新たな目的
やる気が戻ったぞ
全く調べてないから最近のなろうの流行りが分からんぞ
つーか、それ以前の問題で自分の作品の登場人物の名前が思い出せないぞ
たまに思うのだけれど時間の進みって一定じゃないと思うんだ。なんか良く分からんけどスゲー時間が経っている気がするわけだしさ。
「私と貴方たちにどういう関係があるのかしら?」
楽しいことは一瞬だけど退屈なことはスゲー長く感じるじゃない。そういうのって実際に時間が遅くなっていると思うんだ。それを観測する術がないだけで、実際に時間が遅くなっていると思うのね。
「それを今からお話ししましょう」
昨日のメシはなんだったかしらって思い出そうとしても思い出せないんだよね。こういうのって憶えてなくても困らないし、さほど印象に残らないからだろうね。
でも、なんとなく思い出したぞ。
確か、そこら辺をうろついていたゴブリンの群れをぶち殺して、それを鍋で煮てたような気がする。俺は食わんかったけどな。だって、馬車で毎日物資が届くんだもん。わざわざ、ゴブリンなんて食わねーよ。
「先ほど、ヴェルマー王国の王が何らかの儀式を行ったという所まで話したと思いますが、話はそこから繋がっています」
俺に付いてきてる冒険者全員分の食料はあるけども、肉体労働してるから、ちょっと物足りないなぁって思う時もあるらしくて、おやつ感覚でゴブリンを食ってるとかなんとからしいのよね。ついで他の魔物も美味しくいただいてるとかなんとか。
そのせいかは分からんけど、この辺りの魔物が人間にビビるようになっちゃったんだよな。俺もまぁ、なんか調理してみたら美味しいドラゴンがいたんで調子に乗って狩ったし、冒険者連中にも狩りを推奨してたら、最近見なくなっちまったし、困ったもんだぜ。
「当時の王は狂気に侵されていたのです。後を継ぐはずの王子が亡くなってしまったため、仕方ないこととも思いますが、その結果として、王は王家を存続させるためにありとあらゆる邪法に手を染めておりました」
昔の人がどうしたこうしたって話を聞いていても仕方ないよね。俺たちは現在に生きているわけなので、あんまり興味がありません。
「権力者が怪しげな呪いに傾倒することはよくあることですが、しかしながら、王の傾倒ぶりは常軌を逸しており、家臣の多くが危機感を覚えるほどでした。そして私もそのうちの一人です」
「……話が読めてきたわ」
エリアナさんが頷いているけど、俺は全く読めませんね。だって何か書いてある物とかどこにもねーし、エリアナさんは何を読んでいるんですかね。
「危ないと思った貴方たちは私のご先祖様をを連れて、当時の王の元から逃げ出したとか、そんな所かしら? 山を越えた先――今のアドラ王国のある場所で私のご先祖様を御輿にして反乱でも起こそうとしたの?」
うーん、何を言っているかは分からないが、反乱とか聞こえたから、こいつらは悪い奴らなのかね。じゃあ、話を聞いてても仕方ねぇし、ぶっ殺すか。――つっても、すでに死体みたいだけど、こういうやつらに対しても、ぶっ殺すというのは適応されるのだろうか?
「滅相もございません。私に反逆の意思などはありませんでした。私はただ、王女殿下にはしばらくの間、安全な場所で過ごしていただきたく、護衛にイスターシャ家の者をつけて送りだしたのです」
なんか、俺の名字が出てきたような気がするけど、馴れ馴れしく呼ばれる筋合いは無いよな。とりあえず、反逆を企てた悪い奴で、俺に馴れ馴れしいクソ野郎だってのは分かったぞ。
「我々は王女殿下を山の途中まで護衛した後、王に事情を説明するために引き返しました。しかし、そこで――」
「当時の王が行った儀式のせいで貴方たちはアンデッドになってしまったということね?」
エリアナさんの問いにモーディウスさんが頷く。できれば、言葉で話し合ってくれた方が助かるんですがね。俺の理解力の関係でさ。
まぁ、とりあえず分かったのはモーディウスさんが反逆しそうな感じだったけど、反逆はしませんよって感じで、エリアナさんのご先祖のパパさんに『娘さんを誘拐しました。でも、事情があったんです、許してね』って言いに行こうって感じだったのかな。
うーん……うーん……極悪人じゃねぇか!? ぶっ殺す!
「ええ、その通りです。これが王の実験の結果ということなのでしょう。確かに今の我々は永遠の命と言えますから、一応は成功なのでしょう。ですが――」
「知性を維持できる個体は少ないようね」
どうやら、極悪人の上にアンデッドだそうです。こいつは許せねぇな。何が許せねぇかは分からんけどさ。だって、別に俺に迷惑をかけてるわけじゃないし、そうすると俺が怒る理由は無いわけで、そんでもってそうなると、俺が許すとか許さないとかを判断するべきことじゃないわけで――
「その通りです。姿こそ殆ど変わりませんが、多くの個体は知性の劣化が顕著でして、命令に従うのと生前に慣れ親しんだ行動を繰り返すことくらいしか出来ません」
「そんな奴らは役に立たないな」
俺が言うとモーディウスさんは頷く。話の流れは分からないけど、聞こえてきた話に対して意見を言ったら同意してもらえたぞ、やったね。
「もしかして、ヴェルマー王国の人達は全員が貴方たちみたいになってしまったのかしら?」
「それは分かりません。王の目的を考えれば、永遠の王国を目指していたのですから、恐らくは……」
よくは分からんけど、ノー知性の奴らがいっぱいのようですね。そんな奴らが国とかどうなるんでしょうか。あんまり上手くいかないんじゃないかな?
