予測を上方修正する。自分の拳に耐えられる程度には鍛えているのだから、世間一般と比較すれば異常な強さであると。


「まだだ」


 血反吐をぶちまけながら立ち上がるジークは、苦し紛れにも見える動きで投げナイフを投擲する。

 セイリオスは何かあるのではと思いつつ、力の差をハッキリ見せるために飛んでくるナイフを掴み取った。だが、それはジークの思惑通りの動きであった


 ――バチリッ、そんな音をさせてセイリオスが掴み取ったナイフから雷光が生じる。だが、それだけだ。

 セイリオスは何の痛みも感じなかったことから、何かを狙って失敗したのだろうと判断し、ナイフを放り捨てた。


「どいつもこいつも小細工に頼って、男らしさの欠片も無い」


 セイリオスはステップを踏み、軽快なフットワークでジークに接近する。

 男の戦いとは殴り合いが至上で、百歩譲って剣や槍が次善に位置するというのがセイリオスの考えだ。人を陥れるにはどんな謀略も厭わない男ではあるが、こと戦いに関しては小細工などは一切用いないことを信条としている。


 ジークは剣を手にし、対するセイリオスは素手。だが、ジークはそれで優位に立っているとは思えなかった。

 自分が手にした剣とセイリオスの拳を見比べると何故か自分の剣の方が見劣りするような感覚をジークは抱いており、そんな直感がセイリオスとの接近戦を回避させる。


 近づくセイリオスに対してジークは後ろに下がる。下がりながら再び投げナイフを投擲するが、今度はかすりもせずにセイリオスに避けられた。そして、ナイフの投擲の一瞬の隙を突いて、セイリオスは大きなステップを踏んで一気に距離を詰める。


「威勢が良かったのは最初だけか?」


 近づくセイリオスを払いのけるようにジークは剣を振るうが、セイリオスは上体を振ってジークの剣を掻い潜り、懐へと飛び込み、そして必殺の意志を込めた右拳を撃ち放った。

 放たれた拳は真っ直ぐジークの顔面を捉える。普段ならこれで、相手の頭が弾け飛んで、真っ赤な花を咲かせるのだが――


「――――っ?」


 普段と違う手ごたえに加え、直撃を食らってなお形が残っているジークの頭を見て、セイリオスは異常を感じ、一旦距離を取ろうとする。だが――


「逃がすか!」


 後退しようとしたセイリオスにジークが掴みかかる。

 その動きはセイリオスにとっては想定外のものであったが、だからといって慌てるようなものでも無い。

 セイリオスは自分の服を掴んだジークの腕を叩き落そうと手刀を振り下ろす。並みの相手なら腕が千切れ飛ぶ威力。だが、振り下ろした手刀は普段の半分の威力も出ず、ジークの顔を痛みで歪ませる程度の効果しかなかった。


「何を――」


 何をした?

