騒動顛末
今後の予定について活動報告を書きました。
空は雲一つない快晴。田舎だからなのか、空が綺麗に見えるね。いやぁ、気分が良いね。
今の俺は馬に乗ってバッカラパッカラやりながら、ヴィンラント子爵領から王都へ向かう道を進んでいます。ヴィンラント子爵領では、もう充分に仕事をしたし、宣伝も終えたらしく、エリアナさんが、ここは引き上げて王都に戻ると言ったことで、こうやって帰り道を進んでいるわけです。
俺が関知することではないので、良くは知らないけれど、ヴィンラント子爵領での冒険者の活動は無事成功したようだ。俺の方は、グレアムさんと手合わせした結果、とんでもないことになったが。
グレアムさんと手合わせをして勝った俺だけど、傷が深かったのか、ぶっ倒れたらしい。全く記憶にないんだけどね。というか勝ったか負けたかも曖昧なんで、勝ったとは言えないかも。
で、放っておいたら死にそうだったみたいだけど、俺とグレアムさんが戦っている所に戻ったガキどもが、俺を助けたとか。俺の持っていた回復薬を訳も分からず使った結果、一命を取りとめたようだ。勝手に人の物を使うとか、どういう教育してんだろうな? しかも、それでも、俺は死にかけだったようで、どうしようもなかったようだ。
まぁ、そういう状況でも今、生きてるのは、探知一号が頑張って俺を見つけてくれたからだとか。あの日、俺がいなくなったことに気づいた探知一号は俺を探し回り、その結果、時間はかかったものの、良いタイミングで、ぶっ倒れている俺を見つけたという。
その後、探知一号は急いでカタリナを連れてきて、カタリナが回復魔法で俺を治療してくれた。そのおかげで、俺は事なきを得て、今は元気で馬に乗れているというわけだ。うんうん、探知一号は良い奴だな、何か褒美でも用意しなきゃな、あとカタリナにも何かやろう。助けて貰ったわけだし、それに対しての感謝は命をかけてでもしておかなきゃならないね。
ああ、そういえば。どうでも良いことだけど。ガキと、その家族を俺が引き取ることになりました。
ガキどもの親が、なんでだか良く分からないけど、あの店の地下に捕まっていたとかなんとか。話しは良く分からなかったけど、王国の南部では魔物襲撃に見せかけて、村を襲って人を攫ったりするのが流行ってるとか。怖いね。
で、ガキどもと、その家族もそういう感じで、攫われてきたとか。なんか奴隷みたいだねーって思って聞いてたら、ガチで奴隷にされかける寸前だったとか、マジかよ。奴隷とか不衛生そうだから、俺に近づかないで! と思ったけれど、なんとか我慢しました。
まぁ、それは置いといて、良く分からないけど、奴隷になりそうだった人達は服従の呪いをかけられていたとかで、呪いをかけた人の言うことに逆らえなかったとか言っていた。あまり興味は無いです。でも、命令に逆らえないということは、間違いなくエロいことをされていたに違いないから、心に傷を負っていそうなので可哀想だと思いました。
奴隷になりそうな人たちはあのままだったら、アドラ王国の南にあるイグニス帝国とかいう所へ売り飛ばされていたとかなんとか。アドラ王国だと違法な奴隷売買は足がつく可能性があるけれど、イグニス帝国は奴隷の扱いに関しては、かなり雑なんで、どんな事情がある奴隷も売れるとか。しかし、奴隷なんてばっちい感じのものを良く欲しがるよな。男も女も子供も、皆エロいことされてから、出荷されてそうだし、性病もってそうで不衛生っぽいのになぁ。
まぁ、なんか色々と話しを聞いたけれど、良く分からなかった。ただ、帰る村も仕事も無いらしいので、今後どうやって生きていけば良いのか分からず途方に暮れていたように見えたから、可哀想なので助けてやることにした。困ってる奴は助けるのが普通だしね。
