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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第5章 ルータス王国奪回編

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第80話 双剣の将軍~おひとりでこちらに?~

「やはり、こちらが本命か……」




 アシュトン・マーティーンの乗るGR-6〈ファイアドレイク〉が、出撃していってから数分後。


 司令部の広域魔力レーダーが、異常な反応を捉えた。


 レクサ・アルシエフ将軍はマシンゴーレムの操縦席(コックピット)内で、司令部から転送されてきた情報を(ぎん)()する。




 首都エランの東側。


 距離は約20km(キロ)


 敵マシンゴーレムの反応でもなければ、強力な魔法が発動した反応でもない。


 半径10km(キロ)程の円状に、魔力波を()き散らすような謎の反応。




「なるほど。これがセナ殿の言っていた、『ジャミング』という技術……。となれば妨害魔力波の中には、マシンゴーレムの大部隊が(ひそ)んでいると考えるのが()とうか? ……いや、性格の悪いヤスカワのことだ。これすら、陽動の可能性もあるな」


 かといって、戦力の(ちく)()(とう)(にゅう)()(さく)


 相手はおそらく、XMG-4〈シラヌイ〉。


 テスラの大森林では、姿すら(おが)めなかった未知なる機体。

 

 大森林での戦いにおいて、最後に〈ミドガルズオルム〉が不自然な動きをしたこと。


 これまでの帝国軍と反乱軍との戦いで、姿が見えない謎の機体がいたらしいこと。


 そして城塞都市ダスカンのマシンゴーレム部隊と司令部の広域魔力レーダーが、 同時に(あざむ)かれたこと。


 これらを踏まえ、本国にいるセナ・アラキはこう推測した。


 〈シラヌイ〉は高度な隠密(ステルス)性と、強力なジャミング性能を(あわ)せ持った、凶悪極まりない電子戦機であると。


 異世界地球には、そういう兵器が実在するらしい。




「やはり反乱軍最大の(きょう)()は、お前か……ヤスカワ。ならばこちらの戦力を集中させて、早期に排除するのが良策だな」


「あたしも賛成だね。その〈シラヌイ〉って機体は、ヤバイ匂いがプンプンするよ。年寄りの(かん)ってやつは、馬鹿にできないもんさ」


 しゃがれた声でそう告げたのは、この機体――GR-8〈ルドラ〉の操縦補助を務める水の高位精霊。


 名をレヴィという。


 彼女はパイロットであるレクサの思考をある程度読み取り、作戦に賛同してきた。




 レヴィの姿は、スラリとした(たい)()の魚。


 全身は碧玉の(うろこ)で覆われ、美しい。


 突き出た長い(つの)が特徴的で、セナ・アラキいわく地球の「カジキ」という魚に(こく)()した姿だそうだ。


 彼女は水中を泳ぐかのように、コックピット内をゆっくりと泳ぎ回る。


 身をひるがえす(たび)に、泡が弾けた。


 だがコックピット内を濡らすことはなく、泡はすぐに消滅する。




「幸いフォウワードは、アシュトン・マーティーンが抑えている。〈シラヌイ〉は市街地に入り込まれると、(やっ)(かい)な相手だ。こちらから大部隊を出して、平地で迎え撃つぞ」






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 レクサの命令により、マシンゴーレムの大部隊が発進した。


 彼らはエランの都市防壁から出て、広大な平原へと走り出す。




 部隊の中に、レクサの姿はない。


 彼は指揮官であり、市街地防衛の(かなめ)でもある。


 〈ルドラ〉に乗ったまま、司令部近くで待機しつつ指示を出しているのだ。




 大部隊の先頭を走っていたGR-3〈サミュレー〉から、無線で報告がもたらされた。


 向かってくる敵機は、たったの2機だという。


 それを聞いたレクサは、(なか)ば呆れて(つぶや)いた。




「陽動の可能性は、高いと思っていたが……。あいつら、正気か?」


「大胆な連中だね」


 

