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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第4章 エルフの里 テスラの大森林編

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第47話 テスラの大森林~遠慮はいらんど?~

 イーナクーペの宿に泊まった、翌朝。




 (やす)(かわ)(けん)()(たち)(いっ)(こう)とリースディア帝国(いっ)(こう)は、宿の前で出発の準備を整えていた。


 (まぶ)しい朝日を浴びながら、8人は入念に装備をチェック。

 行動の打ち合わせをする。




 これから広大な大森林に入っていくとは思えない程、彼らは軽装だった。


 賢紀達には、荷物をいくらでも収納できる、【ファクトリー】の能力がある。


 そして帝国一行にも同じような能力である、(あら)()()()の【アイテムストレージ】があるのだ。


 身につけるのは、突発的な戦闘に入った時必要な武器・防具だけで充分だった。


 いつも手ぶらが基本の賢紀は、早々と準備が完了。

 手持ち()()()になっていた。


 そこへイースズ・フォウワードが、何やらニヤニヤしながら近寄ってくる。




「ケンキさん。昨夜(ゆうべ)は何ば、コソコソ(のぞ)いとったとね?」




 完全に、気付かれていた。


 賢紀はエリーゼやアディほど、気配を消すのは上手くないのである。




「何のことだ?」


 (いち)(おう)、すっとぼけてみせる【ゴーレム使い】。




「もーっ! 何か、誤解しとったとでしょう? ベッツさんが、実は父親違いの兄妹だったってだけの話だけん。そんなこつ心配せんでも、あたしはケンキさんのモノだけんね……」


 イースズは恥ずかしそうにそう(ささや)くと、服の(えり)を指で引き下げた。


 首に()められた、【奴隷首輪(スレイヴチョーカー)】が(あら)わになる。




(イースズ君。ウチは社員をモノ扱いするような、ブラック企業じゃないぞ)


 そう思いながらも賢紀は「ああ」と(うなず)き、イースズの瞳を見つめる。




 ――と見せかけて、白く豊かな胸の谷間を周辺視野で観察していた。


 襟が引き下げられたことで、よく見えるようになっていたのだ。


 スレンダーな者が多いエルフ族だが、イースズはハーフのためかグラマラスな体型である。


 「弓を引く時、邪魔ばい」と、悩むほどのモノをお持ちだ。




(ふふふ……。さすがにイースズも、この秘技は見切れまい。今までにこの秘技を破ったのは、魔物ハンターギルドのジーノ・ミラハッツさんだけだからな)




「これも最近気付いたんだけど……。ケンキって結構、むっつりスケベよね」


 横から、エリーゼの()ややかな視線が突き刺さる。


 今ここに、賢紀の秘技が通用しない2人目の人物が出現したのだった。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□







 テスラの大森林は広大だ。


 しかし木々はそこまで密集しておらず、歩きやすい。


 まるで何者かの意思がバランスを管理しているかの(ごと)く、植物達は()(やみ)にテリトリーを広げようとしていない。


 不思議と調和の取れた森だった。


 木々の間隔がそこそこ広いため、その気になればマシンゴーレムを使った戦闘も可能になりそうだ。


 植物の葉が空を(おお)い隠していたが、それほど暗くはない。


 うっすらとした光を放つ不思議な(こけ)が、地面や樹木の表面にも()(しげ)っているからだ。


 苔の光に照らされ、森の中は幻想的な明るさに満ちていた。




(うわさ)には聞いていたが、マナの量が多いな……」


 歩きながら瀬名が言った通り、大森林の中は自然・生命のエネルギーであるマナに満ち(あふ)れていた。


 「精霊」の気配も、ちらほらと感じられる。


 精霊はマナが集まって思念を持ち、具現化する存在。


 森中をゆらゆらと飛び回っている(ほたる)()は、これから精霊になるマナの結晶だ。




「なんだ、フォウワード。てっきり奴隷首輪は取れたかと思っていたが、また着けられたのか?」


 レクサ・アルシエフは(あき)れた表情で、イースズに言った。


 どうやって外したかなどは、(げん)(きゅう)しない。


 【神の加護】持ちの賢紀がいれば、大抵のことはなんとかなると思っているからだ。


 同じ加護持ちの荒木瀬名も、帝国でありえないことを次々と実現していた。




 レクサはイースズが寝返ったことについても、特に思うところはないという()()りだった。




「ふふふふ……。レクサ将軍。主人次第では、()(れい)も悪くなかもんですよ。少なくとも陛下に振り回されとるレクサ将軍よりは、苦労しとらんと思いますけん」


「そ、そうか……」


 レクサはイースズの「奴隷も悪くない」発言に引いたのか。


 それともニーサに振り回される現状を指摘されて、悲しくなったのか。


 イースズの間合いから、自然な感じでフェードアウトしていこうとした。




 しかし、それを捕まえた者がいる。




「レクサ将軍。お父様の最期について、聞かせて」


 父をレクサに殺された、エリーゼだった。


 彼女の表情は硬い。


 だがイーナクーペの宿屋で初顔合わせした時のような、殺気は放っていない。


 賢紀と瀬名のあまりに険悪な雰囲気に、すっかり(どく)()を抜かれてしまったようだ。




「……強かったですよ。今思い出しても、震えが来る。右腕1本で済んだ私は、運が良かった」


 レクサは右腕の義手を見つめながら、しみじみと戦いの記憶を思い出す。


「生身でマシンゴーレムを撃破するなんて、人間じゃないですよ。それも操縦兵は、そこそこ腕の立つ奴だったんですからね」


「セブルス・エクシーズなら、そのくらいやるわ。ルータスにマシンゴーレムが無くて、良かったわね」




 その発言に、レクサの(まゆ)(いっ)(しゅん)ピクリと動く。


 エリーゼの台詞に、プライドが傷ついたというわけではない。


 彼女の発言内容には間違いがあったが、正さない。


 間違いであることを、レクサは悟られたくない。


 エリーゼは直感的に、そう思った。


 


