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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第5章 ルータス王国奪回編

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第72話 師匠との日々~父親ってこんな感じかしら?~

『バラバラになりたくない奴は、どきなさーい! ルータスのアブナイ女王、エリーゼ・エクシーズが通るわよー!』




 戦闘中だというのに、エリーゼは外部拡声魔道機器(スピーカー)でがなり立てる。


 これには、心理戦の意味もあった。


 討ち滅ぼしたと思っていたルータス王族が向かってくるというのは、帝国兵にとってみれば恐怖の対象。


 捕まって奴隷兵となっているルータス国民がいた場合、寝返りを誘うこともできる。


 よってXMG-1〈サルタートリクス〉は、自機の位置を派手に宣伝しながら突き進んで行くことになってしまった。




 突進速度が自慢の〈サルタートリクス〉だが、市街地に入ってからはスピードを落とす。


 狭すぎて、背中の大型推進器(スラスター)は限定的にしか使えない。


 こうなると、アディ・アーレイトのXMG-2〈フレアハウンド〉でもついていける。


 むしろ整備された道路のある市街地なら、〈フレアハウンド〉の方が速い。


 〈超魔導リニアホイール〉により、高速の滑走(グライディング)機動(マニューバ)が可能だからだ。




 それでもエリーゼは得意の格闘戦に持ち込もうと、敵機にガンガン突っ込んでいく。


 援護射撃を行うアディは、()(ぼう)(きわ)めていた。




『全く。姫様のお(てん)()は、昔から変わりませんのね……』






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 アシュトン・マーティーン師匠にお城へと連れて来られて、しばらく経った頃です。


