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見知らぬ輩

 武器を持った奴らの気配がドアの外にある。

 戦も終わって穏やかになった、この時期にそれは無いんじゃないかなって察しの悪い俺でも分かるよ。なんか悪いこと考えてそうだよね。

 まぁ決めつけは良くないんで、一応でも話は聞くけどさ。


「来客のようだな」


 入り口のドアがノックされて、皇子がそちらを気にしだす。

 こういう時、他に人がいたら話聞いて来いって言えるんだけど、今はいないんで俺が聞きに行きますよ。

 そんなわけで、俺はテーブルに立てかけておいた杖というかステッキを手に取って立ちあがる。痛みは無いけれども、時々引き攣ったような感覚になるので、杖があった方が安心という理由で使っている。


 俺が立ちあがってもドアは未だにノックされているのが鬱陶しい。

 一回で聞こえてるからやめて欲しいんだけど。まぁ、一回二回の時は無視することも多いけどさ。だからって何回も叩くとかやめろよな。


「何か用か?」


 面倒くさいけども仕方ないので俺はドアを開けた。

 開けた先にいたのは銃を持ち完全装備の兵士が十人ほど。よくもまぁ、こんだけ雁首揃えてやって来たもんだね。


「ノール皇子殿下の御部屋までお送りするために参りました。御入室の許可を頂きたく存じ上げます」


 ああ、そういえば皇子も部屋に帰る時間だったっけ?

 まぁ、それはそれで考えるとして、ちょっとお前に関して気になることがあんだけど。


「そうか、では部屋に入って待っていてくれ」


 気になるから話を聞きたいんで部屋に招き入れることにした。


「失礼します」


 俺と話した奴がそう言って部屋に入る。後ろにいた奴らも同じように動き出そうとしているが、まぁ取り敢えずは一人だな。


 俺は一人が部屋に入ると同時に、そいつの脚に杖を引っかけて転ばせ、即座に部屋のドアを閉めて鍵をかける。見られたかどうかは知らんけど、急にドアを閉められても外の奴らはすぐに暴れ出すようなことはしなかった。


「何をなされるのですか!」


 転んだ奴が俺に問いを投げかけてきやがった。この時点で俺の手下じゃないってのが良く分かる。

 だって俺の手下は俺になら殴られたり殺されても仕方ないって学んでるのか、すごく従順だしさ。転ばされたら、転ばされたことを受け入れて、横になったまま黙ってると思うんだよ。


 それを考えるとコイツおかしくねぇか?


 なんで俺の手下じゃない奴が、俺の所の軍装を身につけて兵隊の真似事なんかしてるんだろうな。

 まぁ、考えても仕方ないんで、俺は倒れているそいつの頭に目がけて杖を思いっきり振り抜いた。怪しいから殺されても仕方ないね。疑われないような努力をしようぜ。


「間者か何かか?」


 目の前で人が死んだのにノール皇子は割と冷静です。まぁ、冷静なのは良い事よね。

 そんなことを考えていると、ドアの外にいる奴らの殺気が一気に膨れ上がったのを感じたので、俺はすぐに退避。脚の方は変な感じはするけども、動くこと自体は問題ないから、そんなに速度は落ちていないと思う。

 そういや、ノール皇子も危ないだろうけど、どうしてるんだろ。そう思って皇子の方を見ると、皇子も危なげなく物陰に隠れていた。


 直後に銃声が轟き、銃弾がドアを貫いて部屋の中を襲うけれども射線上には誰もいないので問題なし。


「私諸共ということは帝国の人間が助けに来た可能性は低いな」


 まぁ、そんなもんだろ。

 同じ国の人間だからって味方とは限らんよね。実際、俺なんかは王国の人間に何度も襲われてるしさ。同じ国の人間とくらい仲良くしたいもんだね。


 おっと、そんなことを考えている内に兵士の格好をした奴らが部屋の中に入ってきましたよっと。

 数は九人だけどどうしたもんかね。取り敢えず、俺一人で頑張るのもアレなんで皇子にも頑張ってもらいましょう。二人で協力した方が楽だと思うしさ。


 そういうわけで、俺は部屋に乗り込んできた奴らの前へと突っ込んでいく。だって、皇子は武器らしい物持ってないし、初っ端は俺が頑張らんとね。

 俺がいきなり突っ込んできて驚いたのか一瞬、乗り込んできた奴らの動きが鈍ったのも都合が良いかな。取り敢えず一番近くにいた奴の脚を杖で払っておこう。

 金属製の杖のせいなのかは良く分からんけども、俺が脚を払って奴の脚が一発でへし折れて床に倒れそうになったので、俺はその身体を支えつつ、そいつの首に腕を回しながら盾にする。


「待て、撃つな!」


 急いで銃を構えて撃とうするけど、仲間が大切なようで撃つのは躊躇ってるみたいね。まぁ、その方が俺は助かるけどさ。

 俺は盾にしている男の持っている銃と弾薬入れを貰い、それをノール皇子に投げ渡すと、即座に首に回している腕に力を込めてへし折る。

 体から力が抜けて崩れ落ちる男から腕を離すと同時に背中に蹴りを入れ、銃を構えていた奴らのど真ん中に蹴り入れてやる。

 反応が遅れたせいか、二三人が巻き込まれて倒れるが死んじゃいないだろうから、忘れんようにせんとな――ってなことを考えていると、銃声が響き、額を撃ちぬかれて男が一人倒れる。


