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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第3章 獣人の国 ビサースト獣人国連邦編

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第32話 鉄の悪魔~好きで乗っているの思っているの?~

 閃光が収まった時、すでにバレンティーノ達はゴーレム・トラックへと乗り込んでいた。


 砂煙を上げながら、走り去ろうとしている。




「シューマッハさん! 奴が逃げる!」


 とっさに目を閉じたクォヴレー・コーベットは、いち早く視力を回復することができた。


 しかしシューマッハは直視してしまったのか、機体を立ち止まらせている。


 バレンティーノを、追えていない。




『目を焼かれた。まだ、ぼんやりとしか見えない。……何とか追えるか?』




 ようやくシューマッハのGR-1〈リースリッター〉は、バレンティーノのゴーレム・トラックを追いかけ始めた。


 視界不良のためか、やや慎重な動き出しだ。




 クォヴレーの元に、隠れていたロジャー・レインとシロン・ブガッディが駆け寄ってくる。


「なんや!? シューマッハの機体。あの滑るような機動(マニューバ)は一体?」


 ロジャー・レインは、不思議そうに叫んだ。




「シューマッハさん機の足裏には、車輪が付いているらしい。それであんな、機動(マニューバ)ができるそうだ」


「帝国軍のGR-1には、そんな部品はついとらへんかったで。奴は(なに)(もん)なんや?」


「わからん。帝国からの脱走者だとしか……。彼が協力してくれる理由は、ことが済んだ後に我々獣人を『スカウト』する為だと言っていた。マシンゴーレム乗りとしての操縦適性を、高く評価してくれているらしい」


「『スカウト』か……。勧誘先が、まともな所だとええけどな」




 バレンティーノとシューマッハが走り去った方角を見つめながら、ロジャーは疑わし気に(つぶや)いた。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






「すまない。逃げられた」


 日が完全に落ちてしまった頃、シューマッハはアジトに戻ってきた。


 目に不調を抱えていた為か、バレンティーノを捕らえることはできなかったらしい。




「ムスタングまで捕まるとは……。これでこのアジトの(めん)()は、半分になってしまった」


 すっかり人数が減ってしまった【魂の牙】のメンバー達は、今後どうするかについて会議を行っていた。




「これでは、まともな活動はできひんな……」


 ロジャーも頭を抱える。


 何せ以前から居るメンバーは、クォヴレーとロジャーだけなのだ。


 他には得体のしれない偽名の助っ人2人と、弱冠14歳の少年少女が2人。


 マシンゴーレム2機を、保有してはいる。


 だがゲリラ組織としてリースディア帝国軍と戦うには、心細い人数だった。




「俺は……本部にいる本隊と、合流した(ほう)がいいと思っている」

 

 クォヴレーの提案に、ロジャーは異論を唱える。


「ワイは反対や。ワイらが不用意に合流しようとすれば、帝国軍に本部の位置を知られる危険があんで。(いっ)()(しょ)におびきよせられて強襲されたら、何もかも終わりや」


 ロジャーの言い分は、もっともなことだった。


 しかし、クォヴレーの反応は(かんば)しくない。




「シューマッハさんは、どう思いますか?」




 ただの助っ人であるはずのシューマッハに、クォヴレーは意見を求めた。


 そのことが面白くないようで、ロジャーは()(けん)(しわ)を寄せる。




「俺が口を出してもいいのか? 本隊と合流するつもりなら、移動手段として帝国のものと同じゴーレム・トラックを提供することはできるが?」


「決まりだな。明日朝1番に、ここを発つ。各自、準備をしてくれ」


「おい! クォヴレー!」


「悪いけどロジャー、決定権は俺にある。シューマッハさんのゴーレム・トラックと【神の加護】があれば、帝国軍から気づかれずに本部までたどり着けるはずだ」




 ロジャーはまだ、納得がいかない様子。


 しかし本隊へ合流するという決定をもって会議は終了となり、各自準備のために会議室から出て行った。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 翌朝早く。


 霧に覆われた白い世界に、いくつかの影が浮かんでいた。


 【魂の牙】のメンバー達と、移動用のゴーレム・トラックだ。


 (いっ)(こう)はアジトを引き払い、出発しようとしていた。




「俺が土魔法で、入り口を塞ごう。みんな、下がってくれ。……【ロックキャノン】」


 シューマッハは巨大な岩の砲弾を作り出し、アジトだった洞窟の入り口に向けて放つ。


 岩は入り口を完全に塞ぎ、洞窟の(こん)(せき)を無かったものにした。




「マシンゴーレムの杖ブーストも無しに、この威力とはな……」


 ロジャーは素直に感心しているわけではない。


 何か、含むところがありそうな言い方だった。




「さすがですね、シューマッハさん。それではみんな、出発するぞ」


 クォヴレーの号令で、(いち)(どう)は車両に乗り込む。


 ゴーレム・トラックは魔導モーターの静かな駆動音を響かせながら、霧の中へと消えていった。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