 すでにジャミングは、解除されていた。


 今はレーダーにも、はっきりと強大な魔力反応が映る。


 ゆっくりと歩いてこちらに接近してくる、2機のマシンゴーレム。


 レーダー上の光点は、(ゆう)ぜんと動いていた。


 レクサは言い表し難い威圧感を感じ、思わず(つば)を飲み込む。




 相手はエリーゼ女王の駆る、XMG-1〈サルタートリクス〉。


 もう1機は(まが)(まが)しいシルエットを持つ、(しっ)(こく)の機体だという報告が入った。


 こちらが自由神の使徒、ケンキ・ヤスカワの〈シラヌイ〉と見て間違いないだろう。




『これで、陽動だということは確定だ。各機、(とっ)(しゅつ)しすぎるな。GR-3のマルチランチャーによる、(いっ)(せい)(しゃ)(げき)だけあればいい。GR-1各機は敵増援に備え、エランの都市防壁まで後退』




 エラン都市防壁の上には、長大なランチャーを構えたGR-3部隊が配備されていた。


 マルチランチャー〈スターダスト〉を、大火力・長射程のバスターモードで構えている。


 砲撃手の後ろには、もう1機のGR-3。


 こちらはランチャーに魔力を供給するエネルギータンクと、砲撃の観測手を兼ねているのだ。


 バスターモードは魔力消費量が莫大なため、2機のGR-3から魔力を供給しないと撃てない。


 単機で使用できるのは、異常な魔力量を持つ【英雄】セナ・アラキが搭乗している時ぐらいのものだ。




『砲撃手、魔力チャージは済んでいるな? 射程内だ、……撃て!』




 レクサの号令を受けて、砲撃手はランチャーへと撃発信号を送った。




 光の激流が、防壁の上から解き放たれる。




 標的の2機を、飲み込んでしまうべく。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






「な……何が起こった?」




 GR-3のコックピット内で、砲撃手はうろたえていた。


 目の前に広がる光景が、受け入れられない。


 ――落ち着け。

 まずは状況を確認しろ。


 彼は自分に言い聞かせ、経緯を振り返る。




 まず砲撃手の放った、〈スターダスト〉バスターモードによる砲撃。


 これは、命中しなかった。


 〈サルタートリクス〉というエリーゼ女王の機体が背中の推進器(スラスター)を吹かし、前方へと爆発的な加速をしたからだ。




 だが、想定内だ。


 ブリーフィングでも、そういう機動をする機体だと聞いていた。


 自分達の第1射で仕留められるほど、簡単な相手ではない。


 それは(じゅう)(じゅう)(しょう)()している。




 しかし、味方部隊の(さん)(じょう)は説明がつかない。




 大きく(えぐ)られた大地。


 そこに散乱しているのは、GR-3のパーツ。


 あるいは機能を失い、横たわった機体。


 ()()(るい)(るい)という表現が、相応しい惨状だ。




「……何だ? あの〈シラヌイ〉とかいう、黒い機体からの攻撃? いや、これはまるで……。〈スターダスト〉の最大出力砲撃を、受けたかのような……」


 その可能性に思い当たった砲撃手は、おそるおそる自機の右側を見やる。


 僚機達2機の姿があった。


 自分達と同じく砲撃担当なので、バスターモードのランチャーを構えている。


 早くも魔力のチャージを終え、第2射を放とうとしていた。




 何も、おかしな()りは無い。


 淡々と照準を行い、砲撃を放った。




 普段は緑色の〈クリスタルアイ〉を、真っ赤に染めながら。




『やめ……!』




 砲撃手が無線機越しに叫んだ時には、もう遅い。


 今度は何が起こったのか、はっきりと認識できた。


 光の激流が、味方部隊の背中に向けて発射される。


 勘のいい何機かは回避行動を取るが、ごく(いち)()だ。


 ほとんどは避けきれず、光の激流の中でひしゃげ、引き裂かれ、蒸発する。




『くそっ! やむをえん!』




 今回叫んだのは、砲撃手ではない。


 彼の後ろで、観測手を務めていたパイロットだ。


 観測手はとても冷静で、優秀だった。

 

