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レブナント

 

「それで、収穫はあったのか?」


 寝床を確保した俺は酒場で寛ぎつつ、村の探索を終えて戻ってきた冒険者連中に尋ねた。すると何人かが俺の前にあるに袋を置いて、中身を見せる。中に入っていたのは多少の貴金属と魔石だった。


「金目の物は、まぁそれなりに」

「殺した奴らをバラしたら魔石が出たんで持ってきました」


 金目の物は田舎の村っぽいから無くても仕方ないね。それと、魔石が出るってことは本格的に魔物ってことなのかな。じゃあ、これからも気にせずに殺していきましょう。


「何匹かで試したんすけど、胴体にある魔石か頭を潰せば、確実に仕留められるみたいっすね。逆にそれ以外の場所はいくら潰しても、仕留めきれないっす」

「銃弾に対する抵抗力は普通って感じです。頭とか胴体の魔石に当たれば一発ですけど、痛覚がないのか、手足や胴体に当たっても動きが止まらないので、面倒くさいですね」


 続々と対処方法が判明していきますね。いやぁ、優秀な奴らで助かるよ。こういう連中を手下にしてる俺も凄いと思うんだけど、そこんところはどうなんでしょうかね。


「知能に関しては全くないわけではないようですが、賢いとも言えません。普通のアンデッドと違って攻撃性は低めであるようです。実際に目の前に立っても危害を加えてくる様子がない個体も発見しました」


 まぁ、だからと言って放っておくってのもね。なんだかんだ言ってもアンデッドなわけだし、危害を加える恐れが無くても、そういうのを近くに置いておくのは嫌だね。


「攻撃してくる条件みたいなのはあるのかい?」


 グレアムさんが冒険者に尋ねます。そういえば俺も攻撃されそうになったね。未遂だったけど、正当防衛で頭を吹っ飛ばしてやりましたけど、その時のことを言った方が良いかな。


「仲間の首を投げ込んでも反応をしなかったが、調理場に入ったら敵意を向けてきたな。もっとも、それも生前の行動を真似ただけの可能性もあるがな」

「こちらも似たような感じです。民家に押し入ったら家主らしき輩が詰め寄ってきたので始末しました。それと衛兵の姿をした奴らは、こちらの姿を確認するなり、戦闘態勢を取りますね。ただし、周囲の奴は無反応です」


 自分のやるべきことだけしかしない感じ? そういうの良くないよね。もっと周りを見て、それに合わせた行動をしないと能無しって言われるよ? まぁ、実際に脳味噌が無いか働いてないから仕方ないのかな。


「縄張りみたいな物があって、それを守っているとか?」

「縄張りじゃなく、敵対行動を起こす条件があるんじゃないか?」

「それも個体ごとに違っているだろ。衛兵なんかの格好をしてた奴は攻撃的だけど、普通の村人とかの格好をしてる奴らは、よっぽどのことをしないと敵対行動を取らないぜ」


 なんか色々と話し合ってるけど、ちょっと良く分かんなくなってきましたね。話し合いは勝手にやらせておくとして、俺は自分なりに整理しておきましょう。えーと、何だっけ?


 ・見た目は普通の人間で触った感じも普通。ただし体温は低い。

 ・胴体にある魔石を壊す。もしくは頭を潰すと殺せる。

 ・頭は良くないけど、普通のアンデッドと比べると攻撃性は低め

 ・条件次第でこっちに攻撃をしかけてくる。条件は個体ごとに違いそう。


 まぁ、こんくらい? たいしたことは分からんけど、俺を筆頭に頭を使うことが得意な連中ではないから、こんくらいでも充分でしょう。むしろ頑張った方だと思う。しかし、重要なことを忘れているぞ。


「まずは呼び名を決めるべきではないか?」


 俺はゾンビみたいな奴らとかなんとか言ってるし、他のみんなも好き勝手な呼び方してるのは良くないと思うんだよね。時々、なんのことを言っているか分からなくなりそうだから、俺を助ける意味でもちょっと決めてくれると助かるんですがね。


「いつまでも、奴らとかゾンビもどきなどと呼んでいたら締まらんだろう」


 俺の言葉に冒険者連中が納得した感じで頷く。どうやら、この連中の中では俺が一番賢いのかもしれんぞ。まぁ、賢いのと名前を付けるのが上手いってのは関連しない事柄なので、俺は考えません。考えませんけれど、一応気づいたことがあるんで注文をしておきますね。


「なるべく格好のつく名前にした方が良いな。おそらく付けた名前は歴史の本に載るだろうからな」


 ○○年にアロルドとその手下が××が命名した△△という魔物を殺しまくって、旧ヴェルマー王国領を征服したとか、そういう感じで本に載るんじゃないかと思ったので、そういうことを言っておきました。その途端、何か言おうと思っていた表情の冒険者連中が黙りました。

 別に歴史の本に名前が載るくらいどうってことないと思うんだけどね。俺なんか、既にいっぱい載る予定だぜ? だからって何とも思わないし、気にすることないから手を挙げてカッコイイ名前を付けてやれよ――おっと、ヒルダさんが手を挙げてましたね。俺はヒルダさんの発言を許可してあげました。


「レブナントという名前はどうだろう?」

「意味とその名前にする理由は?」

「子供の頃に読んだ本に書いてあったアンデッドだ。名前の意味は忘れたけれども、なんだか良く分からないが凄いアンデッドだった気がする」


 そうか、なんだか良く分からないが凄いアンデッドか。全く要領を得ないし、何が凄いんだが分からないんだが、凄いアンデッドなのか。じゃあ、俺的には決定。良く分からないが、凄いんなら良いんじゃない? 