「気に入らんな……」


「なんだいおっちゃん? ゴーレム・トラックの運転が上手くいかなかったことが、そんなに不満かい?」


 助手席で仏頂面して腕を組んでいるロジャーに、軽い口調でエネスクス・ホーンドは答える。


 彼はシューマッハにゴーレム・トラックの運転を教えてもらうと、すぐに乗りこなしてみせた。


 口頭で、操作方法を説明してもらっただけでだ。


 その才を見込まれ、今はハンドルを任されている。

 



 対照的だったのは、ロジャーだ。


 運転方法こそすぐに頭に入ったものの、操作はギクシャクして上手くいかなかった。


 現在は、助手席でふてくされ中だ。


 他のメンバーは、荷台のコンテナ内で休憩している。




「ちゃうわ! 今の組織の状況や。クォヴレーの奴、シューマッハの能力に依存してしもとる。()(さん)の獣人メンバー達がおらんとなって、不安なんやろな」


「嫉妬しない、嫉妬しない。おっちゃんだって、古参なんだろ? クォヴレーさんも、アテにしてるって」


「古参といっても、【魂の牙】っちゅうゲリラ組織自体が出来て間もない組織やけどな。そん中でもワイは元々この国の人間やないし、種族もちゃう。発言力が低いのも、しゃあないところや。せやけどどうも、あのシューマッハのいいように転がされとる気ぃすな……」


 ロジャーはさらに、シューマッハへの疑念を口にする。


「思えば奴の行動は、ケッタイなところが多い。今朝のごっつい土魔法、エネスクスも見たやろう?」


 うんうんと、エネスクスは(うなず)く。




「昨日バレンティーノの奴が攻めて来た時、なぜ奴はあの魔法で戦わんかった? わざわざマシンゴーレムを出す必要はあったか?」


「うーん。接近戦は苦手で、生身で戦いたくなかったとか?」




 エネスクスの予想に、ロジャーは首を横に振った。


「そうやったら、奴の位置取りは変やで。剣を構えとる前衛のクォヴレー、ムスタングと並んで立っとった。魔法しか取り柄がないんやったら、少し下がって遠距離から魔法を撃ったらええ」


「案外戦闘はド素人で、思いつかなかっただけだったりして」


「それにしては、自信ありそうやったけどな。……たぶん奴は、接近戦にも対応できる何ぞを隠し持ってたとワイは(にら)んどる」


「なら他に考えられるのは……。ただ単に、マシンゴーレムを乗り回したかっただけとか?」


「ワレみたいなガキやないやろうし、あんな緊急時に自分の好みで行動する奴がおるか!」


「あれ? おっちゃんは僕が好きで、マシンゴーレムに乗ってると思っているの?」


「ちゃうんか? あれだけワイに、マシンゴーレムの話を聞きたがっとったやろ。実際に乗ってみて、操縦センスも悪くないなら楽しいやろ?」




 スッと目を細めて、エネスクスは答える。


 いつものように(こと)()(づか)いは(ひょう)(ひょう)としているが、(こわ)(いろ)は氷のように冷たい。




「ちがうね。マシンゴーレムは僕の故郷と家族を焼き尽くした、鉄の悪魔さ。好きになんか、なれっこないね」


「すまん、無神経やったな」


「気にしないでくれよ、おっちゃん。自分に操縦センスがあることには、感謝しているんだ。今は使えるものは、何でも使わないとね。……悪魔だろうが何だろうが、乗ってみせるさ」




 そう言ってエネスクスは、遠くを見つめる。


 視線に14歳の少年とは思えない暗い殺気を感じ、ロジャーの背中には悪寒が走った。






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 道中、何度か帝国軍と(そう)(ぐう)しそうになった。


 だがエネスクス達はその(たび)にシューマッハの能力でゴーレム・トラックを隠してもらったり、スピードを上げて振り切ってことなきを得ていた。




 そして、アジトを出発してから3日後。


 エネスクス達一行を乗せたゴーレム・トラックは、目的地へと到着する。







 かつて首都レオパードが存在した、猫・獅子・虎系獣人の(つど)うレオーネ州。


 【魂の牙】本隊が、潜伏している場所だった。






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本作に頂いた、イラストやファンアートの置き場
解ゴー FAギャラリー

他の作者さんが書いた異世界ロボットものとのコラボ作品
スーパーなろうロボット小説大戦~天涯のアルヴァリス×解放のゴーレム使い~

本作のラスボスが、生まれ変わって主人公になる異世界転生自動車レースもの
ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

― 新着の感想 ―
[良い点] 『クォヴレー・コーベット』 この名前を見るたびにシボレー・コルベットって空目してしまうんですよね…… ネタだらけで楽しいです!
[良い点] エネスクス、憎んでいるマシンゴーレムの操縦センスが良いとは皮肉ですね。 暗い過去を背負い、巨大な敵に挑んでいく。 王道ですが熱い展開ですね!
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