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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第5章 ルータス王国奪回編

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第74話 アディの苦悩~誰かに聞いてもらってはどうですか?~

 ルータス解放軍が、城塞都市ダスカンからリースディア帝国軍を追い払った日の夜。




 ダスカンには、大きな拠点が築かれつつあった。


 別地点で帝国軍と交戦中だった、イーグニース共和国軍本隊も合流したのだ。




 仮設のテントやマシンゴーレムのドック、医療所などは(またた)く間に設営され、機能し始める。


 【ファクトリー】に大量の物資を収納して持ち運べる、(やす)(かわ)(けん)()が解放軍にいたおかげだ。


 おまけに共和国軍の車両型ゴーレムは帝国軍のものより積載量が多く、高速移動が可能。


 配備されている数も多い。

 



 別地点で戦っていた共和国軍も、帝国軍に勝利していた。


 賢紀達解放軍の活躍により城塞都市ダスカンも手に入り、共和国軍は喜びに湧いていた。




 しかし、連合を組むルータス解放軍メンバーの表情は暗い。


 この勝利を支えた仲間が、(いま)だに生死の境目を彷徨(さまよ)っていたからだ。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 かつてサーブラウス公爵領時代に、病院だった建物。


 そこには解放軍と共和国軍の医療設備、物資が運び込まれ、野戦病院として活用されていた。


 帝国軍も医療施設として活用していたらしく、設備はそのまま利用できる物が多い。


 衛生面も、悪くない。




 病院の(いっ)(しつ)には、ベッドが置かれていた。


 そこに寝かされているのは、ハーフエルフの女性。


 腹に巻かれた包帯には血が(にじ)んでいて、痛々しい。


 時折、彼女の美しい顔が()(もん)(ゆが)む。


 イースズ・フォウワードの意識は、まだ戻ってはいなかった。




 ベッドの隣では、椅子に座った青年が黙々と回復魔法をかけ続けている。


 無表情な彼――安川賢紀は、並外れた魔力量を持つ【神の使徒】。


 だがそれでも、長時間の魔法使用により魔力は()かつ寸前だった。


 疲労により、目の下にはクマ。


 (ひたい)には、うっすらと汗が浮かんでいた。




「ケンキさん、交代しましょう。【ファクトリー】内で、〈サジタリィ〉の修復も同時に行っているんでしょう? いくらケンキさんでも、魔力が持ちませんよ」


「シロンか……。悪い、(あと)は頼む」


 病室に入って来た(うさぎ)獣人の少女、シロン・ブガッディ。


 彼女にイースズの治療を任せ、賢紀は力無い足取りで病室を後にした。




 賢紀は病院の外に出て、ひんやりとした夜風に当る。


 ぼうっとしていた頭も少し鮮明になり、疲労もやわらいだ。


 【ゴーレム使い】は魔力量だけでなく、魔力回復速度も異常だ。


 自分ならば、すぐにまたイースズの治療に戻れるだろうと賢紀は安心した。




「ケンキ……。イースズの意識は、まだ戻らないの?」


 近づいてきたのは、共和国軍との打ち合わせを終えたエリーゼだった。


 彼女は心配そうな口調で、賢紀に尋ねる。




「ああ……。だが、大丈夫だ。イースズは、ドMで打たれ強いからな」


「あはは。何それ? 本人が聞いたら、怒って飛び起きて来るかもね。ケンキがそんな冗談を言うなんて、珍しいわね。……気を(つか)わせちゃったかしら? やっぱわかる?」


「ああ。お前とアディのショックの受け方は、普通じゃない。特に、アディは酷い。平静に振舞おうとしているが、ガタガタだな」


 病院玄関前の石段に、腰掛けていた賢紀。


 エリーゼもその隣に来て、腰を下ろした。




「アシュトン・マーティーン。狼獣人と犬獣人のハーフ。周辺諸国にもその名を(とどろ)かす、『ルータスの守護獣』。国王の第1妃、アゲイラお()()(さま)の護衛」


 イースズに重症を負わせた獣人機動兵団長について、エリーゼはポツポツと語り始める。


「若い頃は、お父様達とパーティを組んで大陸中を冒険したらしいわ。有名な、『セブルス殿下の嫁探しの旅ね』


「なんだソレは? おたくの王子様たちには、そんな旅の伝統があるのか?」


「あるのよ。ここ数代だけどね。他国の王侯貴族からすると、信じられない風習らしいわね」


「さすが、自由神信仰を国教とする国だな……」


「それはもう、大冒険だったらしいわよ。アシュトンは、お父様達と共に冒険した仲間。その結束の固さと信頼の厚さは、私の目から見ても明らかだった。それに、ルータスという国への愛情が深い人だったわ。そんな彼が、帝国につくなんて……。未だに信じられない」