 姫様付きのメイド兼護衛となるべく、わたくしは修行を始めました。


 人生でもっとも忙しく、そして充実した日々のスタートでしたわ。


 まずはメインになったのは、メイドとしての修行の(ほう)です。


 こちらは、かなり順調でした。


 母アーリィの仕込みの良さに、当時のメイド長は感心していました。


 わたくしは、天国の母に感謝したものです。




 問題は護衛になるための、戦士修行。


 はっきり言って、ムチャクチャ()(れつ)な訓練でしたわ。


 師匠より無茶な訓練をするのは、ケンキ様のマシンゴーレム訓練ぐらいのものでしょうね。


 毎日、身も心もズタボロです。


 ああ、可哀想なわたくし。


 それでも耐えられたのには、理由があります。


 訓練時は鬼のように厳しかった師匠が、それが終わるととても優しかったからですわ。


 母とは違い、ちょっとぶっきらぼうでしたけど。




 いつもわたくしのことを考えて、わたくしのために行動してくれていた師匠。


 修行で傷だらけになったわたくしの体に、傷薬を(てい)(ねい)に塗り、湿(しっ)()を優しく貼ってくれた師匠。


 メイド修行の進み具合を、黙って――だけどしっかりと(うなず)きながら、聞いてくれた師匠。


 わたくしが熱を出した時に、護衛のシフトを交代してまで付きっきりで看病してくれた師匠。




 わたくしは父親という存在を、知らずに育ちました。


 ですがもし父が生きていたら、きっと師匠のように接してくれる存在だったのでしょう。


 そう考えておりました。




 母を失ったわたくしに、母親のように接してくれたイレッサ様も心の支えでした。


 イレッサ様は、母と大変仲がよろしかったようです。


 よくわたくしに、母との思い出を語って下さいました。




「アディ。エリーゼのことを、頼むわね」


 イレッサ様にそう言われると、どんなに厳しい訓練も耐えられる気がします。


 それに姫様は、子供の頃から天使のように可愛くて……。


 グフフフ……。


 あら、わたくしとしたことが。




 そんな姫様でしたが、幼い頃から剣術や体術、魔法の授業を受けることになりました。


 王族として、護身のためです。


 するとまあ大変。


 前代未聞の急成長を遂げられて、周囲の大人達を驚かせました。


 特に剣術は8歳にして騎士団長を圧倒してしまい、(けい)()(あい)()を務められる者がいなくなってしまったのです。




「なにぃ!? 騎士団長じゃ、エリーゼの相手にならねえだとぉ!? なら稽古相手は、俺しかいねえじゃねぇか!」


 何とセブルス・エクシーズ陛下(みずか)らが、姫様に剣の稽古をつけるとおっしゃったのです。


 それも凄く、嬉しそうに。


 確かに国内最強の剣士といえば、陛下なのですが。




「はいはーい。陛下、お仕事が()まっていますよ~。エリーゼ様と遊ぶのは、また今度にしましょうね~」


「は~な~せ~! おい! お前ら! 俺のことを、王様だと思ってねえな!?」


「いつも『俺は国王なんて、ガラじゃねえ!』とかほざいているくせに、こんな時だけ王様アピールしないで下さい」


 陛下は文官2人に両脇から抱えられ、引きずられて行きました。


 ちょっと、泣きそうなお顔をされていましたわ。




 それから先、陛下はちょくちょく政務から逃げ出し……もとい。

 忙しい合間を()って、姫様に稽古をつけに来られました。


 騎士団長を圧倒してからは、ちょっと調子に乗っていた姫様。


 ですが(はな)(ぱしら)を、へし折られたようです。


 お城の中庭で、地面に突っ伏し泣きじゃくっておられます。


 模擬戦で、陛下からコテンパンにのされてしまったのですわ。


 悔しそうに泣く姫様は、()(ぎゃく)(しん)をそそります。


 何だかわたくし、ゾクゾクしてしまいますわ。


 ウヒヒヒヒ。




 ……コホン、失礼いたしました。




 姫様を地面に()いつくばらせた陛下は、わたくしに向かって()(まね)きをします。


「おい! アディ! お前も最近、腕を上げたそうじゃねえか。ちょーっと俺に、見せてみろ」


 わたくしが隣に居た師匠の顔をうかがうと、師匠は(うなず)いて許可を出してくれました。


「陛下は手加減すると怒るぞ。殺すつもりでやれ」


 とても(しん)()のものとは思えない、師匠の発言。


 それを受けて、陛下は楽しそうにニィっと()みを浮かべました。


 歴戦の獣戦士でも震え上がってしまう、(どう)(もう)な笑みです。




 わたくしは不意打ちで、2本の投げナイフを同時に(とう)(てき)しました。


 狙いは陛下の両眼。


 ナイフはスカートの下に隠してあるのですが、下着が見えてしまうようなヘマはしません。


 見えそうで見えないのが、メイドの(たしな)みなのです。


 陛下が飛んでくるナイフに気を取られているうちに、わたくしは背後へと回り込みます。


 並の戦士なら、消えたと感じるほどのスピードだったと自負しておりますわ。




 わたくしは無防備な陛下の背中に、接近戦用の短剣(ダガー)を突き立てようとしました。




「ふーむ。いい仕上がり具合じゃねえか。ずいぶん念入りに、鍛えてあるな。良くやった。アシュトン」


 陛下はわたくしが投擲したナイフを、左手の指の間に挟んで止めていました。


 体重を乗せて放った突きは、右手の人差し指と親指だけで完全に止められています。


 陛下は背後のわたくしを、振り返ってもおられません。


 師匠の方を向いたまま、(ねぎら)いの言葉をかけています。




「恐れ入ります、陛下」


「公的な場所以外じゃ、そういう(こと)()(づか)いはよせって! (いっ)(しょ)に旅した、仲間じゃねえか」


「わかったよ、セブ。……アディが強くなったのは、本人の強い意志と努力の(たま)(もの)だ。俺はちょっと、手伝ったに過ぎない」




 師匠は無表情のまま。


 ですがわたくしのことを()められて、尻尾がパタパタ揺れていました。


 わたくしもそれを見て、尻尾が揺れるのを止められませんでしたわ。




「ふーむ。護衛メイドって、何かいい響きだな。アディ以外にも、育成してみるか?」


 陛下は(あご)に手を当てて、思案しておられます。


 大賛成ですわ。


 増やしましょう。

 護衛メイド。




「しかしエリーゼがこの調子で強くなるなら、アディほどの()(だれ)がわざわざ護衛につかなくてもなあ……。もったいないから、誰か他の奴の護衛に回すか?」


 大ピンチですわ!


 このままでは、姫様の護衛に()くことができなくなってしまいそうです。


 ああ……。

 護衛にかこつけて、姫様にあんなことやこんなことをしようとしていた(たくら)みがパアですわ。




「あなた。エリーゼに襲い掛かって来るのは、なにも暗殺者や敵兵、暴漢ばかりではないのですよ?」


 (かたわ)らから稽古を見学されていたイレッサ様が、わたくしに(あゆ)み寄りながらおっしゃられました。


「アディ。私があなたにエリーゼを守って欲しいというのは、直接的な武力や暴力からだけじゃないわ。孤独や悲しみ、苦悩からも守ってあげて欲しいの。セブや私が、そばにいられない時に。姉や友人として。そういったものから、あの子を守ってあげて」


 やさしい(まな)()しで見つめてくるイレッサ様に、わたくしは無意識で「はい……」と返事をしていました。




「そうだな。それとウチの可愛い娘に近づく悪い虫共も、蹴散らしてやってくれ。貴族とかが相手でも、(よう)(しゃ)しなくていいぞ? ケツは俺が持ってやる」


「あなたがそれを、言いますか? 自分が何て言われているか、知っているの? 『大陸最強の悪い虫』とか、『(まな)(むすめ)ハンター』なんて言われているのよ?」


「言っている奴らが誰か、大体見当がつくな……。ふう、もてる男はつらいぜ。あと俺から湧き出す愛の量が、並みの男とは比べ物にならないせいでもあるな。イレッサ。俺の熱~い愛を受け止めきれるような女は、そんなに多くないんだぜ」


 陛下はそう言ってイレッサ様の手を取り、イチャイチャし始めました。


 師匠は気まずそうに、明後日(あさって)の方向を見ています。


 姫様は……そうだ、姫様!


 (おと)()()ないオッサンに叩きのめされて、ヘコんでいる姫様をお(なぐさ)めしなくては。




 わたくしは急いで、地面に這いつくばったままの姫様に駆け寄りました。


 まだ、泣きじゃくり続けています。


 かなり(ぶっ)(そう)なことを言いながら。






「うえっ、うえっ、……ひぐっ! ……お父様は、いつか私が叩っ斬るんだから!」






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本作に頂いた、イラストやファンアートの置き場
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他の作者さんが書いた異世界ロボットものとのコラボ作品
スーパーなろうロボット小説大戦~天涯のアルヴァリス×解放のゴーレム使い~

本作のラスボスが、生まれ変わって主人公になる異世界転生自動車レースもの
ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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