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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第4章 エルフの里 テスラの大森林編

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閑話7 星天使の涙(2)~地球まで、届くかしら?~

「ア~レ~クぅ~! お前が変なこと言うから~!」




 (いっ)(こう)(どう)(くつ)の入り口まで戻ってくると、外には巨大な魔物達が群れをなしていた。


 こんな場所に大量発生している原因は不明だが、1匹1匹が災害級と呼ばれる軍隊出動モノな魔物だ。


 1体で都市を壊滅させてしまうほど凶悪な、エルダードラゴンという大型竜まで混ざっている。




 クォヴレー・コーベットから、非難の(まな)()しを向けられていたアレク。


 だがその表情は、歓喜に()(あふ)れていた。




「フッフッフッ……やった! 出番だ! ケンキの(だん)()、【ファクトリー】にMG-2を格納しているんだろう? いや、この程度ならGR-1でも充分だな。貸してくれ!」


「いいだろう。どうせなら、コイツを使ってみろ」




 (やす)(かわ)(けん)()が【ファクトリー】から取り出したのは、イーグニース軍の制式採用機MG-2〈ユノディエール〉。


 アレクがテストパイロットとして、開発に参加した機体だ。

 乗り慣れている。


 ただし、本機は中身が違う。

 外観は普通だが――




「実験としてリアクターコアに、ヴァンピール・ロードの魔石を使ってみた。人工筋肉も、より瞬発力を高めたものに換装してある。出力は上がったが、ピーキー過ぎる操縦性になってしまった。普通のパイロットでは、到底乗りこなせない(しろ)(もの)だ」


「へっ! 上等!」


 洞窟内でのモタモタした動作が、嘘のようだ。


 アレクは素早く、MG-2の操縦席に滑り込んだ。




「ケンキさん。俺にも1機、マシンゴーレムを貸してくれませんか?」


 クォヴレーは、アレク1人に戦わせることが不安な様子。


 加勢を申し出るが、【ゴーレム使い】は却下した。


 アレク1人でも、過剰戦力だと判断したからだ。




「いや、いい機会だ。しっかり見学しておけ。『天才』の操縦ってヤツをな」






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






「いやー、見事なものですな。マシンゴーレムの戦闘を間近で見るのは初めてですが、信じられない動きです」


「アレクが特別なんですよ。普通のパイロットは、あそこまでできません。……なんだ? あの機動(マニューバ)は? アイツ、本当に人間か?」




 ベッツとクォヴレーは、洞窟の入口に座り込んでいた。


 アレクの戦いぶりを、(のん)()に見物中だ。




 アレクの駆るMG-2は(じゅう)(おう)()(じん)に駆け回り、大型の魔物を次々と仕留めていく。




 横っ飛びに跳躍しながら、アサルトライフルをセミオートで5連射。




 高速で、移動しながらの射撃。


 にもかかわらず、全ての銃弾が魔物を()()く。


 しかも急所を、正確に。




 エルダードラゴンがアレク機に噛み付いてきたが、(すべ)るような最小限の動きで回避。


 巨竜の首筋に、対マシンゴーレム短剣(ダガー)がスッと()()()()

 



 ダンスのような(やく)(どう)(かん)


 見る者を魅了する、華麗な戦闘機動(コンバットマニューバ)


 それでいて動作の無駄や、機体への余計な負荷は全く感じられない。


 それが天才、アレックス・(セバスチャン)・マッサの操縦。

 

 機体はアレクの身体そのもの――いや、それ以上完璧にコントロールされている。


 普通のMG-2より(はる)かにピーキーな、ジャジャ馬改造機のはずなのに。




「ん? そういえばケンキ殿は、どこに行かれたのですか?」


「なんか『もうちょっと洞窟を見たい』って言って、奥に入っていきましたよ」




 2人が短い会話を交わしている間に、戦闘は終局を迎えていた。


 最後に残っていた(ひと)()の巨人、イビル・サイクロプス。


 その背後に、アレク機が組み付く。


 素手(マニピュレーター)(けい)(こつ)をへし折られ、イビル・サイクロプスは力なく地面に倒れた。




 恐ろしいことにアレクの機体には、魔物の返り血が全くついていなかった。


 近接格闘戦も、かなりの頻度で(おこな)ったというのに。


 しかも魔物達の死体は、最小限の攻撃で仕留められている。


 高値で売れる部位を、傷つけないようにという配慮だ。


 そのことに気付いたクォヴレーは、(せん)(りつ)した。


 自分もパイロットだからこそ、アレクの化け物じみた操縦技能がわかる。




「本当に、『天才』だったんだな……」




 洞窟内で、へタレっぷりを発揮していたダメ男。


 目の前で、戦神のごとき戦いぶりを()(ろう)したパイロット。


 その2人が(どう)(いつ)(じん)(ぶつ)だという事実に、どうしても納得がいかないクォヴレーだった。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 1週間後。


