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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第4章 エルフの里 テスラの大森林編

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第58話 炎の猟犬~趣味で作った機体ですが何か?~

『どうしたんだエリ……フリーダム2!? いきなり魔道無線機から「ピーッ!」っていう音が入って、(せり)()が途切れたぞ!?』


 エリーゼ・エクシーズの耳に、戸惑い気味な(あら)()()()からの声が届く。




 どうやら彼女が(おう)()する音は、ヨルムがかき消してくれたようだ。


 エリーゼは無線機のマイクをオフにし、相棒を(ねぎら)う。


「ヨルム、グッジョブ! あんたってホント、頼りになるわ。ひとまず、乙女のピンチは回避できたようね」




 安心していたエリーゼだったが、専属メイドから余計なフォローが入る。


セナ様(ディース3)。あまり深く追求しては、いけませんわ。乙女には、色々と知られたくないこともあるのです』




「あっ、アディにはバレてる。乙女の危機、回避失敗……」


 浄化魔法で自らの(おう)()(ぶつ)を片付けながら、エリーゼはガックリと肩を落とした。


「ど……ドンマイ、エリーゼちゃん」


 スピリット()アシステッド()インターフェース()における精霊の役目は、操縦補助や機体の姿勢制御たけに(とど)まらない。


 パイロットのメンタルケアにまで、(およ)ぶようだ。


 これが性格のキツいマリアや神経質なスザクなら、「汚い! 臭い!」とか言われて立ち直れないところだった。


 ヨルムがパートナーで本当に良かったと、エリーゼは思う。


 彼女は再び、魔道無線機のマイクをオンにした。




『く~っ! 全部あの〈ミドガルズオルム〉のせいよ! 私に(はじ)をかかせた罪、(つぐな)わせてやるわ!』


姫様(フリーダム2)。それはわたくしに、お任せ下さい』




 木々を()き分けて、1機の赤いマシンゴーレムが出現した。


 赤いと言っても、ニーサ・ジテアール機のように(あざ)やかな赤ではない。

 

 静脈の血の色を連想させる、(あん)(かっ)(しょく)


 肩に(えが)かれた冥界の番犬と(あい)まって、血なまぐさい雰囲気を(ただよ)わせていた。


 第2世代型へと移行して全体的にスリムになった機体が多い中、この機体は脚部が太い。


 そして背中には、航空機のような翼。


 機体の各所にも、カナード翼と思わしき細かい空力パーツが見受けられる。




『なるほど。翼断面から見て、ダウンフォースを発生させる構造か。……となると、機体の特性は推測できるな』


 元レーシングドライバーの瀬名は、マシンゴーレムの空力に関して洞察力が鋭い。




『XMG-2〈フレアハウンド〉、突撃ですわ。スザク、しっかりサポートしなさい』


 アディの宣言に共鳴するかのように、〈トライエレメントリアクター〉の甲高い吸気音が響き渡った。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 〈フレアハウンド〉の操縦席(コックピット)内。


 そこでは火の鳥型精霊のスザクが、犬耳メイドにまくしたてていた。




「反対ですアディ様! まずは距離を取りつつ、(けん)(せい)(しゃ)(げき)を! いえ! むしろ(てっ)退(たい)しましょう。蛇の相手は、同じ蛇であるヨルムに任せて」


「お黙りなさい! 〈ヘルズバイター〉の弾丸に詰め込んで、あの蛇の口に叩き込みますわよ?」


「ヒッ!」


 スザクはアディの(おど)しに対し、翼で体を包み震え上がった。




「ハイダウンフォースモード! 〈超魔導リニアホイール〉、最大戦速!」


「わかりましたよ……。胴体部の空気抵抗軽減は、こっちで勝手にやりますよ?」


「空力制御は、全てそちらで判断してやりなさい。わたくしは、射撃と機動(マニューバ)に集中します」


「あんまり無茶な突撃は、()めて下さいね。アディ様は本当に……」


 スザクが()()り出したのをスルーして、アディは〈フレアハウンド〉をフル加速させる。




『やっぱり、〈ドライビングホイール〉搭載型か』


 無線を通して、瀬名の(つぶや)きがアディの犬耳に届いた。




 (すべ)るような高速機動、滑走(グライディング)機動(マニューバ)


 それを可能にする足裏の車輪〈ドライビングホイール〉は、第1世代型マシンゴーレムGRー1〈リースリッター〉に搭載されマシンゴーレム同士の戦闘を(いちじる)しく高速化させた。