 エリーゼは、両膝を手で抱えこんだ。


 小柄な彼女が体を丸めると、(ひと)(いち)(ばい)小さく見える。


 そのまま、消えてしまいそうな程に。




「アディの師匠だったって話は、聞いているわよね? それはもう師弟関係を越えて、親子のように信頼し合っていて……」


 そこでエリーゼは言葉を切り、首を横に振った。


「ううん。宮中では、『本当の親子なんじゃないか?』って(うわさ)が流れていたの。2人は、面影が似ていたしね。アディもその噂は知っているはずだし、父親じゃないかと疑っていたはずよ」


「本当は父親かもしれない、師匠の裏切りか……。それは(こた)えるな」




 賢紀は北の夜空を見上げる。




 それはアディの〈フレアハウンド〉が、(しょう)(かい)に出て行った方角だった。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






「アディ様。かなりご無理をされているようですね。少し、お休みになられては? 何か反応があれば、僕がアラートを鳴らしますから」


 XMG-2〈フレアハウンド〉の操縦席(コックピット)


 暗い空間を、計器類の明かりとスザクの燃える体がぼんやりと照らす。


 わずかな光を反射して、金色の瞳がギラギラと輝いていた。


 アディ・アーレイトの(そう)(ぼう)だ。


 しかし、スザクは分かっていた。


 瞳のギラつきとは裏腹に、アディが(しょう)(すい)しきっていることを。


 パイロットと脳波をシンクロさせて操縦を補助する彼には、虚勢を張っても見透かされてしまう。




「哨戒任務中に、休めるわけないでしょう? スザク。心配性な、あなたらしくない発言ですわね」


「今は敵襲より、アディ様の体調が心配です。1人にして休ませようと思って、ケンキ様は哨戒任務を命じたのだと思いますよ。すでに共和国軍本隊から、充分な数の哨戒機が出ていますから」


「……今は任務に集中して、余計なことを考えたくないのです。忙しくしていないと……。色々と、思い出してしまいますわ」


「その思い出したことを、誰かに聞いてもらってはどうですか? 少しは心の重荷も、軽くなるのでは?」


「わたくし、そんなに心の弱い女ではありませんのよ」


「誰かを信頼して背中を預けられるのも、心の強さの内かと思います」


「……あなた、師匠と同じようなことを言いますのね。鳥のクセに、生意気ですわ」


「ヒッ! すみません。だけど本当に、今のアディ様には色々とぶちまけられる相手が必要かと。取り合えず、ケンキ様あたりに……」


「なぜそこで、ケンキ様なのです?」


「アディ様のことだから、エリーゼ様には弱音を吐けないでしょう。イースズ様は、まだ起きられません。となると、消去法でケンキ様しか……」


「あんなリアクションの薄い男に話しても、スッキリしませんわ。……そうですわ、スザク。あなたが聞いて下さい」


「え? 精霊の僕で、良いのですか?」


「もう、相手が壁でも何でも構いませんわ。……そうですわね。あなたの言うとおり、誰かに聞いてもらいたいのかもしれません。姫様には、(いち)(おう)話しました。ですが報告という形で、必要最小限のことしか話しませんでしたから……」




 アディは操縦席のシートに体重を預け、目を閉じる。


 1回深呼吸をしてから、静かに語り始めた。






「聞いて下さい。ルータス王国の首都、エランが落ちた日のことです」






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本作に頂いた、イラストやファンアートの置き場
解ゴー FAギャラリー

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スーパーなろうロボット小説大戦~天涯のアルヴァリス×解放のゴーレム使い~

本作のラスボスが、生まれ変わって主人公になる異世界転生自動車レースもの
ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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