 ローザリィ社、マシンゴーレム試験場にある休憩室。


 そこで何やら、細かい作業に熱中しているアレクの姿があった。




「よっし! 完成だ!」




 彼が作っていたのは、「(せい)(てん)使()の涙」を使ったアクセサリー。


 アレクは手先の器用さに、少々自信があった。


 そこでドワーフの職人に教わりながら、少しずつ自分でペンダントを作っていたのだ。




「アレク、それは私へのプレゼントか?」




 いきなり背後から声を掛けられて、アレクはびっくりした。


 作業に夢中で、スーテラ・トーターが近寄ってきていることに全く気付いていなかったのだ。




「スーテラ! あの……これはな……」


「今日が私の誕生日だなんて、よく憶えていたな? 確か、1回くらいしか言ってなかったと思うが……」




 アレクは言えなかった。


 「()(れい)サッパリ、忘れていた」などと。


 そんな発言、許されない雰囲気だ。




「そ……そうだ。誕生日までに間に合うかどうかギリギリだったから、こっそり作ってたんだよ。スーテラへのプレゼントだよ」


「私のために、手作りで? 嬉しい! 大切にするよ!」


 そう言ってスーテラは、はち切れそうな笑顔を浮かべる。


 いそいそとペンダントを身に着ける彼女を見て、アレクはなんだかこれで良かったような気がしてきた。




(ま……いっか。ちょっと順番が、変わっただけさ。スーテラにも、いずれ渡す予定だったんだからな)






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 フォーウッド精霊国。


 テスラの大森林に、新築されたばかりであるお城の中。


 


 女王カレラ・ジーテの執務室に、()(づつみ)が届いた。


 鑑定魔法による検査を受け、危険物ではないと証明された(いん)が押してある。


 差出人の名前は、ベッツ・アーエムゲイル。


 カレラがその小包を開封してみると、中から出てきたのはペンダントだった。


 美しい鉱石が、あしらわれている。




 同封されていた手紙には、この鉱石を入手するまでの(ぼう)(けん)(たん)(こと)(こま)かく(しる)されていた。




「ふーん。私は忙しくて大変なのに、あなたは(ずい)(ぶん)と楽しそうじゃない?」


 カレラはペンダントに話しかけながら、指でツンツンとつついた。




「早く王様になる覚悟を決めて、帰って来なさい。いつまでも待ってなんか、やらないんだから」






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 クォヴレーとムルシィ・エラーゴは、2人だけで(てん)(きゅう)(どう)(くつ)へと来ていた。


 「いい魔物狩りのスポットがある」と言って、クォヴレーが誘ったのだ。




「お~。本当に、凄い場所~。壁や天井が、星空みたい~」


 相変わらずの()()びした()調(ちょう)で、ムルシィは(かん)(たん)の声を上げた。




「でしょう? ムルシィさん。(すご)く綺麗ですよね?」


 


(ムルシィさんの(ほう)が、綺麗ですけどね)




 思っていても、口には出せない。


 まだまだクォヴレーは、若かった。




「綺麗だし~、狩り甲斐のありそうな魔物もいっぱいいる~」




 幻想的な情景に()()れるのもそこそこに、ムルシィは巨大な(せん)()を振り上げる。


 次の瞬間。

 色々ダイナマイトな牛獣人傭兵は、魔物の群れに向かって突撃した。


 彼女の首元では、「星天使の涙」のペンダントが踊っていた。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 ある日のルータス解放軍本部。


 いや。

 そう貼り紙がしてあるだけの、スヴェール邸リビング。




「イースズ。ちょっと来てくれ」


「ケンキさん、どぎゃんしたと? そのチョーカーは、なんね?」




 テーブルの上には、チョーカーが置かれていた。


 ペンダントトップは、「星天使の涙」製だ。




「おたくのお兄さんから、怒られてな。『イーグニースで【奴隷首輪(スレイヴチョーカー)】を着けているのを見られたら、ケンキ殿が逮捕されますぞ!』と。今の奴隷首輪も気に入ってるみたいだから、似たデザインの替えを用意した」