 だがこの装置は、第2世代型マシンゴーレムには搭載されていない。


 瞬発力に優れた人工筋肉の採用により、普通に走った(ほう)が高速移動できるようになってしまったこと。


 数十(メートル)の高さまで(ちょう)(やく)すると、着地の衝撃で〈ドライビングホイール〉が壊れやすいこと。


 全高が伸びたため重心が高くなり、滑走機動中のバランスコントロールが難しくなってしまったこと。


 様々な理由により、MGー2〈ユノディエール〉でもGRー3〈サミュレー〉でも省略(オミット)されてしまった〈ドライビングホイール〉。


 しかし〈フレアハウンド〉の開発者である(やす)(かわ)(けん)()は、〈ドライビングホイール〉を諦めきれなかった。


 「ローラーダッシュは男のロマン」という信念の元、時代の流れに逆らったのだ。




『なっ! 速い! ()()あのスピードで、バランスが取れる!? それにいくらホイールにパワーがあっても、地面で空転してパワーロスをするはずだろう!?』


 ニーサ・ジテアールの疑問に、瀬名は確信を持って答えた。


『ダウンフォースだ。空気の力で、脚部を地面に押し付けるように作られているんだ』




「さすがは地球育ち。見抜かれてしまいましたわね」


 瀬名に看破されたことが、アディには少々意外だった。


 「第2世代型でも、速くてかっちょいいローラーダッシュを決める」という、趣味丸出しのコンセプトで作られた変態マシンゴーレムである。


 その機構を理解できる者がいるとは、アディは考えていなかった。


 何せそのコンセプトを実現するだけのために、ありとあらゆる無駄な装置が搭載されているのだ。


 足裏の〈超魔導リニアホイール〉は、従来の〈魔道モーター〉とは比較にならない性能。


 軸受けを持たないフルフローティング構造で、異常な程の回転力(トルク)と最高回転数を誇る。


 その代わり、魔力消費量は極悪だ。


 脚部は太く、重く作られている。


 これはリニアホイールを保護するため。

 そして重心を、少しでも落とすための設計。


 もっともこの脚部デザインは、アディも賢紀も気に入っている。


 そして滑走機動を諦めれば、不要になったはずのウイングと各部補助翼(カナード)




 ありとあらゆる補助装置を満載し、高位精霊による姿勢制御まで備えている。


 それでもパイロットに超人的なバランス感覚と反応速度、Gに耐える(きょう)(じん)な肉体を要求する機体。


 じゃじゃ馬中のじゃじゃ馬。


 それがXMG-2〈フレアハウンド〉。


 はっきり言って、無駄と趣味の塊のような機体だ。


 しかしその戦闘力が、低いとは限らない。




 〈ミドガルズオルム〉を中心に、弧を描くような軌道を取る〈フレアハウンド〉。


 曲がりながらにもかかわらず、その速度は250km/h(キロ)を超えている。


 〈アケローン〉の狙いを定めようと、大蛇は首を動かした。


 しかし、追いきれていない。




姫様(フリーダム2)にゲロを吐かせた罪は、死を持って(つぐな)っていただきます』


『アディ。スザク。あなた達、あとでお仕置き決定』


「ヒッ! 何で僕まで……」


 いつものアディなら、エリーゼからのお仕置き宣言に興奮しハアハアしているところ。


 だが今は蛇狩りに集中していて、(あるじ)の宣告を聞き流す。




 射程距離に入り、〈フレアハウンド〉は大蛇の頭部へと照準を定めた。




「〈ヘルズバイター〉の弾は、作るの手間なんですからね! 無駄撃ちさせないように、ケンキ様から言われてるんですからね! 節約して下さいよ!」


「うるさい鳥ですわね。本当なら、2丁撃ち(デュアル)で行きたいところですのに」




 〈フレアハウンド〉の単眼(モノアイ)型カメラが、殺気を(はら)んだ光を放つ。




 直後、アディのフルオート射撃が実行された。




『口径が太い? これは? ……そうか! グレネードってヤツか』


 異常な動体視力を持つ瀬名にだけは、弾丸がハッキリ見えていた。


 〈ヘルズバイター〉から射出された弾は、先程までMG-2〈ユノディエール〉のマシンガンから放たれていた徹甲弾とは別種のもの。

 

 弾は〈ミドガルズオルム〉の魔法障壁を突き破り、ルーンタイトの装甲板に触れた瞬間に大爆発を起こす。


 中に詰められていたのは炸薬ではなく、爆炎魔法。


 それも人間離れした魔力を持つ【ゴーレム使い】が、ありったけの魔力を込めている。


 弾に付与できるサイズの小型魔法陣で、ギリギリまで破壊力を追求した代物だ。




 地球のグレネードとは(けた)(ちが)いの爆発力を持った(てき)だんが、〈ミドガルズオルム〉に襲いかかる。


 強固な魔法障壁を次々と突き抜け、〈ミドガルズオルム〉の頭部を爆炎の嵐で包み込んだ。


 轟音と衝撃波が、辺りを震わせる。


 太陽のように燃え盛る炎が、大地を赤く染め上げていた。




『ちょ、ちょっとアディ(フリーダム3)! その辺にしときなさい! 周囲の気温が、とんでもないことになっているわよ! 〈アースシェイカー〉で森が吹き飛ばされてなかったら、大規模森林火災になってるわよ!』




 エリーゼの制止を受けて、アディは(いっ)(たん)フルオート射撃を中断した。


 機体を止めて、様子をうかがう。


 炎の中に揺らめく、大蛇のシルエット。


 その頭部に、油断なく銃口を向けたまま。




(これ、ゼフォー・ベームダールはコックピットで焼死してないか?)


 瀬名がそんな疑いを持った瞬間、大蛇の影が動いた。


 炎を振り払い、口内の砲門を向けてくる。


 狙いは動けない瀬名機と、ニーサ機。


 (すで)に大蛇の頭部はズタズタに破壊されていたが、それでも砲撃を放つ余力は残っている。




 発射の直前だった。




〈ミドガルズオルム〉は何の(まえ)れもなく、機体を硬直させた。




『な……だ……コレは……? 機体が動か……』


 無線から聞こえるゼフォーの声にはノイズが入り、よく聞き取れない。




『あら、ケンキ様(フリーダム1)。間に合いましたのね』


『何とかな。俺が動きを封じておく。仕上げはイースズ(フリーダム4)、頼んだぞ』


『止まっとる(まと)は、面白くなかね』






 何かが。




 瀬名の動体視力を持ってしても視認できないほど、とてつもない高速で飛来した何かが〈ミドガルズオルム〉の首を吹き飛ばした。




 操縦席がある頭部は地面に落下し、地響きと共に砂煙を巻き上げる。


 頭部を失った長い蛇の胴体は、狂ったように暴れ、のたうち回った。




 だがやがて、力を失い動かなくなった。






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【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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