 セイリオスが、そう訪ねようとした瞬間セイリオスの体に電撃が走る。

 ジークに掴まれた衣服を通して、ジークの放った雷の魔法がセイリオスに届いた瞬間だった。

 しかし、全身を雷に貫かれてもセイリオスは冷静さを崩さない。雷による痛みと衝撃に動じずにセイリオスは自分の衣服を掴むジークの体を蹴り飛ばし、自分から引きはがす。


「思ったよりやるな」


 セイリオスは本来の威力が出ていなかった自分の拳を見る。

 違和感があるのは、ついさっき受けた魔法のせいかそれとも――


「最初のナイフに何か仕込んでいたな?」


 恐らくは微弱な電流で麻痺させていたのだろうとセイリオスは推理する。

 完全に麻痺させれば別の手段で攻撃してくると読んで、あえて弱い雷にしたのだろうとセイリオスはジークの思惑を読む。

 僅かな麻痺でも拳の握りなどは甘くなる。そうなれば必殺の一撃も耐えられる程度には威力が落ちるかもしれないし、その時は反撃の機会になる。

 もっとも、威力が落ちたとしても耐えきれない可能性は充分にあったのだが、ジークはそれでも実行したのだった。


「随分と大胆な賭けに出たな」

「そうでもしなければ勝てないからな」


 結果的にジークは賭けに勝った。

 セイリオスは魔法によるダメージがあり、電撃を受けたせいで体の麻痺もあるはず。


「――で? 賭けに勝ったので、僕に勝てるとでも思っているのか? それともまだ何かあるのか?」


 ジークは答えない。

 手の内を晒すつもりが無いので答えないというわけではなく、次の策が無いからだ。

 セイリオスを弱体化させて、その間にセイリオスを倒すというプランしかジークは用意できなかった。なので、後は普通に戦うだけだ。

 ジークは剣を構え、セイリオスに突進、捨て身の覚悟の剣は今までに無い鋭さでセイリオスに襲い掛かる。


 想像していた以上の勢いの剣を受け、セイリオスは舌打ちをしながら後退する。体の麻痺は残っているし、思った以上にダメージがある。

 完全に油断していた。ジークが自分を捨てて戦えるとはセイリオスは思っておらず、それ故の失態である。


 下がるセイリオスを追いかけ、間合いに収めるとジークは剣を振り下ろす。

 後退より前身の方が速いのは当然であり、下がったところで逃げ切ることは出来ない。

 ジークの剣はセイリオスに向かって正確な軌道を描いて放たれた。確かな鍛錬が感じられる一撃。これも並みの相手であれば防ぐことは不可能と言っても過言ではない。


 ――しかし、相手はセイリオス・アークスであり並みの相手ではない。

 セイリオスは放たれた一撃の軌道を完璧に読み取り、ジークの剣を指で掴み取る。麻痺は残っているが、それでも余力はある。つまりはジークの一撃はセイリオスにとっての余力で止められる程度のものであったということだ。


 だが、ジークにとってはそれも予想の範囲内。

 セイリオスなら防ぐ。そういう前提のもとに動いているジークは既に次の攻撃を放っている。

 それは渾身の一撃と同時に放つ、相手の不意を突いた攻撃でありグレアムから伝授された技の一つ。

 剣撃と共に間合いを詰めていたジークは短剣を抜き放ち、剣を叩き込むのと同時に至近距離茹故に生じる死角から短剣でセイリオスを突き刺そうとする。その動きはグレアムがベイオールを短剣で貫いた時と同じ攻撃。


 しかし、セイリオスとベイオールは違った。

 セイリオスは剣を受け止めたのと同時に脳裏をよぎった直感に従い、もう片方の手で自分の死角の位置を守っていたのだ。ジークが放った短剣はセイリオスの腕に突き刺さって止まり、致命傷には至らなかった。

 ――ならばと、ジークは短剣に電撃を流す。刃はセイリオスの体に入っており、内側から電撃を流そうとジークは試みる。


「死ね」


 ジークが殺意を込めた言葉を吐いた次の瞬間、セイリオスの体を電撃が走る。

 一瞬の間に体を駆け巡る雷。その衝撃によってセイリオスの体は痙攣し、電熱によって肉が焼け、セイリオスの体から煙が立ち昇る。


 勝ったか? 致命傷の筈だが――

 そうジークが思った直後、セイリオスの拳がジークの腹に叩き込まれた。

 衝撃で弾き飛ばされるジークは床を転がりながら、セイリオスを見るがセイリオスは何事もなかったかのように平然としている。


「痛いな」


 腕に刺さった短剣を抜きながらセイリオスは呟く。

 傷跡からは血が流れておらず、それどころか短剣を抜いた時には既に傷が無くなっていた。

 回復魔法を使ったのかとジークは考えるが、それはあり得ないとも思っていた。

 ジークはセイリオスが使う魔法を完全に把握しているわけではないが、魔法が得意だという話は聞いたことが無い。それなのに一瞬で傷を癒すような回復魔法を使うことなどできるとは思えない。


 何か仕掛けがある。その仕掛けを解き明かさなければ、セイリオスには勝てない。そう考えるジークの視線の先でセイリオスは体をほぐしていた。

 まるで準備運動のような動きのそれを終えたセイリオスは、改めてジークに対して戦いの構えを取る。


「もう少し本気を出しておこうか」


 そんな声が聞こえたと同時にジークの視界からセイリオスの姿が消えた。

 直後、ジークは顔面に衝撃を受けて膝をつく。何が起きたか訳が分からず、その場で上を見上げるとセイリオスがジークを見下ろしていた。


 咄嗟にジークは剣を振るうが、それをセイリオスは前腕で受け止めるような構えを取る。

 いくらセイリオスでも生身で剣を受け止めるのは出来ないはずだとジークは思う。今までに防がれていた時も全て刃を指で掴まれて止められていただけであり、腕で直接ガードされたことは無い。

 もしかしたら攻撃が届くのでは? そんな淡い期待を抱いたジークに返ってきたのは無情な金属の衝突音。セイリオスの腕に叩き込まれたジークの剣は甲高い音を立てるだけで、その体に刃が届くことは無かった。


「少し本気だと言ったろう? 多少の武装はするさ」


 剣を受けたことで切り裂かれた袖から籠手が覗く。

 いつのまにかセイリオスの前腕は鎧に覆われていた。服に隠されているので目立たないが、それでもついさっきまではそれを身に着けていなかったはずだとジークは疑問を抱くが、考えていられる余裕はそこまでであった。

