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不明の強さ

 オワリとかいう名前の異国人が放った弾丸が俺の頬をかすめる。


 お外はお外でなんだか色々とやっているんだろうが、こっちも大変だ。まぁ、大変かどうかはこれから分かるんだろうけどさ。


「アロルド・アークス、死ね!」


 死ねとか言うなよ。ぶっ殺すぞ。

 って思うと同時に殺気を感じて俺は地面を転がって放たれた銃弾を避ける。

 気合入れてりゃ銃弾は見えるし、銃を撃つ瞬間の殺気も感じ取れるから、避けるのには困らないんだけど――


「ちっ」


 思わず舌打ちが出る程度には厄介だ。

 向こうの使ってる拳銃は六発装填のリボルバーで連射が出来る代物な訳で、近づこうにも撃ちまくられたら、そうそう近づけないわけでどうにもならんね。なんだか分かんないけど、ズルして弾数無限みたいだしさ。

 まぁ、どうにもならんと言いながらも、なんとかするけどさ。


 一発二発なら受けても大丈夫という気持ちで俺は前に出る。

 オワリが撃ちながら後ろに下がるせいで距離は開き、七か八メートルほどだから全力で踏み込め一瞬だ。

 その間に一発か二発、状況次第で三発くらいは食らうかもしんないけど、こっちは鎧を着こんでるから大丈夫でしょう。露出してる顔を守っておけば尚更だね。というわけで、俺は全力で前に出ることにする。


 案の定、オワリが銃を撃ってくるので、剣を右手で持ち左腕の籠手を顔の前に置いて銃弾を防ぐ。躱そうと余計な動きをすれば、勢いが削がれて距離を詰め切れないので躱すことは考えない。躱せなくても俺の鎧は銃弾くらいは弾くことは実証済みなので、食らって死ぬことは無いから大丈夫。

 そう思って、俺は放たれた銃弾を食らいながら、オワリに向かって突進したのだが――


「いってぇっ!?」


 声が出てしまう程、予想外に痛くて驚いた。いや、冷静になってる場合じゃないくらい、ホント痛いんだけど何これ!

 でも、我慢して俺は足を止めずに俺はオワリに近づき、横薙ぎに剣を振る。けれども、予想外のことに僅かに勢いが弱まり、踏み込みが甘かったせいか、オワリを後ろに飛び退き俺の剣を避ける。そして、後ろに下がりながら、銃を連射すると後方の通路の曲がり角へと消えていった。


「いってぇ……」


 ちょっと追いかける気力がなくなるほど痛い。

 籠手に受けたわけだけれども、衝撃がもろに腕に伝わって骨にひびが入ったんじゃないかってくらいに痛い。俺はわりかし我慢強い方だと思うんだけど、なんでか我慢が出来ないほど痛かった。

 鎧の方もどういうわけか僅かにへこんでるし、どうなってんだかって感じだなぁ。前に鎧の性能を試すために銃弾食らったことはあるんだけど、そん時は衝撃も何も無かったんだけどな。

 オワリの銃が特別強力って話があんのかね。火薬使って弾を飛ばすのに、そんなに威力の差があるもんなんだろうか。いや、夢の中で、えーとアスラに戦わされた時に威力のある銃は見せられたから、威力の違いはあるんだろうけど、オワリの銃がそんなに威力の出るもんなのかしら?

 まぁ、考えたって分かんないから意味ないな。とりあえず、今度は予想より痛いってことを頭に入れて気合入れて我慢しよう。そうすりゃ多分耐えられるだろ。


 というわけで、逃げてったオワリを追おうと思うんだけど、えーとこの先の通路を真っ直ぐ行ったんだったよな。曲がったような気もするけど気のせいだろう。俺はオワリを追いかけて通路を真っ直ぐ走ることにした。


 ……で、数分後、どういうわけか見つかる気配が無い。

 あれぇ、さっきの通路を曲がったから追いかければ姿が見えると思ったんだけどなぁ。あの野郎、どこに行ったんだろうか?

 つーか、なんで俺は律儀にあの野郎を追いかけてるんだろう。アイツを放っておいてノール皇子の所に行けば良いじゃん。

 冴えた考えが思いついたので、とりあえず次の角を右に曲がろう。曲がった先から誰かが歩いてくる気配がするけど、誰だかは分かんないんで、とりあえず、ぶった斬ろう。味方だったら、そん時はそん時だ。

 そんな風に予め決めておいて俺は角を曲がった。すると――


「あ」


 オワリがいた。

 まぁ、オワリが居たとか居ないとか関係ないんだよね。俺は予定していた通りに剣を振る。

 反応してどうこうじゃなく、最初からこう動くと決めていた俺の動きの方が当然速いわけで、俺の剣は一瞬呆けた表情を浮かべながらも即座に行動に移ろうとしたオワリに向かう。

 でもまぁ、それで終わるような輩じゃないオワリはその場に倒れこんで、辛うじて俺の剣を躱し、仰向けに倒れた体勢のまま俺に向かって銃を連射してきた。

 放たれた銃弾の一発を剣で弾き、二発を鎧の胸当てで防ぎながら、俺は仰向けのオワリに近づき、蹴飛ばそうと脚を振り下ろした。

 だが、それが良くなかった。振り下ろした俺の足を仰向けのオワリは辛うじて受け止め、俺の脚を掴んだのだ、直後に嫌な予感がして俺は脚を掴んできたオワリにされるがまま転がされることにした。

 だって、余計な抵抗をすると脚を極められそうな気がしたんだもん。鎧着てるから、外からガチコンガチコンやられても大丈夫だけど、関節技とかはちょっとマズい気がしたから、下手な動きはしません。


 俺が床に転がるとオワリは地面を這ってうつぶせに倒れた俺の背後を取る。

 やりたいことは分かるけどアホだと思うね。こういうグラウンドの取っ組み合いは技術も大事だけど腕力でどうこうなる場合も多いわけだし。

 ――と、思ったら背後を取った密着状態で、俺の頭に銃が突きつけられた気配がして、俺は咄嗟に首を動かす。

 直後に銃声が俺の耳元で鳴り響き、右耳の先っぽが銃弾で削れて、物凄く痛い!