「思った通り良い銃だな。しかし、慣れていないせいか狙いが甘くなるのが難点か」


 慣れていない割には良く当たるもんだね。まぁ、すぐに慣れると思うし、気にすることも無いと思うけどね。なにせ――


「練習するための的はいくらでもある」


 がノール皇子の方に向き直り、銃を構えだすけれども俺の事はどうすんでしょうかね。

 取り敢えず、距離を詰めてノール皇子の方に顔を向けた奴の頭を杖で殴る。頭蓋が砕けて脳味噌をまき散らして汚いことこの上ないけども我慢するしかないな。


 俺が接近したことで、今度は俺に慌てて銃を向けてくるけれども、俺に銃を向け、引き金を引き、そして弾が出るっていう一連の動作の合計より俺の方が遥かに速いから何もビビることは無いんだよな。

 俺は銃口が向けられると同時に銃身を握って銃口の方向を変えつつ、別方向から伸びている銃身を杖で叩き落とす。

 その直後に銃声が響くけれども、銃口は全く見当違いの方向を向いているので当然だけれども俺には当たらない。

 俺は銃身を握っている方の腹に蹴りを入れる。感触的には内臓を破裂させた感じがあるので殺したのは間違いないだろう。


 さて、これで四人だけれども王子の方はどんなもんでしょうかね。

 そう思って皇子の方をチラリと見ると、それと同時に銃声が鳴り響く。撃ったのは皇子ではないが当たったのも皇子ではない。皇子も俺と同じように敵を盾にしていたようで弾が当たったのは敵の男だった。


 皇子は盾にしていた男を退けると、銃弾の装填にまごつく男に詰め寄る。

 そして、手の内で銃を回して銃床が上になるように持ち変えると、それで男の脚を払い転ばせ、即座にその首を足で踏み抜きつつ、自身の銃に装填を済ませ倒れた男の頭に銃弾を叩き込んだ。

 別の男が銃を使うのを諦めたのか剣を抜いて斬りかかったが、皇子は再び銃を持ち変えて、斬りかかってきた男の手に銃床を叩きつける。その衝撃で剣を取り落とした男の頭に向かって皇子は銃床を男の頭目がけて振り抜いた。

 それによって崩れ落ちる男に対して、皇子は即座に銃弾を装填をし、トドメとして頭に銃弾を叩き込み始末をつける。

 うーん、わりかし容赦がないね。俺の方が情があると思うな。


 皇子の方を見ていると、俺の杖で銃身を叩かれた拍子に銃を取り落とした男が剣で斬りかかってきたので、その剣を杖で防ぐ。そしたら剣がナマクラだったのか、俺の杖に当たると剣は真ん中から折れてしまった。

 情がある俺は苦しまないように杖でそいつの頭を殴りつけ一撃で殺す。


 さて、あと一人残っていたとも思っていたけれども、そいつはどうしていますかね。

 って、ああうん、最初に俺が蹴っ飛ばした男の下敷きになっていて、動きが出遅れたみたい。で、ようやく動き出そうと思ったら仲間がほとんど一瞬でられてしまったせいで、ビビってしまったようだね。

 そういや、一番最初に部屋に入れて俺が頭に向かって杖を振り抜いた奴はどうしてるだろうかね。生きてる気配は無いから死んでるのは間違いないだろうし、放っておいても良いかな。

 そんで残った奴も仲良くあの世へどうぞが良いだろうね。生かしておいても面倒くさそうだし、人の事を殺しに来るような輩なんてチンピラゴロツキだろうし価値も無いだろ。ビビりすぎて小便洩らしてるみたいな所もマイナスポイントだしな。

 俺はビビッて腰を抜かしてる、そいつの顔面を全力で殴りつける。取り敢えずこれで終了だ。特に問題は無いだろ。


「知った顔か?」


 皇子が死体を見分しながら俺に尋ねてくる。

 悪いけど知らんのよね。なので、首を横に振っておきましょう。


「私も知らん顔だ。帝国の人間では無さそうだが、身に覚えもないのか?」


「生憎と覚えが無いな」


 普通に生きてりゃ人に嫌われることは誰にでもあると思うから、まぁ命狙われるのも良くあるって言えばあるんじゃない? まぁ、そんなに恨まれるようなことをした覚えとかないんだよな。恨んでくる奴とかは大概死んでるだろうし、生きてて俺を恨んでる奴らとかいるのかしら?


「そちらの王子に疎まれ刺客でも放たれたのかと思ったがな」


「そこまで狭量な王子でもないだろ」


 刺客とか出してくるような人だとは思えないんだよなぁウーゼル殿下は。

 そもそも、俺が疎まれる理由が分かんねぇよ。ウーゼル殿下が負けそうな時に助けてやったし、ウーゼル殿下じゃ無理そうだから、このノール皇子を捕えたんだしさ。


「なんにせよ。そちらの支配下にある城に潜入し、誰にも気づかれずにここまで辿り着いたのだから、それなりの伝手があるのだろう。警戒するにこしたことはないな」


 そうねぇ……。

 まぁ、それはこれから考えるとしてさ。ノール皇子はどうして俺の背後に回っているのかな? 気配で皇子が何をしようとしているかは分かるんで、一々口は出さないけどさ。

 ついでに疑問に思ったんだけど、銃に弾を装填してるのは何でかな。で、それを俺の頭に突きつけてるのは何故かしら?

 殺気が無いから別に怖くもなんともないし、殺そうって感じじゃないから俺も警戒する気はないんだけどさ。


 でもまぁ、これってどうしたら良いもんかね。何の問題も無く皇子は取り押さえられるだろうけど、さてどうしたもんだろうか、ちょっと困るぜ。



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