 レクサは(わず)かな動揺を押し隠し、再び腰の低い()調(ちょう)に戻って話し続ける。




「いや、本当にその通りですよ。もっともあなた(がた)は、イーグニースを抱き込んでマシンゴーレムを手に入れてしまったわけですが……」


「忘れないでね。この件が片付いたら、あなた達とは再び敵同士よ」


「あの国王の、ご(そく)(じょ)だと思うとね……。私は貴女(あなた)と戦うのも、恐ろしいですよ」


 口ではそう言いながらも、レクサは負けるとは()(じん)も思っていない様子だ。


 柔らかい(もの)(ごし)とは(うら)(はら)に、帝国最強の剣士に相応しい威圧感を(まと)っていた。




 エリーゼとレクサが会話しながら歩いている、その前方。


 隊列の最前列には瀬名。


 その後ろには賢紀とアディ、ニーサがいた。




「いいかアディ。作戦の確認だ。敵が現れたら、ゾンビ使徒を(にく)(かべ)にして攻撃を防ぐ。そして肉壁ごと、まとめて大火力の魔法を連発して吹き飛ばす。これで完璧だな」


「完璧なわけないだろう、テロリス()。俺の女神の加護は【ゾンビ】じゃなくて【英雄】だと、何度言えばわかるんだ。それに加護の超再生能力【不屈】でも、バラバラ状態からは治るのに時間がかかるんだ。まとめて吹き飛ばされたら、時間がなくなるからやめろ」


 賢紀と瀬名は、相変わらずけん()(ごし)で話し続ける。


 それをアディ・アーレイトとニーサ・ジテアールは、困った顔で見守りながら歩き続けていた。




「はあ。ケンキ様はいつもはもっと冷静で、(たん)(たん)としているイメージなのですが……。まるで別人ですわね」


「セナもだ。普段はもっと(てい)(ねい)で、優しいのだが……。もっとも私は、セナの内面が熱いのは理解していたがな。会ったばかりなので何とも言えんが、ヤスカワも感情豊かなあれが、(ほん)(しょう)ではないのか?」


 賢紀と言い争う瀬名を見つめる、ニーサの目は優しい。


「ニーサ様とセナ様は、ひょっとして……?」


「うむ。愛し合っている」


 堂々とした返事をする皇帝に、アディは内心たじろいだ。


 あまりにも、自由な統治者だ。


 身分差とか立場とか、そういったことは考えないのだろうか?


 かつての(しゅ)(くん)、セブルス・エクシーズに匹敵するかもしれない。


 もっともリースディア帝国では、女神信仰が国教。


 その女神の使徒である瀬名と皇帝ニーサの間には、思ったほど障害はないのかもしれないとアディは考えた。




 それぞれ会話しながら、森を進む一行。




 変化は唐突に訪れた。




「おっと」




 先頭を歩いていた瀬名が、小石にでもつまずいたような軽い口調で(つぶや)く。


 その左手には、金属製の矢が(つか)み取られていた。


 瀬名の左目を、正確に(つらぬ)こうとする軌道で飛来したものだ。




「やっと仕掛けて来たか。さっきからコソコソと様子をうかがってくるばかりで、(わずら)わしかったからな。……掃討開始だ」


「君が仕切るなよ、【ゴーレム使い】」


「だったら【英雄】らしく、アンタが1人で全員片付けろ」




 瀬名は掴み取った矢を、飛んできた方向へ投げ返した。


 軽く手首の力だけで投げたのに、弓から放たれたより速く飛んでいく。


 わずかな間を置いて、「ギャッ!」という悲鳴が聞こえてきた。


 矢が命中したらしい。




「カレラさんが言っとった、【テスラガード】ね? 弓の名手(ぞろ)いらしかばってん、あたしとどっちが上かね?」


「イースズ。無理して同族と戦わんでも、よかとよ? 支援だけでん、してくれたら良かばい……って、ベアモン(なま)りがうつっちゃったわ!」


 エリーゼの心配をよそに、イースズは首を横に振った。




「イーナクーペにおったエルフ達と、大森林の中の連中は違うばい。母さんを追い出したこいつらに、遠慮はいらんど?」


「なら、思う存分やっちゃって! さーて、派手に暴れるわよ!」




 一行の士気は、充分に高まっている。




 賢紀は小型マシンゴーレム〈トニー〉を、【ファクトリー】から呼び出した。


 他の面々も武器を構え、臨戦態勢を取る。




「どこからでも、かかって来い。矢など全て、叩き落としてやる」






 そう意気込んだ賢紀。




 次の瞬間彼の目に映ったのは、矢の雨だった。

 



 群れをなして飛来する姿は、まるでイナゴの大群のようだった。






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本作に頂いた、イラストやファンアートの置き場
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他の作者さんが書いた異世界ロボットものとのコラボ作品
スーパーなろうロボット小説大戦~天涯のアルヴァリス×解放のゴーレム使い~

本作のラスボスが、生まれ変わって主人公になる異世界転生自動車レースもの
ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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