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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第4章 エルフの里 テスラの大森林編

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第49話 【ゴーレム使い】の機体解説~第2世代型って凄いでしょう?~

「ちょっと、ケンキ! いつまでもったいぶるのよ? あ! ほら、セナぶっ飛ばされたわよ!」




 針金シルエットのマシンゴーレムが、攻撃してきた。


 使ってきたのは(つる)と矢の無い、弓のような形状の武器。


 その武器から、圧縮された空気の矢を放ってきた。


 GR-1〈リースリッター〉の装甲ぐらいなら、充分にへこませられそうな威力だ。


 光の障壁魔法ごと、(あら)()()()の全身が吹き飛ぶ。


 常人であれば、肉片すら残らないような(いち)(げき)


 だが瀬名は、岩に叩きつけられて血を流す程度で済んでいた。


 強力な障壁魔法と、肉体の超人的防御力のおかげだ。


 叩きつけられた岩の(ほう)が、(こな)(ごな)だったりする。




「【英雄】様の戦闘力を、じっくり見学させてもらおうと思ってな。……ほら、頑張れ荒木。単独・生身でマシンゴーレム2機撃破は、間違いなく大陸史上初だ。達成したら、伝説になれるぞ」


「安川……。(あと)でコロス……!」


 瀬名は口から血を吐きながら、(うら)みのこもった視線で(やす)(かわ)(けん)(にら)みつける。


(ちっ! やっぱりこれくらいじゃ、くたばらないか)


 (いち)()(てき)には味方同士だが、いつかは瀬名との決着はつけなければならない。


 ()(ずみ)になった状態からでも再生できる瀬名を、なんとかする手段。


 それを賢紀は、用意しておく必要がある。




 瀬名の身体は、早くも再生を始めていた。


 神の加護【英雄】の能力である、【不屈】。


 マシンゴーレムの〈トライエレメントリアクター〉のように大気中から魔素・マナ・瘴気を取り込み、急速に身体を(いや)す能力だ。


 それに加えて、瀬名は回復魔法も(へい)(よう)していた。




「ねえ。セナに意地悪してないで、私達もMG-2で暴れましょうよ」


 エリーゼ・エクシーズはイーグニースの最新型マシンゴーレム、MG-2〈ユノディエール〉に乗りたくて仕方ないといった様子だ。


 イーグニース共和国での機体テスト時、彼女は「ヒャッハー!」と叫んで、ご(まん)(えつ)だった。


 実戦でも使ってみたくて、ウズウズしている。




「エリーゼ、真面目な話をするとな……できれば帝国側に、イーグニース最新鋭機の情報を与えたくない」




 先に手札を見せてくれたニーサに悪いとは、賢紀も思っていた。


 だがイーグニース共和国とリースディア帝国では、物量に差がありすぎる。


 余裕がある帝国とは、違うのだ。


 賢紀は少しでも、自分達側の兵器情報を隠したかった。


 それに生身の瀬名から撃破されてしまったのを見るに、針金マシンゴーレムの戦闘力はあまり高くない。


 ニーサ ・ジテアールとレクサ・アルシエフの駆る2機のGR-3〈サミュレー〉に、任せてしまっても大丈夫だろうと結論付けた。




「でも、このままだと獲物が無くなっちゃうわよ? ケンキのことだから、エルフの機体も倒してかっぱらうつもりだと思ってたけど?」


 エリーゼの意見に、賢紀はピタリと身体を硬直させた。


「それにこのままここにいたんじゃ、帝国最新鋭機の動きが見られないわよ? 凄いスピードで、森の中に消えちゃったから」


「エリーゼ、もたもたするな。クソ虫に戻りたいのか?」


 突然、口調が変わった賢紀。


 彼がイメージする、海兵隊っぽい口調だ。




 すぐに4機のMG-2を【ファクトリー】から出現させ、自分はいそいそと乗り込んでいく。




「全く……。しょうがない男ね」


 エリーゼは「やれやれ」といった表情でぼやきながら、ヒラリと操縦席(コックピット)に飛び乗った。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 帝国軍の最新鋭機GR-3と、エルフの針金ゴーレム。