「は!? こればあたしにくれるとね!? う……嬉しかー!」




 イースズがさっそく身に着けたがったので、賢紀は奴隷契約の術式を解除した。


 そうしないと、いま装着している首輪が外せないからだ。


 久しぶりに【奴隷首輪(スレイヴチョーカー)】を外したイースズだったが、何か物足りないような顔をしている。




「あれ? なんか、変な喪失感ば感じるばい」


「首元が、(さみ)しくなったせいだろう? 新しいチョーカーを、着けてみろ」




 賢紀からもらった新しいチョーカーを、着けたイースズ。


 だがやっぱり、何か物足りない顔をしている。




「うーん。綺麗だし嬉しかばってん、何か奴隷という実感が湧かんばい。ケンキさん。新しいチョーカーにも、(れい)(ぞく)の魔法とか支配の魔法とかって付与できんね?」


「アブナイこと言うな、変態エルフ。また俺が、ベッツさんに怒られる。それに新しいチョーカーのペンダントトップには、もう魔法が付与してあって……」




 そこまで言いかけて、賢紀は突き刺さる視線に気付いた。




 小さく開いたドアの(すき)()から、緑色の片目が(のぞ)いている。




 凄く、物欲しそうな視線だ。




「エリーゼ陛下。あなたの分も、ちゃんと、ありますよ」




 賢紀が言った瞬間、ドアが勢い良く開いた。


 銀色の旋風が、リビングに飛び込んでくる。




「しょ、しょーがないわねー。女王即位記念の贈り物ってことで、ありがたーく受け取っておくわ……って! これ、ひょっとして『星天使の涙』!?」




 賢紀がエリーゼに渡したのは、チョーカーではなくペンダント。


 そのトップにあしらわれた石を見て、エリーゼは顔を真っ赤にした。




「え? 凄い石なんね?」


「あー。女性の心を(とりこ)にするとかいう都市伝説があるみたいだが、そんな効果は確認できなかった。【ファクトリー】に入れて、解析したんだがな。深い意味もないから、安心して受け取ってくれ」


「えー。虜にする効果は、都市伝説とね」


「深い意味も、ないのね……」



 なぜか残念そうな2人。


 「何か特別な効果が欲しかったのか?」と思った賢紀は、アクセサリーに付与した魔法の効果について説明し始めた。




「その石には、【念話の魔法】が付与されている。魔道無線機のような、相互通信はできない。(いっ)(ぽう)(つう)(こう)だ。だが特定の思念に関しては、かなり距離があっても相手に届く」


「特定の思念って、どんなの?」


「助けを求める思念だ。お前達が俺の支援を必要とした時は、すぐに駆けつけられるようにと思ってな」


「『かなり距離があっても』……か。地球まで、届くかしら?」


 エリーゼはペンダントを()でながら、寂しげに(つぶや)いた。




「最近思っているんだが……。フリード神の使命が片付いても、俺は地球に帰りたくないな」


「……えっ!? ヤマハさんのことは、いいの?」


「何とか、こっちに連れて来られないかと思っている」




 よく考えたら、賢紀が地球に帰りたい理由は(やま)()(とき)()くらいのものだ。


 親友の(まし)()(ぐん)にも会いたい。


 だがこの世界を捨てて地球に帰ったら、「バカか? オメーは!」と怒られること間違いなしだ。


 賢紀の夢である、人型機動兵器が実在する世界なのだから。


 それに季子は地球より、こちらの世界が気に入りそうだと思っていた。




「地球に帰ったら、マシンゴーレムがないからな。それに……」


「それに? 続きは?」


「……こっちの世界での(ほう)が、俺は金持ちだからな」


「だからそれは、ルータス解放軍の資産だってば!」 


 ツッコミを入れながらも、エリーゼは嬉しそうだった。




 彼女の笑顔を見ながら、賢紀は心の中で密かに(つぶや)く。






(それに……。エリーゼ達と別れるのは、寂しいからな)






やあみんな。俺は戦女神の使徒、荒木瀬名だ。

ランドール・クロウリィ? 黒髪の君? 誰だいそれ?


4章を読んでくれて、ありがとう。

みんなのおかげで、何とかニーサを守ることができたよ。


図々しい話だけど、ついでにお願いがあるんだ。

俺と安川の戦いをもっと見たいと思った人は、この作品をブックマークしたり、評価をして欲しい。


やり方は簡単。

画面上に出ている黄色いボタンからブックマーク登録。

この下にある★★★★★マークのフォームから、評価の送信ができるよ。


みんなの応援があれば、俺は5章でも活躍を……え? 5章では、あんまり出番ないの?

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本作に頂いた、イラストやファンアートの置き場
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他の作者さんが書いた異世界ロボットものとのコラボ作品
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ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱ、スーテラが好みですね。出番が少なくとも好きです! (本音はさておき……) 描写技術はかなりの力量をお持ちなのだなあ、と思います。 戦闘描写は凄く想像しやすいですね、御使い同士の対立…
2020/05/05 21:12 退会済み
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