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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第4章 エルフの里 テスラの大森林編

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第59話 射手闘士の雷~人間はいい種族だったかい?~

 地面に落ちた、〈ミドガルズオルム〉の頭部。

 そのハッチが開いた。


 中から1人のエルフ族男性が、()いずり出てくる。




 エルフ族の(おさ)にして、精霊女王ローラからの(てん)(けい)の受け手。


 ハイエルフ、ゼフォー・ベームダール。


 彼は体のあちこちに、(やけ)()()っていた。


 内臓にも損傷を受けたのか、()き込む(たび)に口から血を吐く。




「ふふふ、見事なものだ。やはり人間の力は、素晴らしい。……そして同時に、恐ろしい」


「やはりアンタの行動は、()(えん)からくるものじゃないな? 人間族の存在そのものに、何かしらの(きょう)()を覚えているといったところか?」




 いつの間にかマシンゴーレムを降り、生身でゼフォーの近くまで来ていた(やす)(かわ)(けん)()


 彼は静かな口調で、瀕死のハイエルフに話しかけた。


 殲滅魔砲〈アケローン〉が連射されたことにより、周囲には霊的な汚染が広がっている。


 賢紀は身を守るために、()(じゃく)な防御障壁の魔法を身に(まと)っていた。




「そうさ。エセルスを殺された(うら)みだけで、種族全体を滅ぼしてやろうなどと考えるものか。……彼女の愛した種族だぞ?」


「その話、親友の私にも聞かせてくれるんだろうな?」


 ベッツ・アーエムゲイルも(そば)まで来ていた。


 【(こう)(ぎょく)(がん)】の使い過ぎによる失神から、目を覚ましたのだ。




 賢紀は【ファクトリー】からヘッドセット型の魔道無線機を取り出し、回線を開いた。


 仲間達と帝国チームの全員に、会話が聞こえるように。




「私達歴代ハイエルフが、精霊女王ローラ様から様々な天啓を受け(たまわ)るのは知っているな?」


「あのロリババアの()(まよ)(ごと)か! あんなものは、ドブに捨ててしまえ!」


 普段は聞くことのない、ベッツの乱暴で下品な物言い。


 賢紀は内心ぎょっとしたが、いつものポーカーフェイスは崩れない。




「ローラ様は、神々との交流がある。この世界とは異なった次元にある、異世界の情報もご存知だ。そこにいる【神の使徒】達の暮らしていた、地球の話も聞いたよ」


 ゼフォーは地球生まれである、自由神の使徒を見上げる。


「どうだ? ケンキ・ヤスカワ。君のいた地球では、人間はいい種族だったかい? 個人個人がではなく、種族として客観的に見た場合だ」




 賢紀には、答えられなかった。


 ゼフォーが()()人間を滅ぼそうとしたのか、うっすらと理解できてしまったからだ。




「この世界や地球以外にも、人間が生まれた世界は多い。ある世界では進化の果てに、ある世界では創造神が意図的に作ってみたり。他の世界からやってきた人間が、その世界で数を増やした例もある」


 複数の異世界が存在することは、賢紀も予想していた。


 フリード神の(せり)()に、そう匂わせるものがいくつかあったからだ。




「多くの世界で、人間という種族は存在した。そしてほとんどの世界で、どうなったと思う?」




 たっぷりと()を置き、賢紀とベッツの反応をうかがってからゼフォーは続けた。




 ある世界では、細菌兵器。


 【エンスピュリファイア】のように、静かな眠りをもたらすものではない。


 地獄のような苦痛を(ともな)い、全身から血を噴き出し(むご)たらしい死を振りまく。


 身の毛もよだつようなウイルスにより、その世界では全ての生物が死滅した。

 



 またある世界では、大規模な崩壊魔法。


 近くの星やスペースコロニーを巻き込み、跡形もなく消滅した。


 150億という、人間族の命と共に。




 機械の反乱により、滅びた世界もある。


 マシンゴーレムのような機動兵器に人工知能を載せて完全自立型(スタンドアローン)にしたら、人間族は不要だと判断されたのだ。




 そして核兵器により全てが焼き尽くされ、滅びた世界。


 今でも死の灰が降り注ぎ、生命の再生が妨げられているという。




「特にドワーフ族と人間族が(から)むと、世界の文明は破滅に向かって急加速する。……だが悪いのは、ドワーフじゃない。最終的には全部人間が、滅びを作り出した。そして人間の手によって使用され、人間以外の種族を巻き込んで世界は滅びた」




 辺りの空間を、重苦しい空気が支配した。


 賢紀の隣にいるベッツも沈黙し、どう言葉を返していいか迷っている。




『そんなの! この世界でもそうなるとは限らないじゃない! 勝手に判断するんじゃないわよ! ケンキとセナがいた地球のように、平和にやっていけている世界もあるわ! 文明や科学技術が発達しても滅びることなくね!』


 無線機から、エリーゼの叫び声が聞こえた。


『ねえ! そうでしょう!? ケンキ! セナ! 何で黙っているのよ。答えてよ……』


 少女の叫び声は、涙声へと変わっていた。

 

 人間族が世界の滅びをもたらし、ドワーフ族が加速させる。


 ならば両方の血が入っている自分は、滅びの象徴なのではないのか?


