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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第4章 エルフの里 テスラの大森林編

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閑話6 星天使の涙(1)~本当に天才なのか?~

「『(せい)(てん)使()(なみだ)』? アレク、何だそれは?」




 場所はイーグニース共和国。

 スヴェール邸のリビングルーム。


 ドアに貼られた「ルータス解放軍本部」の貼り紙も、すっかり()()んできた。


 アレクことアレックス・(セバスチャン)・マッサが口にした聞き慣れない単語に、(やす)(かわ)(けん)()は疑問の声を上げた。




「何だ? 知らねーのかい? ケンキの旦那。男がその鉱石でアクセサリーを作って女に贈ると、もれなくその心を(とりこ)にできるっていう代物よ。俺のハーレム建設に欠かせない、重要アイテムだ」


 「すげえアイテムだろ?」とドヤ顔な、絶対ハーレム作るマンのアレク。


 ハーレムは面倒臭いので興味ないマンである賢紀は、冷めた気持ちで話を聞いていた。




「その『星天使の涙』を取りに行きたいんだけど、採掘できる(てん)(きゅう)(どう)(くつ)ってのがヤバい。危険な魔物が、ウヨウヨしているスポットなんだよ。ほら、俺ってマシンゴーレム降りると超弱いじゃん」


 なぜか胸を張って、(ほこ)らしげに言うアレク。


 見た目は長身。


 筋肉が無駄なく付いた、しなやかでいかにも強そうな体。


 しかし彼は、白兵戦で弱い。


 元帝国兵とは、思えない程に。




「それで、俺に手伝えと?」


「頼むよ、旦那。魔物の掃討だけでも、魔物ハンターギルドに依頼しようとしたんだけどよ~。天球の洞窟は危険度高いらしくて、依頼料超高いんだよ」


「アレク。お前は結構な、高給取りだろう?」


「毎月スーテラとのギャンブルに負けて、巻き上げられているんだ」


 経済観念の無さに、賢紀は頭を抱えた。


 マシンゴーレムの操縦以外は、本当にダメな男だ。


 これはスーテラ・トーターに、きっちり管理してもらわなくては。




「手伝ってもいいが、条件がある。最初に作ったアクセサリーは、スーテラに渡せ。彼女もハーレムに()れるとか、言ってただろう?」


「えーっ!? スーテラを最初のハーレム要員にすると、2人目は許可してくれそうにないじゃん!」


「嫌なら自分で採りに行け」


「ワカッタヨ。チャントスーテラニワタスヨ」


 どうも嘘くさい返事だったが、賢紀は手伝うことにした。


 初めは興味がなかったが、途中であるアイディアを思い付いたのだ。

 

 せっかくだから、自分も「星天使の涙」でアクセサリーを作ってみたい。


 それを(やま)()(とき)()に、贈ってみたい。


 地球に持って帰れるかは、まだわからないが。




「よし! ありがとう旦那! 出発は明日でいいかい? 仕事休みなんだ」


「ずいぶん急だな……。まあいいか。協力してくれそうなメンバーに、心当たりがある。適当に、声を掛けてみていいか?」


「もちろん! 仲間が増えるのは、大歓迎だぜ!」






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□





 翌朝。


 4人の男達が、ワゴン型ゴーレムに乗り合わせて移動していた。




「ビサースト組は、クォヴレーだけか? エネスクスや、ゴリも来るかと思ったが……」


「エネスクスは、シロンとデート。ゴリはジャニアの買い物に、荷物持ちとしてついていくからと……。あいつら、爆発すればいいのに……」


 面白くなさそうにボヤく、ワイルドな狼獣人の若者。


 民間軍事会社「ビサースト・エージェンシー」所属の剣士、クォヴレー・コーベットだ。




 他には、眼鏡をかけたエルフの姿があった。


 遺伝子魔法学と雷魔法の申し子。

 青い長髪が美しい青年、ベッツ・アーエムゲイル。




 3人目はアレックス・(セバスチャン)・マッサ。


 かつてリースディア帝国で、「天才」と呼ばれたマシンゴーレム乗り。


 いまはローザリィ社に雇われている、若きテストパイロット。




 そして、相変わらずの無表情男。


 自由神の使徒にして、【ゴーレム使い】である安川賢紀。




 今回はこの4人で、パーティを組む。


 それぞれが、意中の女性を()()めたいという野望を胸に秘めていた。


 彼らは「星天使の涙」を求め、危険な魔物(うごめ)く天球の洞窟へと向かう途中なのだ。




「それで? クォヴレーさんがアクセサリーを贈る相手って、どんな人なんだい?」


 アレクはゴーレム・ワゴンを、すいすいと走らせながら(たず)ねた。


 軽やかなハンドル(さば)き。


 車両型であっても、ゴーレムの操縦にかけては本当に天才だ。




「なっ! ……アレク、どうでもいいだろう? そんなことは」


 ちょっと照れたように、そっぽを向くクォヴレー。


 だが賢紀が、代わりに答えてしまう。




「ムルシィ・エラーゴという、牛獣人の女性傭兵だ。クォヴレーはいつも、彼女をチラチラと見ている。主に胸をな」


「えっ!? ケンキさん、なんでそれを!? 俺の視線って、そんなにバレバレですか!?」


 キョドるクォヴレーを見て、賢紀は可哀想になった。


 「本人も気付いているよ」とは、言わないでおいてやることにする。




「むっふっふっふ。クォヴレーさんも、なかなかスケベですなあ。……ベッツさんのお相手は、どんな人?」


「カレラか……ふむ。ひと言で表すなら、『女王様』ですな」


『女王様……』


 テスラの大森林に行った時は普通だったのに、すっかり元の口調に戻ってしまったベッツ。


 カレラ・ジーテが女王の地位にいることは事実なのだが、彼の言い方は誤解を招く。


 (あん)(じょう)、アレクとクォヴレーはちょっと引いていた。




「ま……まあ趣味は、人それぞれだしな」


「そ……そうだよな。ディープな愛の形も、あるということにしとこうぜ。……ケンキの旦那は、大変だな。エリーゼちゃんと、イースズちゃんと……ひょっとして、アディちゃんにも?」