 携帯していた〈スターダスト〉を、ライフルモードで発砲。


 隣で()(たび)味方を撃とうとしていたGR-3達に、プラズマ弾が飛ぶ。


 光の矢は機体とランチャーを繋ぐ、エネルギーバイパスを切断した。




 魔力が暴発し、小爆発を起こす。


 だが僚機2機が、小破する程度の規模だ。




 その()(たん)、赤い目をした2機は地面に崩れ落ちた。


 まるで機体の制御術式を、破壊されたかのように。




『なんじゃ。(わらわ)(おも)(ちゃ)が、壊れてしまったではないか。ならば代わりに、お(ぬし)(たち)で遊ばせてもらうぞ』




 突然無線に割り込んできた、少女の声。


 砲撃手は、(さむ)()を覚えた。


 この声は(つや)やかだが、恐るべき狂気をはらんでいる。


 そして今度は、自分がその狂気の犠牲になる番。


 砲撃手は、本能的に理解した。




 コックピット内に、赤い警告(アラート)表示が踊る。




『誰か! 俺を止めてくれ!』




 機体の制御を奪おうかとする何者かに抵抗しながら、砲撃手は背後の観測手に顔を向ける。


 冷静で優秀な彼ならば、きっと自分を止めてくれると思いながら。




 砲撃手が視線を向けた先には、観測手の機体があった。




 両眼の〈クリスタルアイ〉を、真っ赤に輝かせた機体が。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 レクサはGR-8〈ルドラ〉のコックピット内で、矢継ぎ早に指示を出していた。




「各機散開! 固まるな! ……レヴィ、何が起こったか分かるか?」


「たぶん〈擬似魂魄AI〉が支配下に置かれて、機体の制御術式も書き換えられている。早い話が、あの〈シラヌイ〉の操り人形ってわけさ」


「何だ、その反則的な性能は? 頭痛がする。……弱点や対抗策は、あるのか?」


「膨大な魔力が、必要だからね。いちどに多くの機体は、操れないはずだよ。それと、この〈ルドラ〉は大丈夫だね。あたし達高位精霊なら、簡単には支配下に置かれない」




 ならばレクサが取るべき行動は、ひとつしかない。


 自らが〈ルドラ〉で、〈シラヌイ〉を撃破する。


 それさえできれば、圧倒的物量を誇る帝国軍の優位は揺るがない。


 そう考えたレクサは、〈ルドラ〉を発進させた。


 広い道幅を持つエランのメインストリートを駆け抜け、都市防壁へと向かう。


 高度なガラスの加工技術を(ほこ)っていた、ルータス王国。


 その首都であるエランには、大きなガラス張りショーウィンドゥを持つ店舗も多い。


 ガラスに、〈ルドラ〉の青い機影が映り込む。


 本機は開発者のグレアム・レインが、〈サルタートリクス〉の映像に触発されて開発した機体だ。


 それゆえ両機には、似ている部分が多い。


 曲面を多用し、空力性能を意識した装甲板のデザイン。


 GR-3より人間に近い、有機的なフォルム。


 ここら辺は、そっくりだ。




 しかし、相違点も存在する。


 〈ルドラ〉は人工筋肉の使用量が多い。


 細身で女性的な〈サルタートリクス〉に比べ、がっちりとした男性的なシルエットに仕上がっている。




 メインストリートを疾走していた〈ルドラ〉だったが、都市防壁外へのゲート前で足を止める。


 そこに立ち塞がる、マシンゴーレムの姿を見つけたからだ。




『これはこれはエリーゼ陛下、お久しぶりです。おひとりでこちらへ? わが帝国軍の盛大な歓待は、どうなさったのですかな?』


 〈サルタートリクス〉を、背後から追ってくる機影は見当らない。


 疑問に思ったレクサは、皮肉交じりに問いかけた。




『面倒だから、ケンキに丸投げしたわ』


『ヤスカワ……、苦労しているな』




 予期せぬ味方からの砲撃で数が減ったとはいえ、それでも防壁外に展開している帝国軍マシンゴーレムは80機。


 それらの相手を丸投げされた【ゴーレム使い】に、思わずレクサの口から同情の声が()れた。




『ニーサに振り回されている、あなたほどじゃないと思うわよ』


『言わないで下さい。悲しくなる。……さあ、雑談はここまでにして、そろそろ始めましょうか』


『そうね……。あとはお互い、剣で語りましょうか』




 エリーゼは魔剣〈エヴォーラ〉を、得意の脇構えに構えた。




 レクサも機体背部から、ミスリル合金製の双剣を引き抜く。


 左の(きっ)(さき)は〈サルタートリクス〉の(のど)(もと)に、右は上段に構えた。






貴女(あなた)がお父上にどこまで近づけたのか、私が(はか)って差し上げましょう』






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世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

― 新着の感想 ―
[一言] 前も思ってたけど、ジャックした機体の目の色が赤に変化するの良くないよね。 見られたらすぐ分かるし。 まぁその方がジャックされてる感出るけど…笑
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