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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第4章 エルフの里 テスラの大森林編

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第56話 女神の使徒の葛藤~俺はその程度なのか!?~

『ダメだ』




 エリーゼ・エクシーズの提案に、(やす)(かわ)(けん)()は即答した。


 そもそもさっき心の中で、否決されたばかりの事案だ。




『何でよ? そりゃあ(くせ)の強い機体(ぞろ)いだけど、戦闘力が高いのは確かでしょう?』


『全然確かじゃない。テスト不足で信頼性は未知数だし、操縦性も(くせ)が強すぎる。エリーゼ(フリーダム2)。お前も『〈サルタートリクス〉の加速Gは、殺人的』って言っていただろう? そんな機体は、優れた兵器とは言えない』


 命のやりとりをする戦場ですぐ故障したり、原因不明の不具合が出るようでは使い物にならない。


 操縦性にしても、扱いやすさは大事だ。


 神経質なじゃじゃ馬は、神経と体力を余分に消耗させミスを誘う。


 乗りこなす腕を、持っていたとしてもだ。


 訓練期間の短い新兵でも、充分にその性能を引き出せる機体。


 それこそ、兵器としての理想像といえる。




『「加速Gが、殺人的」だと? 〈イナーシャルレデューサ〉は、搭載していないのか?』


 レクサ・アルシエフ将軍が尋ねてきたのは、慣性緩和魔道機のことだ。


 賢紀達の乗るMG-2〈ユノディエール〉には、搭載されている。


 レクサが存在を知っていたことから察するに、GR-3〈サミュレー〉にも搭載されているのだろう。


 第2世代型マシンゴーレムは運動性が飛躍的に向上し、パイロットにかかるGも段違いになった。


 対策としてこの〈慣性(イナーシャル)緩和魔道機(レデューサ)〉を常に起動し、パイロットにかかる遠心力や衝撃を軽減している。


 でなければMG-2の高度50(メートル)を超える大ジャンプや、着地の衝撃に操縦者が耐えられるはずがない。


 エリーゼやアディ・アーレイトが、いくら頑丈だとはいってもだ。




『いいや。〈イナーシャルレデューサ〉は、Xナンバーズにも搭載している。それもこのMG-2やそちらのGR-3より、数段強力なヤツをな。それでもエリーゼ(フリーダム2)は、失神しそうになった。そんなふざけた機体だ』


 魔道無線の向こうで、レクサが息を呑んだ。


 どれだけ無茶苦茶な機体か、(おぼろ)()ながらも察してくれたようだ。




『そもそもXナンバーズは「X」の型番が示すように、色々と実験をするために作った試作機なんだ。実戦投入は、想定していない』


『試作機を使いたがらないなんて、意外だな? リースディース様から、「安川(フリーダム1)はロボットアニメオタクだ」と聞いていた。アニメでは主人公は試作機に乗って、無双するもんじゃないのか?』


 (あら)()()()の発言に、ディープなロボヲタである賢紀はカチンときた。


 珍しく声を荒らげて、早口にまくし立てる。


荒木(ディース3)! アンタは地球で、どんなロボットアニメを見て育ったんだ!? いいか? 敵のザコ兵士と見分けのつかないような量産機で泥臭く戦い抜き、生き延びてこそ真のパイロットというもの。俺の尊敬するスペシャリストな軍曹殿も、こう言っておられた。「先進的な機能を盛り込んだというふれこみの『試作機』を与えられて喜ぶのは、ヒーロー気取りの新兵くらいのものだ」と』


『いや。俺はそんなにロボットアニメなんて、見てないし。誰だよ? 軍曹殿って? まあ信頼性もマシンの戦闘力における重要なファクターだという考え方には、同意できる。地球で俺が乗ってた、レーシングカーもそうだったし」


 瀬名は機体の〈クリスタルアイ〉を〈ミドガルズオルム〉に向け、難しそうに(つぶや)く。


「しかし俺達にはもう、残されていないぞ? 奴の装甲を、(つらぬ)く手段が』




 問題は、それなのだ。


 危険な賭け。


 賢紀のポリシーに反する。


 そして()()()()は、色々とうるさい。


 それでもXナンバーズを投入するしか、打開策がない。




『ねえ、ケンキ(フリーダム1)。最近あの子達、【ファクトリー】の外に出してないわよね?』


 エリーゼの指摘どおり、賢紀はXナンバーズを【ファクトリー】にしまいっぱなしにしてきた。


 きっと色々と、(うっ)(ぷん)()まっているはずだ。


 外に出したら、苦情をぶちまけてくることだろう。




『「あの子たち」……特に「マリアちゃん」はあの性格だから、色々とめんどくさいことになっているでしょうね。だけど問題を先送りにしても、解決はしないわ。そろそろ外に出して、ガス抜きをしてあげる時期だと思うの』