「いや。俺の故郷にいる、トキコ・ヤマハという女性だ」


「な! 何ぃー!? 4人だってー!? くっ! ケンキの旦那も、相当なハーレム野郎だな。エリーゼちゃんの親父さんと、互角とは……」


「ケンキ殿。聞いておりませんぞ? てっきり、イースズに贈るものだとばかり思っていたのですが……。少し、話し合いが必要ですな」


「いや、アレク。俺はハーレムなんて面倒なもの、作る予定は無いからな。ベッツさん、車内で雷魔法はやめて下さい」




 ドタバタする野郎共を乗せて、ゴーレム・ワゴンは淡々と走り続けた。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 天球の洞窟に足を踏み入れた(いっ)(こう)は、絶景に言葉を失う。




 真っ暗な壁や天井には、星にそっくりな光が(またた)いていた。


 まるでプラネタリウムのように、幻想的な光景だ。




「これは……見事なものですな……。『星天使の涙』で作ったアクセサリーを贈るより、ここに意中の女性を連れてきた(ほう)が効果的なのでは?」


 ベッツの意見には、賢紀も同感だった。


 


「こんな奴らが、いる場所にかい?」


 アレクが指差した先には、凶悪な魔物達が(うごめ)いていた。




 よだれを垂らしながら牙をむく、双頭の狼。


 口から紫色の毒霧を吐く、首が3つある巨大な毒蛇。


 消化しきれなかった白骨を体内に残したまま、洞窟の床を()い回るスライム。




 魔物ハンターギルドが危険視するのも(うなず)ける、高脅威度な魔物の(そう)(くつ)だった。




「よっしゃ! いっちょ頑張るぜ! 『星天使の涙』目指して、突撃ぃー! ……うわーっ!」




 ナイフを構えて突っ込んだアレクだったが、いきなり数(メートル)もぶっ飛ばされた。




 高脅威度の魔物相手だから、仕方がない……というわけでもない。


 やったのは、貧弱そうな小鬼(ゴブリン)だ。




「くっそ~。銃なら、力の無さは関係ないぜ!」




 アレクは腰からヴォクサー社製のリボルバー拳銃を取り出し、魔物に照準。


 発砲した。




「ア~レ~ク~!」


 前衛として戦っていたクォヴレーが、怖い目つきでアレクを振り返る。




 賢紀が小型無人マシンゴーレム〈トニー〉で受け止めていなければ、クォヴレーの後頭部に銃弾が命中していたところだ。




「アレク。お前本当に、マシンゴーレムの天才なのか?」


 自分もマシンゴーレム乗りであるクォヴレーは、アレクの操縦技術にも疑問を持った。


 腕の立つマシンゴーレム乗りは、白兵戦でも優秀な戦士であることがほとんどだからだ。




「もうお前は、大人しくしていろ」


「イエッサー!」


 賢紀の指示に、アレクは元帝国兵らしくビシッと敬礼を決めた。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 4人のパーティは、強かった。




 最前列はクォヴレー。

 目にもとまらぬ烈剣を振るい、次々と敵を斬り伏せる。


 ベッツは後衛。

 遠距離から素早く的確に雷魔法を撃ち込み、魔物達から攻撃の芽を()み取る。


 遊撃担当が賢紀。

 〈トニー〉を操っての格闘戦と同時に、自らは魔法で支援を行いパーティの穴をなくす。


 そして何もしないことが、最大の戦果につながるアレク。




 高脅威度認定されている魔物達の群れをものともせず、(いっ)(こう)は洞窟の最深部へと辿(たど)り着いた。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 洞窟の最深部。




 賢紀の手には、ダイヤモンドのような鉱石があった。


 透明だが、角度を変えると虹色に見える。


 さらに(いっ)(てい)のリズムで、白い輝きを放っていた。




「これが『星天使の涙』か……。数はちょうど、4つあるな」


「足りねえ! 俺は10個くらい欲しいぞ! 旦那の分、売ってくれない?」


「ダメだ、1人1個。大体お前、(かね)がないだろう?」


「ちえ~、旦那のケチ~。しょうがねえな」


「アレク! お前今回、全然活躍してないだろうが! 1個持って帰れるだけでも、ラッキーだと思え」


「クォヴレーさん、その『活躍してない』ってのも不満だぜ。あー。帰り道で、でっかい魔物とか出て来ねえかなあ? マシンゴーレムが、必要なサイズのヤツ」


「アレク殿。そんなことを言って、本当に出くわしたらどうするのです?」


「ん? ベッツさん、そりゃもちろん()()らすよ」




 自信満々に、言い放つアレク。


 クォヴレーとベッツは苦笑いしながら、深~い(ため)(いき)をついた。






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ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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