 両者の間には、埋めようのない圧倒的な性能差があった。




 まず、運動性が違い過ぎる。


 人工筋肉を使った第2世代型マシンゴーレムの自走速度は、軽く200km/h(キロ)を超える。


 そのためGR-1で採用されていた〈ドライビングホイール〉は無用の長物となり、非搭載となった。


 (いっ)(ぽう)で針金ゴーレムの運動性は、あまり高くない。


 帝国軍のGR-1初期バージョンよりも、モッサリとした動きだ。




 そして防御力。


 針金ゴーレムは、弓状の武器から空気の矢を打ち出した。


 しかしニーサのGR-3は避けようともせず、(ゆう)(ぜん)と立ったまま空気の矢を弾き飛ばす。


 GR-3より装甲の薄い、賢紀達のMG-2でも結果は同じだったろう。


 針金ゴーレムの持つ弦なし弓は、かつてGR-1に搭載されていた()(ほう)(じょう)とは全然コンセプトが違う。


 発動する魔法をひとつに限定し、耐久力を上げる。


 そこに高出力リアクターからの膨大な魔力を(そそ)ぎ込んで、マシンゴーレムの魔法障壁をも貫通する魔法を放つ。


 その発想も、悪くは無い。


 だが第2世代型マシンゴーレムの強化された魔法障壁を貫通するには、火力が足りなかった。


 魔法である以上は、魔法障壁である程度は軽減されてしまう。


 さらに魔法障壁を突破しても、(こう)(ちょう)(りょく)()(こう)の装甲が立ちふさがる。


 今までの対魔法装甲より、薄くなりつつも強度は向上していた。


 さらに内部の人工筋肉にも高い防御力があるため、そう簡単にダメージは通らないのだ。


 イーグニース軍のマシンゴーレムが使う銃などの実弾兵器に比べると、魔法兵器はどうしてもマシンゴーレム相手に効きにくい。




『さっきから魔道無線で、誰に解説しているのだ? ヤスカワ?』


 ニーサの()(げん)そうな声。


 賢紀は無意識のうちに、(ひと)(ごと)で第2世代型マシンゴーレムの解説をしていた。


 針金ゴーレム狩りはエリーゼ達に任せ、自分はじっくりと帝国の新型を見学――もとい偵察するために来たのだ。




『解析能力も使わずに、この〈サミュレー〉の構造をそこまで理解しているとは……。やはりそなた達の乗っているその新型機も、似たような造りになっているようだな』


 賢紀は返事をしなかったが、ニーサはそう確信しているようだった。




『「魔法兵器による攻撃は、実弾兵器に比べマシンゴーレムに効きにくい」とか言っていたな? ならば、これはどうだ?』


 ニーサは機体の腰にあるハードポイントから、奇妙な武器を取り出した。


 トリガーがついているので銃だと思われるが、やけにコンパクトで未来的なデザインだ。


 ベルギー製のブルパップ式短機関銃に似ている。


 高校時代の友人である(まし)()(ぐん)が、「これ、すげーかっこいいだろう?」と言って写真をみせてくれたものとそっくりだ。


 違いはグリップの位置。


 銃として扱った時の位置に加え、銃身と水平方向にも設けてある。


 ニーサは機体マニピュレーターにあるコネクタと、その武器を接続する。


 そしてやはり銃のように、敵機へと向けた。




『マルチランチャー〈スターダスト〉の威力、とくと見よ』


 まばゆく輝く光の矢が、針金ゴーレムに向けて放たれた。


 かつて瀬名が賢紀に向けて放った光魔法、【プラズマブラスト】に似ている。


 あの時、瀬名機の魔法杖は1発で壊れてしまった。


 しかし〈スターダスト〉は、壊れる()()りなど全くみせない。




 光の矢は針金ゴーレムの頭をあっさりと貫き、溶解させた。


 そのまま放っておいても、機体の制御系を失った針金ゴーレムは倒れただろう。




 だがニーサは、さらなる追い撃ちをかける。




 大気を震わせながら、ニーサのGR-3は突進。




 50(メートル)はあった敵機との距離を、(いっ)(しゅん)でゼロにしてみせた。


 彼女は〈スターダスト〉を振りかぶっていたが、今度は握り方を変えている。


 もう(いっ)(ぽう)のグリップを握ると、〈スターダスト〉はナックルガードの付いた刀剣の(つか)に見えなくもない。


 そう賢紀が思っていたら、光の刃が発生した。


 プラズマソードだ。




 地を()う低いフォームで、左下から右上に向かって光の(つるぎ)を振るうニーサ。




 電気回路がショートしたような音を立て、針金ゴーレムの機体はパックリと切り裂かれていた。




『どうだ!? 【ゴーレム使い】!』


 自国の最新兵器を、(ほこ)らしげに見せびらかす皇帝陛下。




(この人も、ウチのエリーゼとあまり変わらないのかもしれない)