『確かにいずれは外に出して、あの面倒な連中のご()(げん)を取ってやらないといけないのは事実だな。……仕方ない』




 【ゴーレム使い】は信念を曲げ、決断を下した。




『全員覚悟を決めろ。Xナンバーズを、4機とも出すぞ』






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 数分後。


 戦場に、賢紀達イーグニース組の姿はなかった。




「『帝国の3機で、乗り換え時間を稼いでくれ』か……。気楽に言ってくれるね」


 〈ミドガルズオルム〉の猛攻から逃げ回りながら、瀬名はぼやいた。


「安川め。これでさっきの救助料は、チャラだぞ?」




 〈ミドガルズオルム〉の攻撃は、()(れつ)(きわ)めた。


 ゼフォー・ベームダールは、手数を重視した戦法に切り替えてきたのだ。


 遠距離では、〈アケローン〉連射モード。

 速射のきく黒い光線と、散弾を連発。


 接近すれば〈アースシェイカー〉と尻尾による攻撃と、付け入る(すき)がない。




 エルフであるゼフォーは優れた動体視力を持っているはずだが、それでも瀬名達は何とか回避し続けられている。


 これはパイロットとしての戦闘経験の差。


 そしてGR-3〈サミュレー〉が、〈ミドガルズオルム〉より圧倒的に優れた運動性を(ほこ)っていたからだ。




 だが、彼らは失念していた。


 戦闘経験が少ないということは、戦闘中にも()(しろ)があるということ。


 そしてエルフが優れているのは、静止視力や動体視力に(とど)まらない。


 空間認識力や、動く物体の軌道を予測する能力にも優れている。


 だからエルフという種族は、全員が天性の狙撃手(スナイパー)なのだ。




 (せん)(めつ)()(ほう)〈アケローン〉から、細く集束された光線が走った。


 自機の首を飛ばすように放たれた(よこ)()ぎの光線を、レクサは身を(かが)めてかわす。




「しまった!」




 避けようのない、絶妙なタイミング。


 レクサにとっては最悪のタイミングで、〈ミドガルズオルム〉の尻尾が振るわれた。




 回避を諦めたレクサは(とっ)()の判断で、〈バリアブースター〉を起動させた。


 これは魔法障壁の展開範囲を広げる、GR-3独自の耐魔法装置だ。


 魔法障壁は耐魔法メインのシールドだが、運動エネルギーや化学反応などの物理攻撃にも多少の効果はある。


 さらにレクサは機体の両腕でコックピットブロックを(かば)いつつ、サイドステップして尾撃の打点をずらした。




 考えうる限りのダメージ軽減の手段を尽くしたが、レクサの機体は大きく跳ね飛ばされた。




 そのまま森の向こうへと、消えてしまう。




 ひと呼吸遅れて、重い衝突音が森に響き渡る。




『くそっ! リアクターをやられた! 戦闘続行は不可能。機体を()()して、脱出する!』


 レクサの生存に、瀬名はひとまずホッとした。


 しかしすぐに、気を引き締めなおす。


 (あと)は自分とニーサの2機しか、残っていない。


 2人だけで、もう少し粘らなければならない。




『ニーサ! シザーズ!』


『了解した!』


 瀬名機とニーサ機は、高速で左右に切り返しながらハサミのように交錯する。


 地球の戦闘機やアクロバット航空機が行う、シザーズ機動。


 少しでもゼフォーの目を眩ますための戦闘機動(コンバットマニューバ)だ。


 2機は紅白の帯となって、鮮やかな軌跡を(えが)きながら交錯。


 〈ミドガルズオルム〉へと迫る。


 息のピッタリと合った2人だからこそ可能な、アクロバティックな動きだった。


 しかしハイエルフゼフォーの優れた視力は、そんな曲芸じみた機動(マニューバ)をも見透かしてしまう。


 交差する瞬間、(いっ)(しゅん)だけ瀬名機に隠れたニーサ機。


 彼女の進路上に、黒い光線が発射され置かれた。


 死角から放たれた(いち)(げき)に、ニーサの反応は(わず)かに遅れる。


 機体に急制動(ブレーキ)をかけるが、間に合わない。




『くっ!』




 光線に左足を切り飛ばされ、緋色のGR-3は地面に倒れた。




 すぐに瀬名はニーサの機体に駆け寄り、抱えての離脱を試みる。




 だが――




 瀬名機のコックピットに鳴り響く、警告音(アラート)


 『脚部の人工筋肉が使用限界にきた』と、警告灯が映像投影魔道機(ディスプレイ)に表示される。




 動けなくなったニーサ機を確実に消し飛ばすべく、〈ミドガルズオルム〉は(あぎと)を開いた。


 口内の巨大な砲門〈アケローン〉に、魔力をチャージしていく。




 瀬名は離脱を(あきら)め、ニーサの前に立ち(ふさ)がった。




『ダメだ。〈バリアブースター〉に俺の魔力をありったけ上乗せしても、耐えられない。せめてニーサだけでも、なんとか……』


『私のことはいい! 逃げろセナ!』


『そんなこと、できるわけないだろ?』


 そもそも瀬名には女神の加護【英雄】による超再生能力、【不屈】がある。


 〈アケローン〉の直撃を受け機体ごと消滅しても、肉体は1週間もかければ再生できるだろう。


 この場面では、ニーサさえ生かせれば瀬名の勝ちだ。


 しかし、ニーサを生存させる方法が思い浮かばない。


 瀬名が盾になったぐらいでは、最大出力の〈アケローン〉からニーサ機を守りきれない。




(ちく)(しょう)! 何が女神の使徒だ! 何が【英雄】だ! 愛する女性1人、守れないのか!? 俺はその程度なのか!? 考えろ、まだ何か手が――」






 瀬名の思考を待たず、殲滅魔砲〈アケローン〉は最大出力で発射された。







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本作に頂いた、イラストやファンアートの置き場
解ゴー FAギャラリー

他の作者さんが書いた異世界ロボットものとのコラボ作品
スーパーなろうロボット小説大戦~天涯のアルヴァリス×解放のゴーレム使い~

本作のラスボスが、生まれ変わって主人公になる異世界転生自動車レースもの
ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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