「他の案がある者はいるか?」


 誰も何も言いません。このままだと、○○年にヒルダ・ソフィエルが命名したレブナントという魔物をアロルド・アークスとその手下が皆殺しにして、旧ヴェルマー王国領を征服したという感じなるのかな。まぁ、それでも俺は困らんから別に良いけど。


「では、今後は旧ヴェルマー王国領に生息するアンデッドをレブナントと呼称する。皆、今後はその名で呼ぶように」


 はい、決まりました。これで俺も何のことを言っているのか分からないということが無くなりますね。ところで、レブナントってどういう意味なんでしょうかね? 帰ってたら、エリアナさんに聞いてみるか。


「他に報告することがある者はいるか」


 レブナントって名前が決まっただけで、もう充分な気がするんだよね。俺としては、もう終わりにして休憩をしたいんだけど――って、挙手してる人がいますよ。どうぞ勝手に喋ってくださいって感じで促します。


「一応、報告しておこうと思うんですけど、奴ら農作業をしてました」

「俺達でも食えるものか?」

「いえ、農作業って言っても土を耕してるくらいでしたんで、何も収穫できてないんじゃないですかね? そもそも、あの頭の出来で農業は無理でしょう。作物の病気とか天候に応じた対策だって立てられそうにないでしょうしね。ただ、土を耕して種をまいて、放っておけばある程度は育つって、作物ならもしかしたらって感じです」


 なるほど、良く分からん。しかし、こいつ元は農民かな? 微妙に詳しい感じだぞ。まぁ、出自は問わないのが冒険者というものなので気にしない方向性で行きましょう。

 そんなことより、重要なのは食料だよな。適当に村を襲って食料を強奪するってことができれば楽なんだけど、それは無理くさいかもね。そうなると、適当な所で帰らないといけないかな。


「食料の残りは?」

「一週間は大丈夫かな。途中で魔物が出てくれれば、もう少し持つだろうけどねぇ。ただ、帰りの分もあるからねぇ」


 グレアムさんが答えてくれたけど、ちょっと頼りない量だね。まぁ、偵察なわけだし、そこまで無理して先に進むこともないでしょう。もうちょっとだけ進んだら、エリアナさんたちの所に帰りましょう。


「もう一つ村か街を見つけたら帰るとしよう」

「了解。それで、ここの村はどうするんだい?」


 どうするって何が? また来ることになるかもしんないんだし、綺麗にして残しておこうよ。そのうち、別荘を置くことになるかもしんないし、ここに家を建てるかもしれないんだからさ。


「そうだな……後のことを考えて掃除しておけ」


 俺がそう言うと、グレアムさんと冒険者連中が立ち上がり、酒場から出ていこうとする。なんか、俺も行かないといけない感じなんでしょうか? 実は俺って箱入り息子だからお掃除とかしたことないんだよね。いつもメイドさんがやってくれてたし、今もやってくれるしさ。


「アロルド君はヒルダとゆっくりしてて良いよ。まぁ、すぐ終わるだろうから二人っきりでも休憩以外のことはしないでくれると有難いね」


 ああ、そうですか。そりゃあ良かった。俺はのんびりしてれば良いのね。そういうのは俺の得意分野なんで余裕ですよって。しかし、休憩以外のことって何なんだろうか? 俺とヒルダさんと遊んでりゃいいのか?


「馬鹿を言うな。そういうことをするのならば時と場所を整えるさ、俺でもな」

「なんだ、ヤる気はあんのね。そりゃあ良かった」


 何を言ってやがるんだコイツはよぉ。いくら俺でも、みんながお掃除してる中、遊んでたりはしませんよ。具体的に何をして遊べばいいかもわかんねぇけど、ヒルダさんが俺と遊びたいって言うなら、俺は嫌なんて言いませんよ。……ところで、ヒルダさんはどうして顔を赤くしてるんでしょうね。


「いやぁ、全く手を出さないから心配になっていたけど、ヤる気はあるのか、良かった良かった。ヒルダちゃんも良かったねぇ」

「グレアム殿っ!」


 ヒルダさんに怒鳴られてグレアムさんが逃げるように酒場から出て行った。その直後に外から銃声が聞こえ始めたけれど、掃除ってそっちの掃除かぁ。普通の掃除と思ってたんだけど、予想が外れたね。

 まぁ、それは良いや。それよりも、今の問題はヒルダさんと何を話すかって方なんだよな。


「あまり二人きりになる機会がないからな」

「ああ、そうだな」


 それで会話は終わりです。会話にもなってないけど、まぁ仕方ない。だって話すことがないんだもん。

 学園にいたころから顔は何となく知ってたけど関りがなかったからなぁ。しかし、それにしたってヒルダさんは俯いてて話しをする感じじゃないのが困るんだけど、俺はどうしたらいいんでしょうかね。




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