 膝をついたジークの顔をセイリオスは蹴り飛ばす。胴体とは辛うじて繋がっているが、衝撃までは殺しきれずにジークは床を転がる。

 なんとか体勢を――そう思って立ち上がったジークに対してセイリオスの拳が再び叩き込まれた。胴体を狙って放たれたセイリオスの拳がジークの脇腹を抉り取る。


「ダウンしても良いんだぞ? ただし、倒れたら死ぬがな」


 必死で立つジークの顔面をセイリオスの拳が捉える。緩い握りで手首のスナップを効かせた手だけで打つパンチ。それが数発、的確に入り、ジークに思考させる暇を与えない。

 重い一撃ではないが、食らったジークは判断が遅れる。その遅れた隙を狙って鋭く重い、本命の一撃がジークの顎先を捉え、意識を刈り取る。


「もっとも、倒れなくても死ぬがな」


 意識を失い、倒れ伏すジークを踏みつけてセイリオスは勝利を確信して微笑を浮かべる。

 あとはこのまま頭を踏み潰すだけ、それで終わる。そう思った時だった――


「セイリオスっ!」


 放置していたライレーリアの声が聞こえて、セイリオスは声のした方を見ると、そこには銃を構えたライレーリアが立っていた。


 どういうつもりだ?

 セイリオスがそう訊ねようとした瞬間、ライレーリアの銃が火を噴いた。

 放たれた弾丸は真っ直ぐセイリオスに向かうが、飛んできた銃弾をセイリオスは平然と籠手で防ぐ。


「どういうつもりだ?」


 僕を殺すつもりなのかとセイリオスはライレーリアに訊ねながら近づく。

 怯えた様子のライレーリアは銃に弾を込めようとするが、間に合わずセイリオスに接近を許す。


「逃げずに残っていたことは褒めても良いが、僕の邪魔をするのはいただけないな」


 セイリオスはライレーリアの首を掴む。


「せっかく楽しくっていたのに、水を差すようなことをしてさ。わざわざ僕の不興を買うような真似をして一体何が望みなんだ? さっさと殺されたいっていう自殺志願か何かなのか?」


 セイリオスはへし折らんばかりに力を込める。

 息が止まり、首の骨が軋む。そんな中でライレーリアはセイリオスを睨みつけ、声を振り絞り、自分の望みをセイリオスへと伝える。


「私の望みは貴方の死だけ――」


 そう告げた直後、ライレーリアの視界の中でセイリオスの胸から剣が生えた。

 呆然と自分の胸を見下ろすセイリオス。胸から剣が生えているのは間違いなく、それを確認した後でセイリオスは首を回して後ろを見る。

 すると、そこにいたのはジークでありジークはセイリオスの背中に剣を突き立てていた。

 ライレーリアの一瞬の時間稼ぎ、その間に意識を取り戻したジークはセイリオスの隙を突き、背後から剣でその体を刺し貫いたのだった。


「――だから?」


 刃は心臓も貫いた。だから、セイリオスは死んでいてもおかしくはない。

 しかし、その言葉はセイリオスから発せられたもので、心臓を貫かれてなおセイリオスは何事もなかったかのように平然としていた。

 とりたてて騒ぐことでもないかのようにライレーリアを放り捨てたセイリオスはジークに向き直り、ジークを蹴り飛ばす。そして背中から胸を貫く剣を自力で引き抜いた。

 そして何事も無かった様子で、倒れたジークに近づくともう一度その体を踏みつける。


「本当に油断は良くない。少しだけ驚いたし、今ので自分の未熟を思い知ったよ。やはり実戦経験の差というものはあるものだな。こればかりは木偶を相手に拳を磨くだけでは得られない」


 セイリオスは踏みつける力を強める。もう油断はせずにこのまま殺すだけだ。余計な時間を使い過ぎたと遊遊んだことを僅かに後悔しつつ、セイリオスは更に力を込めるのだが、既に時間切れになっていたことをセイリオスは気付いていなかった。

 自分との戦いに集中させ、それを気づかせなかっただけでも、セイリオスには勝てずともジークの戦いには価値があり、それが証明される時が来た。


「何をしている!」


 唐突に玉座の間の入り口の扉が開き、部屋の中に声が響く。

 声の主はノール・イグニス。

 ジークとセイリオスの戦いが始まった時には既にアロルドの率いる王国軍は王城を目指して進軍していた。既に抵抗する力の大半を失っていた帝国軍を突破するのは容易く、王国軍が城内に入り込んでいてもおかしくはなく、そして、城内に侵入した者たちの一人のノールがこの場に辿り着くのも不思議ではない。