 エリーゼはそのことが、ただただ悲しかった。




『地球でも、俺達人間は……』


 (あら)()()()は、それ以上言葉を続けられない。


 だから代わりに、同じ地球人である賢紀が続きを語ってやることにした。


 面倒に思いながらも。




「ああそうだな。地球でも人間は、アホなことばっかりやっている。自分達の星を何回も焼き尽くせる量の兵器を保有しているなんて、他の種族から見たらアホの(きわ)みだろう。宗教とか肌の色とか、この世界ほどの差異はないのに人種だとか、くだらない理由で戦争しては殺し合う。平和な国でも()(さい)なことでいがみ合ったり、差別して他者を攻撃する。本当に、どうしようもない種族だ。こんな種族に生まれて、恥ずかしい。けどな……」


 普段は無口なので、あんまり続けて(しゃべ)ると息が切れる。


 賢紀は(いっ)(たん)呼吸を整えてから、話を続けた。




「まだ、滅びてはいない。地球も、この世界も」




 無線機の向こうで、瀬名が『あ……』と小さく息を漏らす。




「ゼフォーさん。アンタちょっと、責任感強過ぎるんじゃないのか? 滅びそうになったらその時に生きてる連中が頑張ればいいし、滅びてしまったなら世界を管理している神様達の責任だ。たかがハイエルフのアンタが、滅亡回避するために頑張らなくていいんじゃないのか?」


 きょとんとしているゼフォーを見て、ベッツは笑い出した。


「ケンキ殿の言うとおりだよ。君は昔から、責任感が強すぎる。『たかがハイエルフ』なんだ。そんな肩書きを重荷に感じたのなら、さっさと降ろして逃げ出しても良かったんだ。それにローラのババアは君に、『人間を滅ぼせ』ってはっきり命令したのかい?」


 昔と変わらない笑顔を見せる親友を見て、ゼフォーも笑顔を浮かべた。


「ははは……。相変わらず、ベッツは自由な奴だなぁ……。でも、もう時間切れだ」




 鈍い振動と轟音が、大地と大気を振るわせた。




「弾道ミサイル、〈コメットキャリアー〉……。【エンスピュリファイア】を積んだ、生物兵器弾頭を搭載してある。目標地点はリースディア帝国の帝都、ルノール・テシア。……もう誰にも、止められない」




『安川! 君から見て、8時方向! 弾道ミサイルだ!』




 瀬名からの警告を受け、賢紀はすかさず【ファクトリー】から小型無人マシンゴーレム〈トニー〉を呼び出した。


 〈クリスタルアイ〉との【直結(フルコンタクト)】を行い、ミサイルを探す。


 【ゴーレム使い】としての能力が成長しており、最近は【直結(フルコンタクト)】を使用した時の頭痛が軽い。


 より高度なセンサーを持つXMG-4〈シラヌイ〉と【直結(フルコンタクト)】した時は、やっぱり強烈な頭痛に見舞われたが……。




「見つけたぞ。全長は、10(メートル)くらい。垂直に上昇中」




 超音速まで、加速する前が勝負だ。




イースズ(フリーダム4)、ケツの火が出ている部分だけ削ぎ落とせ。(あと)はこちらで、何とかする」







■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 XMG-3〈サジタリィ〉。


 そのコックピットで、イースズ・フォウワードは拡大された弾道ミサイルの映像を注意深く観察していた。


「推進器は、魔法ごたんね。削ぎ落とせば、誘爆はなかというわけたいね」


「ご主人~。オレっちも手伝わないと、ダメか~い?」


 コックピットの(すみ)で丸まっている、翼の生えた半透明の(たぬき)


 風の高位精霊フーリが、めんどくさそうに(たず)ねる。




「機体の〈クリスタルアイ〉とあたしの目を、3つともリンク。(あと)は何もせんでよかよ」


「え~、3つとも~? オレっち、それだけでも結構面倒なんだけど? まあ、しょうがないか。〈タケミカヅチ〉はいつでも撃てるから、後はよろしく~」




 狙撃フェーズに入ったイースズからは、余分な情報が削ぎ落とされていく。


 フーリの声も、遠くなっていった。




 イースズの行った〈クリスタルアイ〉とのリンクは、賢紀の【直結(フルコンタクト)】とは真逆の操縦方法だ。


 パイロットが持つ魔眼の力を、機体のカメラに付与する。


 集中力を高めた時、イースズの(ひたい)にある第3の瞳は紫色に輝く。


 未来予知の魔眼、【()(すい)(しょう)(がん)】。


 (いっ)(しゅん)先の未来を、見通せる能力だ。


 この魔眼を使って、矢や銃弾を当てられなかった相手はいない。


 安川賢紀などの特例を除いては。




「今のあたしなら……。さらにもういっちょ!」




 いつもは青いイースズの両眼が、黄金色に輝き始めた。


 彼女の兄と同じ超探知の魔眼、【黄玉眼】。


 これを使えば空気の流れや熱、魔力の流れなども広範囲に渡り正確に感じ取ることができる。


 10km(キロ)先を上昇する弾道ミサイルの推進器まで、砲弾をどう運べば良いのか。


 具体的で、明確なイメージが完成した。




 視線を送っていないのに、〈サジタリィ〉のリアクターが発生させる(ばく)(だい)な魔力が「見える」。


 電磁加速砲(レールガン)〈タケミカヅチ〉の中で、魔力が電力に変換されているのが「見える」。


 砲身内の2本のレールを、流れる電流が「見える」。


 プラズマ化し、砲弾を加速させていく伝導体が「見える」。


 マッハ10まで加速され、砲身から射出される砲弾が「見える」。


 予定通り、ミサイルの推進器へと吸い込まれていく弾道が「見える」。


 そして推進器を吹き飛ばされたミサイルが「見えた」瞬間、イースズは静かに3つの目を閉じた。


 同時に聞こえる発砲音と、機体を揺るがす〈タケミカヅチ〉の反動。






「ん。ご主人、おつかれさん」




 発砲と同時だった。


 まだ命中は、確認できていない。


 だがそれが確定事項であるかのように、フーリはイースズを(ねぎら)った。






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【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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