俺も知性に自信がない方だから、仮に俺と同じような頭の出来の奴らだけで、国をなんとかできるとか思えないし、きっと滅んでるよね。
「今の王国の様子がどうなっているかは分からないの?」
「調べようとは思うのですが、我々も目覚めたばかりでして。それに加えて、どうやらこの土地に我々は縛り付けられているらしく、この山脈の外へ出ることは不可能かと」
そりゃ大変だね。こんな場所にずっといなきゃいけないとか、俺だったら発狂して死んじまうよ。でもまぁ、この人らは死んでるようなもんだから、そういう心配をする必要がないのか。
「それじゃあ、山脈を抜けた先は何があるかは分からないということね」
「お恥ずかしい話ですが、その通りです」
モーディウスさんは申し訳なさそうな様子でエリアナさんに頭を下げる。ついでに言っとくと、俺の方をほとんど見やがらねぇぞ、このジジィ。超失礼なんですけど。謝ってよ!俺にも!
――まぁ、何を謝ることがあるのか分からんから、謝られても困るんだけどさ。そもそも、あんまり謝罪を要求する態度は良くないと思うの、俺はね。だから俺に謝らなくてもいいのだ。
「……一つお願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「いいだろう。請け負った」
俺は人の頼みは断らないようにしてるので、当然だけど即答。とりあえずOKを出して駄目そうだったら、やっぱり無理でしたって言えばいいわけだし、人の頼みを聞くのを渋る奴の神経が分からんね。
「アロルド君」
エリアナさんが俺を睨んでいるような気がするけれど気のせいだね。それと、モーディウスさんがどうして俺が答えるんだって顔をしているけれど、なんでそんな顔をしているんだろうね? 俺は置物じゃないんだから、声ぐらい出すっての。
「失礼ですが、そちらの青年はエリアナ様の家臣でしょうか。できれば家名の方も教えていただけると助かるのですが」
「アロルド・アークス。私の将来の夫よ」
エリアナさんが答えてくれました。そういや婚約をしていましたね。忘れていたわけではないけど、俺の日々の生活において、そんなに重要なことではないので記憶していませんでした。ぶっちゃけ、記憶してなくても困らんしね、何かあっても俺の周りの人間が教えてくれるわけだし、俺が全部を理解しておく必要はないわけだしさ。
「アークス……あぁ、アークス家の……。そうですか……失礼を承知で伺いますが。アロルド殿はイスターシャ家に婿に入るのですかな?」
「いいえ。私が嫁いで、エリアナ・アークスになるの」
エリアナさんが誇らしげに答えた。その瞬間、モーディウスさんの体から殺気が溢れ出し、怒りの声を俺に向けて放つ。
「アークス家がヴェルマー王家の末裔を妻に迎える? 一体全体、どういう手を使ったのか、詳しく説明いただきたいものですなぁ、アロルド殿?」
どういうわけかモーディウスさんは戦闘態勢です。俺をヤバい目で睨んできます。まぁ、だからといって別に怖いわけでもないし、とりあえず質問をされたの答えましょう。
「さぁな。そちらの想像に任せる」
顔が好きですとか、性格が好きですとか、そういう下地があって、エリアナさん良いなぁって思ってたら、いつのまにか結婚の流れになったって察してくれると助かるぜ。
「ほう、それはそれは。少し表に出て詳しく話を聞きたいものですなぁ」
マジか。しょうがねぁなぁ。じゃあ、ちょっと外に出て、俺とエリアナさんの出会いから話すか。つーか、よくよく考えると、外に出る必要とか無くねぇか。さすがはこんな山の中に何百年も住んでるっぽい爺さんだ。常識的な考えから外れてらっしゃるぜ。
「ちょっと、落ち着いてもらえるかしら。二人とも」
ほらな、やっぱり外に出るは駄目じゃねぇか。俺までエリアナさんに怒られちゃったじゃん。
俺のせいって言いたいのか、モーディウスさんは俺を睨みながらスゲー勢いで舌打ちをしてくるんですけど。
「アロルド君のことはひとまず置いといて、とりあえず私たちに何を頼みたいのか教えてちょうだい」
「ええ、とりあえずアークス家の問題は置いておきましょう。では、単刀直入に――貴方がたにお願いしたいのは現在のヴェルマー王国の調査です」
自分たちでやればぁ?――って思ったけど、この人らは重度の引きこもり体質で、この場所から動けないみたいだったのを思い出しました。思い出せた俺って凄いね。
「調査だけでいいの?」
「いえ、調査の結果、居住可能な土地であると判明したならば、エリアナ様。貴女にヴェルマー王国領の全てを受け継いでもらいたいのです」
へぇ、なんか良く分かんないけど、エリアナさんも領地持ちか。そういえば俺って貴族だけど、領地とかあったっけ? なんか常に借家住まいのような気も……いや、王都の屋敷は持ち家か。
「そして、ヴェルマー王家の正当なる血筋を持つ貴女にヴェルマー王家の再興をお願いしたいのです」
スゲーな。良く分からんけど、エリアナさんが女王様になるのか。こいつはもう養ってもらうしかないな。なんかエリアナさんが、俺に対して助けを求めるような眼で見つめてくるけど、とりあえず美人ということしか分からん。まぁ、とりあえずアレだ。
「任せておけ。俺が何とかしてやろう」
だから、なんでお前が答えるんだって感じでモーディウスさんが睨んでるけど。心配すんなって、良く分からんけど、まぁ大丈夫だ。とりあえず、エリアナさんが相続するべき土地があって、そこを征服すりゃ良いって感じなんだろ? 楽勝だぜ!