「貴様がセイリオスか?」


 ノールと共に玉座の間に雪崩れ込むのはヴェルマーの兵士達が十数人。

 その人数を見てセイリオスは舌打ちし、指を鳴らす。すると、玉座の間の物陰から獣心兵が姿を現し、ヴェルマー兵を阻み、セイリオスの身を守るように立ちふさがる。


「どうやら時間切れのようだ。後はキミらだけで楽しくやってくれ」


 そう言い残すとセイリオスはジークを踏みつけていた足をどけ、玉座へと一直線に走り出す。


「逃げるつもりだ! 止めろ!」


 誰かが叫び、セイリオスに銃を向けるがそれを獣心兵が邪魔をする。

 その間にセイリオスは玉座に辿り着くと、そこにあった仕掛けを起動。それによって玉座の下に隠してある王城脱出のための秘密通路への入り口が開く。

 それは以前にアドラ国王が王城から脱出するのに使った通路であった。セイリオスはそこに飛び込むと、獣心兵に邪魔されるノール達を尻目に悠々と玉座の間からの脱出を果たす。


 隠し通路の入り口は一度使ったら内側からしか開かないような構造になっており、追いかけるためには入り口を壊して突破する他ない。しかし、それをするにしてもヴェルマー兵は獣心兵を倒さなければならない。それに加えて入り口を壊すのも手間がかかる。

 それら全てを成し遂げてセイリオス追いかけたとしても、その頃には既にセイリオスは隠し通路を使って王都を脱出しているだろう。


 セイリオスは追跡の心配は無いだろうと、悠々と隠し通路を歩いていた。

 通路は非常に入り組んでおり、そう簡単には後を追えないようになっているし、出口なども無数に用意されている。追手が迷うような構造は、王族が脱出するための物なのだから当然である。

 セイリオスは秘密裏にこの隠し通路を調べ上げており、何処へ通じているのかも全て把握しているので迷う心配は無かった。


 追手が来ないだろうと確信しているセイリオスは逃亡の最中にありながら、今後のことについて思いを巡らせる余裕すらあった。

 皇女の命を奪うことには失敗した以上、帝国軍の暴走に期待することは難しい。

 あっさりと王国軍を通したことから、王政に反対する民主主義者たちは倒されたか何かされたことが想像できるのであてにはできない。

 地方の人々に反乱を起こさせるにしても、思ったよりも王国が疲弊していないので、反乱は鎮圧されるだろう。


「王国は無理だな」


 これ以上、王国で活動をするのは難しいとセイリオスは判断し、王国を捨てることをアッサリと決断する。

 最初から、王国が駄目だったら、別の国に行けば良いと割り切って行動していたのだから、判断が早いのも当然だった。


「次は何処へ行くか」


 帝国が第一候補だが、海を渡って東の果ての国に行くのも悪くない。

 新たな土地に思いを馳せるセイリオスだが、現実的な問題も忘れてはいない。旅立つ上で先立つ物は必要なので、それを回収に行かなければいけないことを思い出す。

 ライレーリアがいない間に王城の宝物庫から財宝を持ち出し、隠してあるのでまずはそれを回収してからだ。しかし、それだけでは当座の資金が足りないので、適当に誰かから盗まなければならないと、金策について思いを巡らせるセイリオス。

 だが、これからどうするにしても、ここから出るのが先であると思考を切り替える。


 何をするにしても、今後のことは後で考えれば良い。それだけの時間はあるとセイリオスは余裕を持っていた。まずは財宝の隠し場所に行って、それらを回収するだけだ。

 そう考え、セイリオスは隠し場所に最も近い出口へ向けて隠し通路を進む。追手は既にまいたという確信がある。後は出口から財宝の隠し場所に行くだけ、一安心というほど危機感を感じていたわけでもないが、それでも気は休まるというもの。


 通路の奥から僅かに出口の明かりが見えてきた。

 これでもう大丈夫。だが、そう安心しかけた所でセイリオスは足を止めざるを得ない事態に遭遇する。

 その原因は通路の奥から聞こえてきた声のせいで、その声がセイリオスに呼びかけた――


「よう、お出かけか?」


 通路の外の明かりで逆光になっていて、呼び掛けてきた男の顔は咄嗟には把握できない。だが、その人影は確かに通路の出口に陣取っており、セイリオスの行く手を遮っていることだけは確かだった。


「何者だ?」


 セイリオスが問うが、人影は何も答えない。

 だが、答えずとも人影がセイリオスに近づくにつれて、その姿は露わになっていく。

 そして目を凝らさずとも、その姿をハッキリと認識できるようになった瞬間、セイリオスは驚愕することになる。


「弟の顔も忘れたのかよ、兄上セイリオス


 脱出のための隠し通路、その出口に待ち構えていたのは紛れもなくアロルド・アークス。

 セイリオスにとって最も厄介な存在がセイリオスの道を阻んでいたのだった。






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