 呆れる賢紀をそっちのけにして、女帝は(じょう)(ぜつ)に語り始める。




『〈スターダスト〉のセイバーモードは、とても(かっ)(こう)が良い。だが私には、やはり実体を持った剣が合う。それもカタナが1番しっくりくるな。今度、マシンゴーレム用も作らせて……』




 刹那、機体のコックピット内に警告音(アラート)が鳴り響く。


 それは、魔力レーダーの照射を受けたという警告。




『安川! 上だ! ミサイル!』




 いつの間にか隣に来ていた瀬名が警告する。


 彼は、白いGR-3に搭乗していた。




 「ミサイル」という警告の意味を理解できたのは、地球人たる賢紀だけだった。




「マリア、〈ディスペルチャフ〉散布」


《了解、チャフ・散布機(ディスペンサー)射出》




 反射的に機体の〈疑似魂魄AI〉、「マリア」に命令を下す賢紀。

 



 同時に機体を、後方へと飛びのかせる。




 賢紀達の乗るMG-2には、機体の操縦を補助してくれる〈()()(こん)(ぱく)AI〉という新機構が搭載されていた。


 機体の動きから推測するに、帝国のGR-3もそうだろう。


 第2世代型マシンゴーレムの、標準的な機構ということになる。


 錬金術で人造人間(ホムンクルス)等に植え付けられる、(かり)(そめ)の魂――「疑似魂魄」。


 それをマシンゴーレムのコンピュータに当たる〈魔道演算機(エーテルプロセッサ)〉に(ひょう)()させ、人工知能のように操縦を補助させるシステムだ。


 音声入力に従い、AI「マリア」は筒状の散布機(ディスペンサー)を射出した。


 圧縮空気を破裂させる魔法で打ち出され、炸裂し、魔力を反射する性質を持った細かい金属片〈ディスペルチャフ〉を()き散らす。


 (えん)(まく)魔法で視界を奪われたり、地面を崩されたりといった魔法による(けん)(せい)・かく乱を無効化するために搭載した機構である。


 ミサイルが魔力を追尾してくる方式だとしたら、それも〈ディスペルチャフ〉で無効化できるはずだ。




 先程まで賢紀のMGー2が立っていた場所に、筒状の飛翔体が着弾した。




 賢紀は爆炎魔法による大爆発を予想していたが、思ったよりも爆発は小さい。



 代わりに小さめの穴が、深く地面に穿(うが)たれていた。




「マリア。今の爆発は、魔法ではないな?」


《肯定。魔力センサーには、飛翔体推進器の魔力反応しかありません》


「ということは、今のミサイル弾頭は……」




 HEAT(ヒート)弾頭。


 成形炸薬を使い、液状化した金属「メタルジェット」を超高速で撃ち出して装甲を貫く。


 地球では、対戦車ミサイルなどに使われる(しろ)(もの)だ。


 マシンゴーレムの全身を覆うように展開されている魔法障壁は、運動エネルギーや化学反応による攻撃にも多少の防御効果はある。


 しかしメインの用途は、魔法の魔力を()(さん)させる耐魔法コートだ。


 つまりHEAT弾頭のミサイルを喰らえば、第2世代型マシンゴーレムとて無事では済まない。






「各機。魔力レーダーの照射を受けたら、〈ディスペルチャフ〉を散布しつつ回避行動。機体の魔力を追尾する、飛び道具が来るぞ」


 指示する声こそ冷静だが、賢紀は内心動揺していた。


 ミサイルやHEAT弾頭という、地球の近代兵器出現に驚いたのだ。






「帝国軍機も、魔法対策の機構があるなら使え。みんな、絶対に喰らうなよ」






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世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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