で、しばらく養ってやるから付いて来いって感じで、今は王都へ帰る旅に同道させているわけだ。今後、どうするかは考えてないけれど、しばらく養ったら自分で何とかするだろうし、放っておいても良いだろう。俺が考えても良い考えは出ないしな。
そういえば、俺がガキどもと、その親を養うとか言ったら、エリアナさんは困った顔をしていて、カタリナは『流石です』とか言っていたが、なんなんだろうね。良く分かりません。
まぁ、そういう色々な事情があった結果、ガキどもとその親を俺が引き取ることになったわけです。
ああ、あと、もう一人、俺に付いてくることなった人がいます。
「いやぁ、空が青い。気分が良い。幸せだなぁ」
グレアムさんがなんだか、楽しそうにしてます。なんで、グレアムさんがいるかと言えば、まぁ想像はつくと思います。……そうです。俺に付いてくることになったのは、グレアムさんです。
手合わせをした結果、ぶっ殺したかと思ったのですが、グレアムさんも俺と同じように、ガキどもに助けられ、カタリナに治療された結果、一命を取りとめました。内蔵こぼれてたような気がするけれど、気のせいでしょう。それだったら、死んでますしね。
グレアムさんは傷が治ると、なんだかサッパリとした様子だった。俺を斬ろうという気配は無くなっていて、不思議だったが、無くなって困るようなものでもないので、別に気にしない。
あと、なんか色々と謝られたが、謝られる理由が分からなかった。手合わせをしただけなのに、何故謝られる必要があるのか、俺にはサッパリだ。グレアムさんもサッパリとした様子だったから、ダブルサッパリで、全部洗い流しちゃえる系だと思う。意味は分からないが。どうでも良いことだろう。
で、なんでグレアムさんが付いてきたというと、ヴィンラント家を出奔したからだとか。出奔の意味は分からないので、俺はスルーした。たぶん家出か何かだと思うが良く分からんね。
で、その出奔とやらをしたのは良いが、グレアムさんは、出来ることが人を斬ったり、魔物を殺したりすることと、軍を率いることぐらいというダメ人間であり、そんな人間が社会に適応できるわけはないと思った俺は、グレアムさんを哀れと思い、冒険者に勧誘したわけだ。
まぁ、『一度、殺ったら友達で、毎日、殺ったら兄弟だ。』という言葉もあるような気がするので、そうなると俺とグレアムさんは友達だから、助けてあげることも当然だしな。
そういうわけで、グレアムさんも冒険者になってくれるという感じに話は進み、俺に付いてくることになったわけです。ちょっとグレアムさんの様子が以前と違って、俺に対してすり寄ってくる感じなのが怖いけど、まぁ大丈夫だよね。
ああ、あとグレアムさんが俺に付いてくるという話しが、自由騎士団の連中の耳に入ったら、自由騎士団の三分の一が冒険者になりたいとかで、俺に付いてくることなった。別に困らないので勝手にさせたら、なんか、その件でグレアムさんの弟がキレたそうだ。色々と言ってきそうだったが、俺は訳が分からないので、無視して王都へ帰ることにした。
そういう感じで、俺に付いてくる奴が増えた結果、俺と一緒に旅をする人数がヴィンラント子爵領に入った時の二倍以上になった。なんだろう、どうなってるんだろうか、これ?
『村を興せそうな人数になってきましたね』
とかエリアナさんが言っていたが、それは勘弁。俺のような都会っ子は村とかいう田舎っぽいのは嫌なの。そういうのだったら、アレね。一応エリアナさんに言っておきました。
『俺の目標は王都だがな』
村より王都っていう都会の方が良いよ。作るならそういうのを狙って頑張っていきましょう。ってつもりで言ったんですがね。エリアナさん目を丸くしていました。の、望みは高い方が良いと思ったんだけど、駄目だったかな? うーん恥ずかしい。
まぁ、そういう恥ずかしい経験もありつつ、俺はいつの間にか急に増えた道連れを伴いつつ、王都への帰り道をノンビリと進んでいきます。
さて、王都に帰ったら何をしようかな。