「どけ」


 俺は背中に密着したオワリを振りほどこうとするが、どういうわけか想像以上に力が強く簡単には振りほどけない。まぁ、簡単には無理でも、元々の体格差とか筋力の差があるから簡単ではないだけでさほどの問題も無く、俺の体から引き剥がせるんだけどさ。

 俺は背中に乗っかっているオワリの腹に肘を入れてから放り投げた。

 オワリは床に叩きつけられて一回、二回とバウンドするが三回目で受け身を取り、俺に対して銃を向け発砲してきたので、俺は飛んできた銃弾を剣で叩き落とす。

 叩き落としたは良いけど、今までにないくらい腕が痺れるのが良く分からないな。どうにも、銃弾に変な力がかかっているような。まぁ、現状ではそんなに困ってないから良いんだけど。

 問題は耳が削れて血が出てることくらいかな。


「追ってきたところを仕留めるつもりだったのだが、そう上手くいくものではないということか。逆にこちらが奇襲を受ける羽目になるとは思わなかったが」


 なんか言ってるけど、俺は無視して耳に回復魔法をかけておく。ちょっと右耳の形が変になったのと右側の音が聴こえ辛いのが気になるけど、たいした問題じゃないな。

 そういや頑張って追いかけていたのに、なんで鉢合わせしたんだろうか。向こうが逃げてたわけで、それが何で互いに探し合ってるって状況になったのか意味が分からんね。

 まぁ、とりあえず、それは置いておこう。考えるのは後にして、やることやらんとね。たぶん後で考えるってことはないだろうけどさ。

 ――で、オワリが何か言ってるけど、聴こえ辛いから無視して距離を詰めておく。ついでに、勢い任せで斬ってしまおう。


 一気に距離を詰めた俺に対して、オワリの視線は俺の剣に向かっている。

 剣が怖いから良く見てるんだろう。だったら、可哀想なんで剣は使わないで、使う振りを見せて蹴っ飛ばしてやろうじゃないか。

 剣に気を取られていたのかオワリは俺の蹴りを腹にマトモに食らい、大きく吹っ飛ぶ。だが、どうにも変だ。

 なんか手応えが無いんだよな。普段だったら背骨をへし折ったとか、内臓を破裂させたような感覚があるわけだけど、オワリの腹を全力で蹴っても、そんな手応えはなかった。

 そんなことを考えていると、オワリは倒れた姿勢で俺に向かって銃を撃ってくる。頭に当たるような軌道ではないから命の危険はないけども、当たると痛いので避けておく。


 俺が避けた一瞬、オワリから目を離すとオワリは起き上がり走り出す。

 追いかけっこはしたくないんだけどなぁって思ってると、オワリが向かう先は壁で避ける様子も無く、正面衝突しようしていた。

 何がしたいんだろうかって思ってると、オワリが壁にぶつかる瞬間、壁が回転扉の要領で開き、オワリがその奥に消えていった。


「面白い仕掛けがあるもんだ」


 こんな城には絶対住みたくないけどな。

 まぁ、俺が住みたいかは別にして、オワリが壁の裏に消えていった壁の方はというと完全に閉じてしまっている。これじゃあ、オワリは追えないね。

 まぁ、適当に探すか、オワリを放ってノール皇子をどうにかすりゃいいかな。


 しかし、よくよく考えてみると不思議なこともあるもんだなぁ。

 俺の肘打ちくらったり、蹴りをくらったりしても無事な奴とか久しぶりなんで、それに関しても結構な驚きだけど、それとは別にどうやって俺の攻撃に耐えられる体を造れたのかが不思議だよな。前に見た時はそんなに頑丈な体には見えなかったけど、こんな短期間にどうやって鍛えたんだか。

 鍛えてるとは別に何か変な力の補正がかかってるような気もするけど、そういう非現実的なことを考えても仕方ないよね。

 変な補正と言えばオワリの持ってる銃も何か変な補正が効いてんじゃないのってくらい考えたくなるけど、そういう考えはやっぱり生産性がないからやめよう。

 もっと現実的に帝国の凄い技術とか謎の異国人パワーとかそういうもんなんじゃないかと思うけど、どうだろうか。世界は広いし、そういうのもあるんじゃないかな。うん、こっちの方が現実的だぜ。


 もしくは、主君の為に頑張る俺スゲーし、自己犠牲的な行動してる俺って格好いいし、もっと格好いい自分になるために一生懸命頑張るぜって気持ちがオワリをパワーアップさせてるとか?

 誰かのためじゃなく、自分の為に頑張ると強くなるみたいなことを誰かが言っていたような気もするけど、誰が言っていたんだっけか。


 まぁ、そんなことを考えても仕方ないな。


 とりあえず、外の奴等も頑張ってるだろうし、さっさとオワリを見つけてぶった斬ろうっと。






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